1980年代前半のドイツワイン事情(3)統計データ -2-

1980年代前半のドイツワイン事情(2)からの続きです

同じく参考書にあった「ブドウ種別作付面積推移」です。1977年のデータですが、これもデータを並べて比較すると面白いものが見えてきます。

統計データは 1954年から始まっています。1954年と言えばスイスで開催されたサッカーワールドカップで、敗戦から10年足らずの西ドイツが優勝し「ベルンの奇跡」と呼ばれ、国際社会でドイツ人が再び自信を取り戻した年とされています。(日本でも 1956年の経済白書に「もはや戦後ではない」という副題が付けられた頃です。)ドイツのワイン産業もそのあたりから戦後復興のギアが入ったのではと推察されます。1954年と 1977年のデータを比較してみると:

★赤ワイン向けブドウ種の作付面積が 10千haでほぼ一定なのに対し
白ワイン向けブドウ種が 48千haから 80千haへと大幅に増えている

★その中でも Müller-Thurgauが大幅に増加しているのが目立つ。また 1954には統計に登場していなかった(多分 sonstigeに分類されていた)種類が増加してバラエティが豊富になって行った

ことがわかります。Müller-Thurgauが何故戦後に急成長したのか?興味あるところですね。また私が赴任する少し前の 1977年の状況を見ると

★白ワイン種と赤ワイン種の作付面積比は 8:1の割合で、「ドイツワインは白が主流」という印象に符合する

★当時の日本でのワインのポジションはまだ「普段呑み用」ではなく比較的高価なものであったので、ドイツから輸入されていたのも Rieslingの高ランクのものが主体だったと推察され、それが日本人に「ドイツワイン=Riesling=甘い」という先入観を与えたものと思われる。実態としてはこの時点で既に Müller-Thurgauが Rieslingを抜いて白ワイン用全体の30%を占めていた。

★赤ワイン自体がマイナーなドイツワインの中で、そのブドウ種としては Spätburgunderしか見たことがなかったが、Portugieserというのがそれより多いというのも少し意外・・・
ただ Spätburgunderの方に勢いがあって逆転間近に見えますね

こういうことがわかります。次回はこれに 2019年のデータをネットで調べて並べてみたところ、1977年以降の 42年間で状況が様変わりしていたことがわかりました。それは次の記事で書きます。↓↓ 併せてお読み下さい。

1980年代前半のドイツワイン事情(4)に続きます

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