- 2023-5-21
- トピックス
業界各社の 2022年度年間決算発表をした企業を順に取り上げています。今回は 5月15日(月)に発表したコニカミノルタです。
コニカミノルタ
同社は決算発表前に「適時?開示」として大幅な減損・減益予想を公表し、また結果として 951億円の営業赤字を計上しました。正直申して「なにやっとんねん!(怒)」という想いです。一旦その想いの勢いで記事を書きましたが、ちょっとここで公開するには不適切と思い直し非公開としてお蔵入りさせました。
私は同社の役員経験者で、今も株主でもありますが、現在は産業用インクジェットになんらか関係する各社に対してニュートラルな立ち位置でおり、公平に応援するスタンスです。その記事原稿は OB視点・株主視点が強く入り過ぎており、これが富士フイルムやリコーに関することならこうは書かないだろうな・・・と、明らかに中立性を失っていましたのでお蔵入りさせた次第です。ご了解ください。あ、たまたま富士フイルムの株は持っているんですけどね・・・お陰様で助かっています(笑)
決算説明会資料はこちらに公開されています。減損処理・減益予想の公開資料に詳細が書いてあるためか、決算説明会資料にはそのことは殆ど触れられていません。
何が起こったのか?ファクトベースで書くと、バランスシートの「のれん及び無形資産」という項目が対前年で 952億円減っています。「のれん」とは会社を買収する際に、実際に払った金額と、相手の純資産(帳簿上の実際の価値)の差額を指します。これは実体の無いものなので、利益を挙げて何年かで償却していくのですが、その事業の先行きに不安があるとそれを一気に償却(減損)することがあります。大野は、今回対象となった事業には全く知見が無いのでコメントする資格はありません。まあ、会社としてそういう判断をしたということです・・・しかし、まだ のれん及び無形資産が 2,589億円もあるんですね!それが棄損しないことを祈ります。
下はいつものグラフです。
Q3時点の記事で、例の算式でQ4に必要な売上高と営業利益を算出しグラフ化したものがすぐ上の2つですが、見たところ極端に無理をしているようには見えず、まあこのくらいは達成可能なんだろうなという感じでした。結果としてQ4売上高はほぼその線を達成して、年間では 2003年の経営統合以来最高の売上高を達成したそうです。営業利益に関しては 1,166億円の減損処理の結果、異様なグラフになっています。
2023年度の見通しについては無理をせず・・・と見えます。
【インクジェットについて】
IJコンポーネントは好調で、かつ強化事業に分類されています。かつては「大野君、そんなもんチマチマ売ってても、なんぼにもならへんで」と(京都弁で)からかわれた時代からは様変わりです(笑)前年の説明資料あたりから「工業用」という単語が表に出てきています。この領域の案件が来たら絶対門前払いしない!業界がインクジェットで何をしたいのかのアンテナになる!と、手間のかかるカスタマイズ開発を「チマチマと(笑)」続けてきた成果が出始めているということでしょう。
各社のヘッドが既存の有版印刷領域への進出を念頭に 1,200npiなどの高精細ヘッドに重点を置く中で、誤差拡散などで誤魔化しが効かない超高精度や、過激な溶剤耐性などが求められる工業用途は、面倒ではありますがその先には大きな市場が見えているので期待したいところです。