- 2025-7-31
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業界各社の第1四半期決算状況を見ていきます。今回は 7月 31日に発表したコニカミノルタです。
売上高は、赤字を垂れ流していた事業群を全て(?)売却・整理したということで(逆に赤字でもそれなりの売上高はあったワケなので)減収となっています。でも,減収幅って、あれほどの巨額の減損を繰り返して整理した割には意外と軽微ですね?裏を返せばそんな小粒な事業群を巨額ののれんを計上して買収していたことの裏返しともいえます。
目利きがちゃんとしていたのか?という反省は同社から聞いたことがありませんが、そこはちゃんと反省・総括することが必要でしょうね。そこをはっきりしないとまたこういう指摘を受けることになる(東洋経済記事:コニカミノルタ、1166億円減損の裏に「甘い体質」)と思います。
事務機事業が苦しくなっていくのが自明だった当時の状況で、事務機以外のプレシジョン・メディシンを初めとした他分野に買収という手段で進出したことは間違いではなかった・・・という言い訳を聞きます。私自身もそれ自体はなんら間違いとは思いません。しかし買収した事業を全て減損した挙句に売却・整理するという状況はもう異常としか思えません。またマーケティングサービスや MGIなどは大幸社長の支配下事業だったわけで、最早前の経営陣だけの問題でもありません。
また、既にあまり語られなくなりましたが、同社はその前にも有機 EL照明に巨額の投資をしていつの間にかフェードアウトしています。これも含めて「事業に対する目利きはしっかりしていたのか?」「担当させる人材に対する目利きはしっかりできていたのか?」・・・ここにちゃんとした反省・総括をしないと「甘い体質」は変わらないのではないでしょうか?
更に申せば・・・委員会等設置会社という「もっとも進んだガバナンス体制」を標榜しながら、これはいったい何なんでしょうか?委員会って、ちゃんと機能しているのでしょうか?そもそも社外取締役達や社長はどういう状態が「ちゃんと機能している」と定義しているのでしょうか?結果の出ていない今の状況が「機能している」と思われているのでしょうか?ちゃんと機能しないものを惰性で続けているなら即座に廃止するべきなのでは?参考までに日産自動車関連記事(社外取締役に責任は無いのか?)にリンクを張っておきます。
で、そういう買収した事業を全部視界から消して元の姿に戻った営業利益率が 4.0%ですか?・・・まだまだ苦しい状況は続きます。
年間の見通しについては売上高・営業利益とも変えていません。これから続々と発表されることになる業界他社の発表では、トランプ関税やそれに伴う米国インフレ、経済全般への影響をどう織り込むのか?というのが興味深いところではあります。が、まあ、あの気まぐれオヤジのやることなのであまり真面目に計算しても疲れるだけで無意味・・・というのはありますけどね。
同社の場合は「米国相互関税影響を吸収し・・・」とあります。まあ、今年度の為替前提をユーロで 23円も安全側に見ていたんですから、そのくらいを吸収する余裕は最初からあったんでしょう。
「コーポレートにリスクとして織り込んでいた分を・・・」
要は経営管理部門がこういうのをかき集めてプールしておいたもののを小出しにするということです。まあ、これってやり過ぎるとワケがわからなくなるんですよ。事業現場は毎月見通しのレビューを求められるし・・・一般論ですが(笑)
もうここに至る経緯は何度も繰り返しては書きませんが、要は5年かけて漸くコロナ前のレベルに戻った・・・ように「表面上は」見えます。でもね、コロナ前の 2019年ってドルレートは今の 145円なんてのと違って 115円くらいだったワケです。それを勘案するともっとシュリンクしているんですね・・・
あれ?説明資料をよく見てみれば・・・上に書いたことを訂正する必要がありそうです。前年度、あれだけ派手に負の遺産を清算して(減損して)成長軌道に立て直す!と刷り込まれていたので、減収の要因は減損して売却整理した事業群の売上高が無くなったから・・・と思い込んでいました。しかし、この表を見ると「全ての既存事業セグメントが減収」じゃないですか?・・・え?
まあ、まだQ1だからとりあえずはスルーしましょう。Q2はいよいよ待った無しの状況と思えます。
ペロブスカイト太陽電池向けの膜フイルムが期待の星とのこと(かつて有機 ELで達成できていたバリア性能程の厳しさは求められないので大丈夫・・・という説明を聞いたことがある)・・・ですが、新規事業を立ち上げるのはそんな甘いもんじゃないとうことは私が自ら体験したところです。
一番間違えがちなのは価格設定です。バリア性に優れるということだけを拠り所にして、その分は付加価値として価格(平米単価)を高く設定できる・・・なんて考えがちですが、大間違いです!先行する企業も性能を上げて来るし、価格もどんどん下がるし、安く売ると初期の採算が合わないし、逡巡してモタモタしているとまた時間だけ経ってしまうし・・・競合・強豪犇めく業界の厳しさをわかっておられるのでしょうか?事業を任せる人の目利きは大丈夫なのでしょうか?
説明会は下期などに先送りせず今スグにでも開催して頂きたいものですが(今スグ開催しないという段階でスピード感を全く感じません。そんなスピード感でいいんでしょうかね?)・・・「いつ頃どのくらいの事業規模になるのかのスケジュールと規模と確からしさ」を明確に語って頂きたいもの・・・と要望しておきます。それが明確に語れない様なら全く無意味な説明会と言わざるを得ないでしょう。