ネスレの企画:10種のチョコを自由に組み合わせ・・・ん?

こんなプレスリリースがあります。日付は昨年の 9月 28日なので、もう世の中に定着して誰でも知っている企画かのかもしれません。まあ、私は甘党では無いので(笑)買ったことは無いのですが・・・印刷業界の、これも非甘党と思しき呑み助のオジサンたちの間でも結構話題になった企画です。

これ、何が凄いんでしょうか?正直申せば、これがインクジェットでプリントされたものなのか、グラビアなどの従来技法で印刷されたものなのかよくわかっていません。まあ、噂くらいは聞こえてきますが・・・(笑)インクジェット屋視点からは「単色のフルベタ」って難しいよねってまず思いますね。かつてナッセンジャーで淡い単色の着物をプリントしたときに結構苦労したトラウマが蘇ります。また食品包装に使われるには安全性の課題もあるんでしょうが、そこはネスレが採用してるんだからクリアしているのでしょう。

業界でグラビア印刷に詳しい人に意見をお聞きしたところ「グラビアでもこういう単色のフルベタをプロセスカラーで出すのは難しい。特色を使うしかないですね」とのこと。しかし「グラビア印刷機の版胴数の制約から 10色の特色なんて搭載できない」「グラビア印刷の場合、経済性を考えると数千メートルのロットになるが、こういう企画ものだと莫大な余剰を作ってしまうことが想像される:・・・

・・・ということは、やはりインクジェットでプリントしたんだろうという結論になるのでしょうね。

リリーズの絵と現物を見比べてみると商品が微妙に入れ替わっているのがわかります。これ、顧客が好きなのを選んで詰め合わせるんだから、10種もあれば当然「売れ筋」「死に筋」が出てきますよね。この数量バランスもデジタルなら調整が比較的容易だし、死に筋商品の入れ替えも版を作ることなくデータだけで済む・・・

しかし・・・これは他の印刷でもいわれることですが、例えば捺染では「最近のデザイナーは捺染の工程を知らない!マックでフォトショップ使って勝手な絵を描いてくるから困る、どうやって版分けするつもりだ!」なんて言われます。このネスレの企画担当者は「グラビア印刷の工程を知らないで、グラビアでは実現できない企画を勝手に作っちゃった」のでしょうか?

あるいはインクジェット機を導入した印刷屋さんが「ウチならこんな企画も可能ですよ、例えば・・・」と持ち掛けたものでしょうか?また技術・印刷品質以外では最大の難関と思われるコストはペイするのでしょうか?グラビアでは実質的な不可能なことが出来る分、少しは印刷代を高く貰えているのでしょうか?

この企画ってどうやって実現したのかなおかしにはあまり興味はないのですが、そのあたりの事情には大いに興味がありますね(笑)

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