地名の研究 Ortsnamenanalyse (10) 南型・バイエルン型

地名の研究 Ortsnamenanalyse (9)からの続きです

定量データを活用して、特徴的な地名suffixの分布を分類しています。

南型・バイエルン型

北ドイツに住んでいた私の感覚は -ingenは南ドイツに、特にシュツットガルト近郊に多いなあという印象でしたが、統計データを見てみても実際 PLZ 7が一番多く、次いで PLZ 8に多いことが分かります。ただ全国に分布していて、存在しない PLZは無いということも分かります。乖離値やカイ二乗値も高いので、やはり南に特徴的に分布しているといえそうです。

-stadtはこちらによれば、-stedt /-städtと同じ語源で「フランケン地方」に多いとのことで、フランケンをバイエルンの北部と捉えれば「バイエルン型」と言えるかもしれません。

25番目の -hofen以下はサンプル数が数十件と少ないので、断定的には言い難いものがありますが、-stettenや-reuth(-rodeの南部版)や接頭辞としての Marktなどは北ドイツでは聞いたことがなく、乖離比の数字からも狭い地域に集中しているように見えます。

地名 Markt-について

まず Marktrecht(市場権・市場開催権・市場保有権)に関しての Wikipediaの記述です

「中世では、市場を保有する権利とは、恒久的な市場を保有する権利であり、週単位や年単位の市場を保有する権利であった。この目的のために指定された場所は、市場の平和、すなわち市場とその訪問者に適用される特別な権利の下にあり、市場の領主(王、王子、伯爵、司教)によって保護されていました。この特権は、町の経済にとって決定的に重要であった。市場を開く権利は、フランク時代から国王に属していましたが、この権利が教会や世俗的な王子たちに受け継がれ、町を作ることができるようになったのは、12世紀になってからのことでした。」

次に Marktgemeindeは、その Marktrechtを保有する行政単位であるという項目があります。

「Marktgemeindeまたは Marktは、市場権のある場所です。バイエルン、オーストリア、南チロルでは、歴史的または正式な市場権を持つ自治体の自治体法名です。Markt AllhauやMarkt Schwabenなど、コミュニティ名に「Markt」という単語を使用する必要はありませんが、時々使用されます Marktbergelのように、Marktという用語と元の地名が一体化して成長した場合もあります。」とあります。

この記事は更に地域ごとに詳細が記述されていますが Bayern、Hessen、Nordrhein-Westfalen、Österreichの記述はあっても Niedersachsenや Schleswig-Horstenや旧東独の記述はありません。なんでやねん?(笑)ここは深掘りしてみたいと思います。少なくとも、我々が考えているほどドイツは均質ではないということでしょう。

バイエルンの「市場権 Marktrecht」を有する自治体のリスト

地名の研究 Ortsnamenanalyse (11)に続きます

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