シュパーゲルの話(7)何故シュパーゲル? Spargelzeit -7- Warum Spargel?

シュパーゲルの話(6) Spargelzeit -6-からの続きです。

しかし、それにしても何故この時期、ドイツ人はシュパーゲルにこれほど熱を上げるのでしょうか?日本でこれに匹敵する食べ物って・・・何ですかね?春になると日本人が熱に浮かされるように食べるもの・・・んんん、何だろ?タラの芽の天ぷら?タケノコ?サクランボ?初鰹(こりゃ初夏か)?・・・確かに春の季節ものの食べ物ではあるけど、そこまでの熱量は感じませんね。

というわけで、まあどういう話になるかわかりませんが、自分なりに「なんでシュパーゲルやねん?」ということを考えてみました。あくまで私論です。信用しないでください(笑)ちなみに、得意の独語 Wikipediaには植物としての解説があるだけて、そういう文化論的観点からの解説はありません。

↑↑ 上の動画の左側のは「Komm, Lieber Mai(邦題は「春への憧れ」というようです)」・・・ドイツ人なら誰でも知ってる「春を待つ歌・・・春を待ちわびる歌」です。作曲はモーツァルトで、メロディはピアノ協奏曲第27番(KV.595)第3楽章からの転用だそうです。ん?これってどこかで聴いたことがあるよな~・・・と思ったら「早春賦」ですね。右の動画で聴き比べてみて下さい。え、パクリではないのか?というのはさておき、経緯は Wikipediaよりこちらのブログが詳しいです。

ここでのポイントは、ドイツでは「待ち焦がれる春」というのは5月のイメージなんだろうということです。「Komm, Lieber Mai」と歌っているのは、まあ常識的には4月なのでしょう。日本の早春賦は「3月の春を待ち望む2月の歌」という感じで、2ヶ月ほどズレがあるわけです。また童謡の「春よ来い」の二番・・・「春よ来い 早く来い おうちの前の 桃の木の 蕾(つぼみ)もみんな ふくらんで はよ咲きたいと 待っている」・・・これも2月末あたりですね。また、その逆に秋から冬に入るのもドイツの方が早い・・・結果としてドイツの冬は日本と比べて長く、その分、春を待ち焦がれる(溜まった)エネルギーも強いと思われます。

↑↑ 上の動画はクリックして聴く必要はありません。特に左側の「マタイ受難曲」は3時間を超える大作なので、余程ヒマな時にどうぞ(笑)

次に「イースター 復活祭」です。ドイツ語では「オーステァン Ostern」といいます。これは「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」に祝われる移動祝日の為、毎年日付が変わります。「グレゴリオ暦を用いる西方教会では、毎年3月22日から4月25日の間のいずれかの日曜日」とされておりドイツでは翌月曜日も祝日です。

ドイツでのイースターについて書き始めるとウサギやらカラフル卵の話などキリがなくなるのでまたの機会にしますが、ここでのポイントは、「正教会、カトリック教会、聖公会、ルーテル教会においては、復活祭(復活大祭、復活日)の前にイエスの荒野での試みや十字架の受難を記念する「40日間」が設けられている。ラテン語でQuadragesima、英語では古ドイツ語の「断食」を語源とするLentと標記される」・・・ということです。

「カトリック教会、聖公会、ルーテル教会などの西方教会では、四旬節は灰の水曜日に始まる。カトリック教会では主の晩さん(聖木曜日)の夕べのミサの前までを四旬節とするが、聖公会、ルーテル教会では復活日前日までを四旬節とする。復活祭前の一週間は「聖週」「受難週」等と呼ばれ、教会暦の中で非常に重要な位置を占めている。復活祭前の日曜日は枝の主日(復活前主日、棕櫚の主日など)と呼ばれ、重要な主日のひとつとされている」(Wikipedia)

平たく言えば「カーニバル(Fasching)の終わりである灰の水曜日(Aschermittwoch)からイースターの間の期間は所謂『禁欲期間』」なのです。実際、私のドイツ人やアイリッシュ(カトリック)の友人には、この期間に禁酒したり肉を食べないというのが何人もいます。まあ、宗教的な理由というより、肝臓を休めたり、デトックスの為といった健康上の理由らしいですが、それをこの期間にやるというのはやはり伝統的な禁欲期間の影響でしょう。動画で取り上げた重たい宗教曲の「受難曲」もこの時期に教会で盛んに演奏されるのは、そういう背景からです。

で、復活祭!移動休日ではありますが、概ね4月の初~半ばです。長い暗い冬が終わり、加えて禁欲期間が解ける復活祭・・・ちょうどこの頃に、絶妙のタイミングで地面から出てきて旬を迎えるシュパーゲル!ま、日本のタラの芽やタケノコ以上に、そこに向かうエネルギーが集中するのも分からないではありません。

え、それだけの話?・・・いえ、次回オチをつけます(笑)

シュパーゲルの話(8) Spargelzeit -8-に続きます・・・次回は「何故ドイツ人はシュパーゲルにここまで熱いのか?」のオチです・・・多分(笑)

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