テレワークの凄い事例:「年度決算」を経理部員が在宅でやってしまったソフトウェア会社

テレワークは、これまでの仕事(と思い込んでいたこと)ってなんだったんだろうという反省というか、そのきっかけを生んでいる話をしましたが、逆に「これは素晴らしい!」と思わず唸ってしまった事例も聞き及びました。「年度決算」を経理部門の皆が在宅でやってしまったというのです。これはマジ凄いと思いますね!

その会社は私が育って来た所謂「製造業・メーカー」ではなく、ソフトウェア開発を生業とする会社です。それも、今を時めく Googleやその手の華々しいソフト会社というジャンルではなく、受託開発を主体とした、どちらかといえば地味な会社といえるでしょう。

ただ、売上高は 500億円規模、従業員数は 2,000人規模と、ソフトウェア業界ではしっかりした存在感のある企業で、その業界の方なら「あそこかな?」と想像がつくかもしれません。

右のやりとりは、私の知人(中堅経理マン)と、その上司の LINEでのやりとり(3人のルーム)だそうですが、もうこの時点で経理部門幹部間の信頼関係が感じられますね。かつ、世の中の情勢の読みが実に適切!

私も、分社の社長だった経験はあるので、経理部門の季節労働者としての性格はよく承知しています。予算策定期は当然ながら、制度会計としての四半期決算、その中でも4月初にピークとなる年度本決算の大変さは並大抵ではないことを理解しています。

私は「毎月決算推定」と称して、期が始まる前から「0実6推」・「1実5推」・「2実4推」のように、単に月次決算だけでななく、ローリングで6か月の決算推定をやっていました。四半期決算推定なんて、ぶっちゃけ言うと無意味なんです。

何故なら、メーカーの場合、生産のリードタイムは3か月はあり(まあそれが多少ずれても、増産する為に派遣を増やそうとしても、教育などを考えると、向こう3か月の生産キャパはもうほぼ確定済み)、また顧客からも2~3ヶ月先までは確定オーダーを貰う=4月1日時点で、4~6月の決算推定は出来てしまうのです。

↑これを分かっていない企画畑で、実務を知らない管理マンが多過ぎ(笑) というわけで、年次決算は「上期確定決算値+下期4実2推」あたりで、ほぼ大ハズれしない数値が読めます。従って本決算もあまりドタバタせずに済みました。

とはいえ「ご本社様」から「某事業部の業績が、蓋を開けたらかなり傷みそうなので、なんとか対前年増益の回復に貢献を!」とかいう外乱はありましたが(笑)・・・まあ、これはどんな企業でもありうる一般論でしょう。実際、このソフト会社でもそれに類する調整は有ったようですが、それも乗り切ったとのこと。

実はこのソフトウェア会社は、このイベントに参加して、テレワークに関するある種の予行演習をやっていたのが奏功したとのこと!私は現役時代、正直申し上げて「防災訓練」の類はあまりキモチが入っていなかったのですが、このソフトウェア会社の場合は、それが大いに役立ったとのことです。

所謂「製造業・メーカー」の様に倉庫での実地棚卸は無いだろうとか、海外子会社へのブツの売上げに含まれる未実現利益の消去なんて問題は無いだろう、ソフト屋の決算なんて簡単だよな!という声もあろうかと思いますが、逆にメーカーには無い特殊事情はいくらでもあります。そんな特殊事情を乗り越えて、この規模の企業が、経理部門が全員在宅で年度本決算を乗り切った!・・・これは、考えれば考えるほど、じわっとスゴいいことに思えるのです。

性悪説で従業員を管理し、テレワークそのものを否定してきた企業が、突然それをやらざるを得ない事態となって、体制を整えるるために休業に追い込まれた・・・という事例もあるようですが、その対極にある事例としてご紹介する次第です。

なお、このソフトウェア会社では、自宅のパソコンが会社パソコンになるというテレワーク向けの商品があり(それを社員も使っているわけですが)・・・現在の外出自粛要請を受けて、特需で結構大変なことになっているようです。が、このコロナ危機は長引くことはもう確実なので、関心のある方はご連絡ください。紹介可能です。

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