昨今の日中関係について:複数の中国通の方に訊いてみた

昨今の高市発言をきっかけとした中国の反応はやや「やり過ぎ感」が漂っています。

まあ、高石氏の政治的未熟さ(国益に全責任を負う総理は「思ったことをストレートに発言すればよい」というモノではない。ある種の「老獪さ」は必要)に端を発したことは事実ではありますが、それに対する中国の反応はちょっと常軌を逸していると感じざるを得ません。

そこで、中国事情に詳しい方・中国ビジネスに関わっている方々(複数)にインタビューして、中国側の真意・背景などを探ってみました。

大野の関心は:

1)JITF2026に向けてもっと広い会場を探している中で、一定数は中国企業の誘致を想定しています。もし中国企業が(事情はどうあれ)出展できないとなると、韓国・台湾・欧州企業の誘致にドライブをかけることになります
2)2026年3月初旬には上海・広州で重要展示会がありますが、そこへの出張は自粛した方がいいのかどうか

あたりです
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1.物資の輸出入; 今のところ目立った影響は出ていないようです。
2.人的交流; 

① 日本からの中国訪問;
  今のところ特段の影響は出ていないようです。
② 中国からの日本訪問;
  取引先の中国企業による日本サプライヤー工場訪問検査、及び同社上場に向けての幹事証券会社によるサプライヤー訪問最終調査が11月後半に予定されていましたが、理由説明なく直前に中止となりました。おそらくですが、政府の”訪日を控えよ”との指示に忖度したものと思われます。*言うことを聞かないと上場に影響が出る?など

③ 浜アユ他日本人アーティストによる芸能活動の中止など民間文化交流には実害が出始めており、文化大革命シーズン2になりかけているような嫌な予感がします。今は経済が止まると影響が出るので恫喝は入れるが、まずは民間交流面で嫌がらせをして、日本国民による反高市の声上げを期待しているのでしょうが逆効果ではないでしょうか

④ 斬首発言をした薛剣領事も謝罪せず、ペルソナ・ノン・グラータをくらう前に任期満了で帰国させてしまったようです。紳士的な人物で、自分の意志であのような発言をする人物とは思えません。政府の指示で行った行動と思われます。(一下端外交官が政府の承諾なしで、あの内容のSNS発信ができる国ではないことは誰でも分かることです)彼は天安門事件の際、天安門広場に集結して反政府学生運動を行っていた人物だとのことです。

⑤ 最近耳にした大手中国企業日本法人トップの話によると今回のケースは下記の背景があるとのことです。

(1) 高市政権誕生前に米国、中国のディールが進み、日本の情報機関はそのことを正確に把握できていなかった。
  中国は、米国との道が開けたことで日本に忖度する必要がなくなった。
  米国民主党には理念があるが、共和党(特にトランプ)は、損得勘定がすべて、ある意味中国共産党と波長が合う(ディール大好き)。      

(2) 中国内保守派(軍部)は、高市氏の一議員時代の発言、行動に不快感を抱いており、反中勢力の最先鋒と位置付けていた。
  習近平との初首脳会談で、新疆ウイグル問題など日本とは直接関係がない中国が不快に思うことを尖閣問題と並べて述べ、それを記者会見で公表したことで中国保守派が更に不快感を募らせたところに台湾有事に関する例の国会発言があり、中国右派(軍部)が中国外交部に「てめえら言いたい放題言わせて舐められ過ぎじゃないか」と日本部門トップの首が飛ぶほどの不満を伝え、それが薛剣のSNS発信につながった。

(3)  台湾統一問題は、”軍事行動も選択肢”だと中国は言い続けているが、”軍事行動なしで統一が可能”が本音、おそらくトランプサイドにも少なくともトランプ大統領在任中の軍事統一はないとも伝えているはずである。

3.この先について;

★中国による現在の対日姿勢は、しばらく続くと思われる・・・というのがインタビューした方々の一致した見方です。しかし、4月のトランプ、習近平の相互訪問で米中関係が改善してしまうと長引くばかりか経済面でも影響が出る可能性もあり、そうならぬことを願っているとのことです。
★中国は、高市政権が交代するまで嫌がらせを続けるかもしれませんが、中国経済も悪いため今回は経済関係まで影響を及ぼすようなことはないと思います(希望的観測か)
★むしろ、怖いのは、「造反有利」、「愛国無罪」で日頃不満を持っている一般の人たちが、この機会に日本人には何をしても良いと誤解し、暴力事件を起こすことです。尖閣の時、絡まれそうになったことがありました。
★当面は、中国に出張する方及び同行する方々に食事は町中のレストラン、居酒屋には行かず、ホテル内で済ませるようお勧めします。
★JITF2026に出展される中国IJ関連企業は主に民営企業ですので、あまり政府に忖度する必要はないはずなので出展するのではないかと想像します

以上、複数の方にインタビューした最大公約数的なご意見です

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