IGASって・・・Internationalなの?

IGASって、確か「International Graphic Arts Show」の略だったですよね?ここでいう「International」の意味って・・・主催者はどう考えているのでしょうか?今回、英国人ジャーナリストの通訳やアシストをするために会場を一緒に巡ったのですが、彼の眼には日本のローカルイベント・・・JGAS(Japan Graphic Arts Show)と映ったようです。

彼はジャーナリストなので、まず最初にプレスルームに行きます。取材の合間にそこに行って記事を書き、速報としてウェブにアップしたり SNSに流したりする為の仕事スペースだからです。ところが、そこに行って驚いたのは・・・

↑↑ まあ撮影許可の腕章のスペルミスはご愛嬌として・・・(笑)

・・・なんですか、この殺風景な部屋は?窓もなく(まあ、それは建物の構造上仕方ないにしても)コーヒーやソフトドリンク、軽食などの用意も無く、Wifiの電波も飛んでいません!分かり辛いですが、デスクの上にあるのはLANケーブルの端子ですよ!今時の PCにイーサネット端子って有りますか?

こんな些細なことにも、ここを利用するジャーナリスト達に普通に自然体で仕事をしてもらおうというような配慮を全く感じません。International GASの主催者は海外のイベントのプレスルームを見たことがあるのでしょうか?

私もウェブサイトを運営し記事を書いているので、何度か海外のプレスセンターに出入りしたことがありますが、drupaが開催される Messe Düsseldorfに限らず、ベルリンでも、ミュンヘンでもハノーファーでも、あるいは欧州の他の国や米国でも、プレスルームはどこも快適な空間と設備・ケータリングが提供され、ジャーナリスト達が落ち着いて仕事をすることができます。IGASの主催者や「場所貸し業」としてのビッグサイトの経営者は、そういうところを見たことないんですかね~?

また、ここに来る日本のジャーナリスト達も海外の展示会場のプレスルームって見たことないんですかね~?その差というか、ジャーナリストの扱いのあまりの差に驚いたり文句言ったりしないんですかね~?

↑↑ これはビッグサイトと同じ「場所貸し業」としての Messe Düsseldorfが提供する種々のサービスのなかのプレスセンターの項目の一部です。「管理棟にあるプレスセンターでは、見本市期間中の作業に必要なものがすべて揃っています。出展者のプレス情報をはじめ、プロフェッショナルなフォトサービス、インターネット接続可能なPCワークステーションなど、記事作成に理想的な環境を提供します。ご不明な点、お困りのことがございましたら、プレスカウンターにて担当者が対応させていただきます。」とあります。

↑↑ これは Messe Nürnbergという施設で開催される「FACHPACK 2024」というパッケージ関連の展示会のサイトから借用したものですが、写っているのは Messe Nürnbergのプレスセンターで、主催者も2名のプレス担当者を置いてジャーナリスト達の仕事をサポートしています。提供されるサービスは「インターネットアクセス・PCとプリンター・電話・FAX・作業ブース・フェアガイド・出展者情報・プレス情報(ここに来れば全出展者のプレスキットが入手できる)・ドリンクとスナック・クロークとロッカー・プレスパーキング」・・・少なくとも欧米では、これが普通で、これが特段手厚いサービスということではありません。

↓↓ これは IGASのプレスルームにあったロッカーですが・・・呆れたことに「鍵がありません」!まあ、好意的に見るならば、こんなところで盗難が発生する確率は限りなく低い、それが日本の素晴らしいところ!・・・確かにそうかも知れませんが、それに慣れると海外でスリや置き引きのカモになりがちです。あ、どうせ海外に行かないから関係ないか(笑)

↑↑ これはハノーファーメッセの会場ですが、ここにはプレス専用棟まであります。専用のシャトルバスも用意されています。ジャーナリストというのは、そのくらいリスペクトされ、ステイタスがあるのです。

但し、一つ重要なことがあります。上で紹介した「FACHPACK 2024」のプレス用サービス案内に書かれてあるのですが、ジャーナリストとして認定してもらうには「オンライン認定をご利用ください。オンサイト認定はできません。当社の認定ガイドラインはこちらでご覧いただけます」「注:出版社の経営陣、宣伝部、広報部に所属する方は認定を受けることができません。また、ジャーナリストとしての活動実績を証明できない家族も除外されます」とあります。

