Norafin:ドイツの不織布メーカーを訪問してみた(1)

先月のドイツ・ポーランド放浪中、5月23日にドイツの不織布メーカー「Norafin Industries (Germany) GmbH(ノラフィン)」社を訪問してきました。ドイツの中小企業によくあるパターンですが、こんな都会の工業地帯からは遠く離れた風光明媚な田舎にホンマに工場なんてあるんかいな?・・・それが有るんですね!しかも小規模ながら高付加価値のいい仕事をしているんです。最後の方にサプライズ情報もあります。ちょっと長いですが観光ガイドも兼ねていますので最後までお読みください(笑)長くなりそうなので2回に分けます。ん?3回かな(笑)

(上の地図はクリックすると拡大します)場所は旧東独のザクセン州、州都のドレスデンからは南西の方向に直線距離で約 80km。

私が泊っていたケムニッツは東独時代は「カール・マルクト・シュタット」と呼ばれており、マルクスの頭部の像と背景に「万国の労働者よ、団結せよ!」という標語が各国語で書かれ大きなプレートがあることで知られています。

ケムニッツからもう少し西に行くとツヴィッカウという町がありますが、東独時代にはあの東独の国民車「トラバント」を生産していた工場があり、今はフォルクスワーゲンの傘下となっています。

さて訪問した Norafin Industries (Germany) GmbH(以降 Norafin)はケムニッツからローカル線で南下し、Annaberg-Buchholzというかつての鉱山の町からほど近い Mildenau(ミルデナウ)という村にあります。

(地図はクリックすると拡大します)

もうひとつ前置きを(笑)このあたりはもうチェコとの国境にほど近く、標識や看板などもチェコ語が併記されていたりします。ここはエルツゲビルゲ(Erzgebirge)と呼ばれる鉱山の山地で、1968年に閉山となるまでは銀の他、錫、鉛、鉄、コバルト、ビスマス、ウラン、ニッケル、石灰、カオリン、石炭なども採掘されていました。ここで鉱山労働者やその家族の副業として発展したのが「木彫人形」で、クリスマスのプレゼントや家の飾り物として広く愛されています。

さて、Norafinに一番近い駅は「Rhermalbad Wiesenbad」という温泉保養所がある駅です。サムネイルはクリックするとスライドショーになります。

Timさんがお迎えに来てくれたのですが、そこでちょっとだけ会社の前身に触れる案内板があったので、それを見ていきます。

案内板には: 「機械式亜麻紡績工場」は 1858/59年にヤコブ・ベルンハルト・アイゼンシュトゥックによって設立され、1875年に閉鎖されました。この地域の地理的優位性と水力発電の活用可能性を背景に、1877年にアムステルダムの商人ヨハン・ゴットフリート・マイヤーが紡績工場を買収しました。

彼は、麻糸漂白工場の所有者オットー・ポレマンと共同で亜麻紡績工場を設立しました。マイヤー& Co.(第二次世界大戦後は国有企業)。亜麻紡績工場の生産は 1991年に最終的に停止されました。1900年、水力発電所(製造元:J. M. Voith、ハイデンハイム)が 99,999マルクで建設され、写真はその全体像を空撮したものです。

この写真は、Meyer & Co.の機械式亜麻紡績工場の生産風景を撮影したもので、 1995年に温泉施設「Thermalbad Wiesenbad」に買収され、2000年に大規模な改修工事が行われた後、水力発電所は 2001年 1月から再稼働し、リハビリテーションクリニック「Miri-quidi」に電気を供給しています。2001年から技術的記念物として一般公開されています。亜麻紡績工場の敷地内には、2001年に温泉公園が建設されました」とあります。

ここは旧東ドイツ・・・大方の企業が 1990年の東西ドイツ統一と同時に競争力を失い、西側企業によって買収されたのはまだいい方で、大方の企業は倒産・廃業に追い込まれます。

Norafinはこの亜麻紡績工場の流れを汲み、まだ東独時代の 1980-85年頃には水噴射を利用してフリースなどの生産に乗り出します。統一後の 1995年には企業名を「Norafinフリース GmbH」とし 1998年には今の拠点 Mildenaiに生産現場を集約し 2007年にはアメリカにも拠点を作ります。

旧東独の国営大企業が軒並み倒産・廃業に追い込まれる中で、中小企業であった Norafinはある意味異例の生き残り組と言えるかもしれません。

前置きが長くなりましたが、次回は Norafinについてご紹介し、またそれがインクジェットで意外な最先端の技術に絡んでいる話を書こうと思います。

Norafin:ドイツの不織布メーカーを訪問してみた(2)に続きます

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