- 2021-3-20
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★★ノルトハウゼン Nordhausen -2-からの続きです
駅から旧市街に真っすぐ繋がっている、いわば目抜き通りの緩い坂を進んでいくと、右手に巨大なボトルのオブジェが2本現れます。この町の名産品「Nordhäuser Doppelkorn」というスピリッツの蒸留所です。ドイツが分割状態にあった時代でも、北ドイツでは駅のキオスクなどで普通に売られていたもので、当時は東独の産品ということは知らずに吞んでいました。旧東独としては重要な「外貨(西独通貨の DM」の獲得手段だったんだろうと想像されます。
↓↓ こんなものが由緒あるドイツの町中にあっていいものかどうかは、景観維持に神経質な西側ではかなりの議論を呼ぶんだろうけれど、一度戦争で完全に破壊されたところから再建した町の部分であれば、何百年前からの景観を維持するという軛(くびき)から逃れて、案外自由にやりたいことをやれるのかも知れないですね。手前の集合住宅は文化財保護(Denkmalschutz)の対象にはなりそうにない東独時代の建築様式で、このオブジェ・・・というか広告塔が建造されたのは東西統一後だと思われますが、復興のための集客や話題作りにも貢献したと思われます。実際私もその一人だし(笑)
さて、お酒のことを書くのはその道の専門家が多いので、「呑み専」の私にはちょっと荷が重いのですが・・・(笑)シュナップス Schnapsと総称される、アルコール分が 40%前後(かなり幅がある)の蒸留酒ですが、これも Wikipediaをチェックしてみると、日本語版では「シュナップス」とあり、英語でも Schnappsとあるのですが、そこから独語に飛んでみると「シュピリトゥオーゼ Spirituose」という項目にジャンプします。ラテン語の spiritusが語源で、英語では「スピリッツ spirits」ですかね。で。英語 Wikipediaで spiritsを引くと「Loquor」が出てきて深みにハマっていきます(笑)ポイントは、独語でのこの類の蒸留酒の総称は「シュピリトゥオーゼ Spirituose」であり、シュナップスは俗称(umgangssprachlich)とのことです・・・いかん、この分では終わらない(笑)
北ドイツに住んでいた私の印象では、北ドイツでは穀物を原料としたものを冷凍庫でキンキンに冷やして一気飲みするのが一般的なのに対し、南ドイツやオーストリアでは「オプストラー Obstler」と称して、果実を原料とした蒸留酒を常温で飲むのが一般的なようです。
このあたり、いくらでも書くことはあるのですが、ノルトハウゼンの酒に到達するために、かなり端折ります。南ドイツの果実原料が多いのに対し、北ドイツでは穀物原料が多く、それを「コーン(コルン)Korn」と総称しています。英語からの連想で「トウモロコシ」という意味ではなく「小麦、大麦、オーツ麦、ライ麦、ソバ」といった穀物が原料となります。
独語 Wikiの Kornの項には「アルコール度数によっては「コーン」とも呼ばれる「コーンブランド」は、穀物を原料としたアルコール飲料で、スピリッツの中でも透明度の高い蒸留酒の一つです。Kornは、アルコール度数が32%以上でなければなりません。アルコール度数が37.5%からは「コルンブランド」という呼称を使うことができます[1]。 ここにきて、38%の「ドッペルコルン」という呼称が市場で定着してきました。」とあります。
更に「工業的に生産される Kornは、ドイツのいくつかの地域に集中しています。シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州のバート・オルデスローエ(オルデスローエ・コルン)、テューリンゲン州北部のノルトハウゼン、ニーダーザクセン州のエムスランドのハーゼリュンヌ、ヴェストファーレン州のオーエルデです。ノルトハウゼンでは、Rotkäppchen-Mumm Sektkellereien Echter Nordhäuser Spirituosen GmbHの子会社が、Echter Nordhäuserブランドの穀物蒸留酒を製造しています。蒸留所であるベレンツェン、ヘイト、ロッシュはハーゼルンネにあり、同じ名前の製品を市場に出しています。Oeldeには、1664年から穀物の蒸留を行っている Schwarze & Schlichte社があります。もう一つの有名な生産者は、ニーダーザクセン州の南部にあるハーデンベルグ・ヴィルテンAG(ハーデンベルガー)です。」とあり、ノルトハウゼンの蒸留所はかなり有力な生産者ということが分かります。ノルトハウゼンのコルンの詳細はこちらにあります
Wikipediaの Kornの項目にも、このオブジェの画像が掲載されています
↓↓ この店は旧市街ではなく、ホテルに近い Bochumer Strasseにあるタバコや蒸留酒などの嗜好品を売る店です。店名の電飾サインがレトロでイケてますが、こういうのがだんだん減りつつあるのは残念・・・
↓↓ 店内です。いろいろな蒸留酒が、小瓶・ハーフボトル・フルボトルと並んでいて・・・萌えます(笑)
↓↓ プレミアムものの熟成された Doppelkorn、通常の Doppelkornのハーフボトルと小瓶、いくつかのバリエーションを購入して目標達成(笑)小瓶の値段が €1.79まあ 200円ちょいくらいな感じですね。
↓↓ 余談ですが、高級なレストランでは、食後酒として、このよう感じで各種の蒸留酒がワゴンに並べられていたりします。よくあるのは Kirschwasser、Obstler、コニャックなどで、Kornを見かけることはまずありません。まあ、冷凍庫で氷点下に冷やして供されるものなのでワゴンに並べてはおけないのですが・・・恐らく Kornなどはこういう店で出す高級な酒とは見做されていないものと思われます。ブルーカラーの庶民がそこらへんの Kneipeでビールと一緒に呑んだり、駅のキオスクで買って2等車の社内で吞んだりする安酒というランク付けがされているように思いますね。まあ私はどちらも好きですが(笑)
★★ノルトハウゼン Nordhausen -4- に続きます