要は報道関係者やブロガーなどが「ジャーナリストとして認定を受ける」にはしっかりした認定基準をクリアする必要があるのです。英語のサイトにリンクを張っておきますので、後学のために是非ご覧ください。ここでもうひとつ大事なことは「出版社の経営陣、宣伝部、広報部に所属する方は認定を受けることができません」という点です。営業関係者や、企業のための提灯記事を書く人はジャーナリストとして認定されません。

企業のための提灯記事・・・というと下品に聞こえますが、これはこれでマーケティングとして大変重要な機能です。しかしそれは「ジャーナリズム」ではないのです。日本の業界紙・誌などはこの点が曖昧になってはいないでしょうか?Nessanはジャーナリストとしてのプライドとして、企業からいかなる形でもオカネを貰うことはありません。それをやってしまったら自分はジャーナリストではなくなる・・・というプロ意識がしっかり根付いているのでしょう。この業界のプレス関係者の貴方!・・・貴方はいかがですか?

今回はビッグサイト東の6ホールのうち、ホール4は使われなかったようです。Nessanが言っていたのは、日本の展示会は企業のブースばかりで、その間にテーブルや椅子などを設置して、来場者がちょっとお喋り出来たり、情報交換できたりするスペースが無い・・・以前は、ホールの端にコーヒーや軽食を出し、テーブルがあってちょっと休憩がてら打ち合わせができるようなセッティングだったように思うのですが・・・今回は無かったような・・・まあ、コロナを理由にそういうのは設定しなかったということかもしれませんが、ホール4が丸々空いていたんですから、そういうことも可能だったのでは?

これは主催者が発表した来場者数です。約3万人強の総来場者に対して約3千人が外国人だったとのこと。今は中国からは例の「ゼロコロナ政策」でなかなか日本への来訪(あるいは中国への再入国)が難しいはずで、中国人の来場者は少なかったハズですし、実際賑やかな中国語は殆ど聞こえてきませんでした=外国人の主体は欧米系・アジア系でもインドなど、風貌から非日本人ということが判り易い人が主体だったと考えられます。数字の上では「10~11人に1人がそういう『目立つ外国人』」だったことになりますが・・・そんな印象はありません。

まあ、主催者がウソまでつくとは思えない(註:ドイツでは数字の信頼性を担保するため、主催者とは完全に独立した公共団体が展示会の来場者などの数字を記録・点検・統計化します)ので、この数字を信用するとして、その延べ 2,969人の外国人来場者は、IGASに「International」という印象を持って帰国したのでしょうか?

————
ちなみに4年前の IGASの初日にも、私は「若干辛口?(笑)」のこんな記事を書いていました。着眼点は異なりますが・・・あまり変わってはいませんね(笑)次回・・・2026年には何らかの進化を期待したいものです。

また、気になって主催者団体の「日本印刷産業機械工業会」っていかなる団体なのかをググってみました。こちらがそのサイトです。

で、そのページの右上にある「English」というボタンをクリックしてみたところ出てきたのがこちらの「英文ページ」なるものです。

なんじゃ、これ?2009年に色認証がスタートしたとか、右下のIGASのバナーも「2018」年のものとか・・・まったくやる気を感じませんね、ダメだ、こりゃ!

日本の「ジャーナリスト」の皆さん、これ見て何とも思わないのですか?ネガティブなことを書くとお出入り禁止にでもなるんで書けないのでしょうか?

持ちつ持たれつとか、緊張感もなくナアナアでお茶を濁し、健全な批判をしないから、こんな情けない英文サイトを放置するような団体が「International GAS」を主催したりするのです。ジャーナリズムですか、それって?

——————【おまけ】——————–
この記事を書いている最中に、京都大力の山村社長の facebookにこんな記事がアップされました。
「JIAMに来てます。外国人がめちゃ多い!インド人やパキスタン人がツアーで来てるから、ビジネスになる可能性高い気がするな。Monna Lisa大人気!」

こちらの繊維機械関連の展示会です「JIAM」ってなんの略だ?と思って調べてみたら「 Japan International Apparel Machinery & Textile Industry Trade Show」だそうです。なんじゃ、そりゃ(笑)

aa

ああ、Japan International ・・・(笑)

関連記事

ページ上部へ戻る