誰も知らないドイツの町 Unbekannte deutsche Städte(46):★★★バート・アーロルゼン Bad Arolsen -9-

★★★バート・アーロルゼン Bad Arolsen -8- からの続きです

もう一度、Schloss Strasseを Stadtkircheの方に歩いていきます。この通りはお城を出て右手に教会まで続く道で、臣下や関係者の住宅などだったようです。

↓↓画像はクリックするとスライドショーになります。

この通りには、日本の不動産屋流に言うと「戸建て総二階」というんでしょうか、バルコニーはついてはいませんが、今どきの通常の一般住宅よりも大きめの二階建て+屋根裏部屋のついた建物が連なっています。宮廷の臣下や関係者を住まわせたものと想像されます。そういう意味では、メクレンブルク=フォアポメルン州のルードヴィッヒスルスト(Ludwigslust)の Schloßplatzから Alexandrinenplatzに至る Schloßstraßeと位置づけが同じと考えられ、実際に歩いてみてもよく似ている印象です。

案内板には建物に番号が振ってあり、それぞれに由来や住んでいた人などの解説があります。↓↓画像はクリックするとスライドショーになります。

「Café Prinzess Emma」と、オランダ王妃になった Emma zu Waldeck und Pyrmontの名を関したカフェがあります。

お店の facebook画像から

Schloßstraßeは所謂ショッピング通りではないので、私が滞在した週末でも静かなものですが、この静かな通りの中ほど、南側に国際的に重要な文書館(Archiev)があります。Wikipediaの日本語版にも掲載されていないので、日本ではごく少数の研究者にくらいしか知られていないと思われますが「Die Arolsen Archives – International Center on Nazi Persecution」(アーロルゼン文書館:ナチス迫害に関する国際センター)で、独語 Wikipediaには「国家社会主義の迫害、ナチスの強制労働、ホロコーストに関する文書、情報、研究のためのセンター。2019年 5月 20日までは、ITS(International Tracing Service)という名称の組織であった。ITSの主な業務は、ナチス政権下で迫害を受けた犠牲者の運命解明と家族の捜索、ナチス犠牲者の生存者と家族への情報提供、調査、教育、追悼、そして文書の保管、保存、索引付けである。」とあります。2013年 6月、「国際追跡サービス」のアーカイブがユネスコの世界記録遺産に登録された。」とのことです。

何故、そんな国際的に重要な施設が、こんな鉄道の幹線も通っていないような田舎町に?同じく独語 Wikipediaには「1943年、連合国側が第二次世界大戦の終結を確信すると、中欧の捕虜、強制労働者、難民の状況について、より詳細な調査が行われるようになった。連合軍遠征軍最高司令部(SHAEF)はこの任務を担い、1944年 2月 15日に中央トレース局の業務を引き継いだ。その場所は、戦争の経過により、ロンドンからヴェルサイユ、そしてフランクフルト・アム・マインに移されることになった。終戦後は、国際連合救済復興局(UNRRA)に、1947年 6月にはその後継組織として国際難民機関(IRO)に運営が引き継がれた。1946年 1月には、早くも本部をヘッセン州の小さな町アーロルセン(現在のバート・アーロルセン)に移していた。この町は、ドイツ国内の 4つの占領地区の地理的中心にあり、戦争でほとんど被害を受けなかったインフラがあった。1948年 1月以降、トレースサービスは「International Tracing Service」(ITS)という名称で運営され、これは現在も有効である。

アーロルセンにも 1946年に連合国が設置した DPキャンプがあり、1951年まで存在していた。その目的は、1946年から UNRRAと ITSの前身であり現在のアロルセン文書館である中央追跡局(CTB)で働いていた避難民を収容することだった。DPは語学力があったため、CTB/ITSのほとんどすべての分野、特に文書部門と検索部門で働いた。タイピングや翻訳を担当する一方、厨房や運転業務にも配置された」とあります。

ちなみに DPとは Displaced Personの意味で、「DP(Displaced Person)とは、英語で「この場所に居場所がない人」(Displaced Peopleとも)という意味で、第二次世界大戦中に連合国軍本部(SHAEF)によって作られた造語である。」という解説があります。

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