地名の研究 Ortsnamenanalyse (9) 南西型・中央横断型

地名の研究 Ortsnamenanalyse (8)からの続きです

定量データを活用して、特徴的な地名suffixの分布を分類しています。

南西型・中央横断型

-bach(小川)なんていうのは結構あちこちで聞くような印象ですが、一番数が多いのは PLZ 5、そして PLZ 6に繋がり、PLZ 9から 0の地域へと分布しているように見えます。PLZ 1,2には在りません。

-bachは低地ドイツでは -beck、-bekなどと転訛するようで(逆にそちらの方が古い形態か?)、-beck、-bekの分布はそれぞれ PLZ 2,1を中心に分布しています。-bekは PLZ 2にしか存在しません。では、-bach,-beck,-bekを合計すると何かが見えてくるかなと考え参考欄に示しました。こうすると全ての PLZに存在しブロードな分布型に近づきますが、カイ二乗値は依然 200台であり全国に平均的に分布しているとまでは言えないデータです。

-heim は PLZ 5に最も多く、2位が PLX 9、3位が PLZ 6と続き、以下西南・南に多く分布しています。北ドイツに住んでいた私には Hildesheimくらいしか思い出せません。

下に引用した Wikipediaの解説には「ローマ帝国の領土に侵攻した後の西欧・中欧のゲルマン人の入植を反映しています」との記述があり、更に「(ドイツ)東側では、6世紀末からのスラブ人の移住によってゲルマン語の地名が一掃された」ということから -heimの分布の偏りが説明できます

地名 suffix -bachについて

-bach

-バッハ(bach)は、以下に列挙されている亜種の多くが中低ドイツ語の beke に由来するもので、ドイツ語圏では最も一般的な小さな、通常は航行不可能な、流れる水の呼び方であり、最古の呼び方でもあります。この呼び方は、呼び方としても決定詞としても、通常は因果関係の文脈で集落にも使われます。

川の名前についての最古の文書証拠では、すでに-bachの形をトレースすることができます。起源は一般的なゲルマン語。他にも説明の試みはありますが、どれも音の移動や母音の弱体化のルールを満たしていません。名前の語源学的な由来の難しさは、この言葉がゲルマン民族によってドイツの原住民の語彙から採用されたという事実にあるかもしれません。バッハの古い形式は、古高ドイツ語の bah、中低ドイツ語の beke、旧サクソン語の beki、旧北欧語の bekkr、オランダ語の beekです。低地ドイツ語の形は、bek, beck, beek, becke, büke, bicke, be(e)ke, bäke または biekeとなります。

地名 suffix -heimについて

-heim

-heimという suffixが付いている地名は、とりわけドイツの地形学で最も重要な種類の地名のひとつです。

形成
ハイムの典型的な地名は、多くの場合、名前のある人の居住地を示すか、少なくともこの人とその場所との事実上のつながりを示しています。これは通常、属格語尾と -heimを持つ個人名で構成されており、これは「集落、住居、住居」という意味を持つことができます – 居住権の法的な用語として Heimatを参照してください – したがって、単名の地層の初期の個人名を示しています。

例:Gaisbot + -es- + -heim = Gabsheim、初期の綴りの Caisbotesheim, Keisbotesh(eim), Gesbotsheim, Cheisbotesheim (Lorsch Codex)を比較してください。

分布
名前の種類の分布は、ローマ帝国の領土に侵攻した後の西欧・中欧のゲルマン人の入植を反映しています。主にスカンジナビア南部、ドイツ西部、ベネルクス諸国、イングランド、アルザス、ロレーヌ、スイス北部、オーストリアではオーバーエスターライヒ州、ザルツブルク、チロルの一部で「ハイム」の名前を見つけることができます。しかし、これらの東側では、6世紀末からのスラブ人の移住によってゲルマン語の地名が一掃されたため、かつてのハイム名の分布は不明です。

地名の研究 Ortsnamenanalyse (10)に続きます

関連記事

ページ上部へ戻る