エプソン:Fieryを 259億円の減損・・・それってあんまりじゃね?

東洋経済の記事から借用

エプソンが昨年買収したばかりの Fieryを 259億円減損したというニュースが連休直前に飛び込んできました。連休のお陰で?インパクトはかなり薄まったのではないかと思いますが・・・そうはいかない事件ですね、これは!
エプソンのサイトより
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日本企業はいったいいつまで懲りずにこういうことを繰り返すのでしょうか?こういうこと=事前のあいまいなアセスで高い買い物をさせられ、結果として減損を繰り返す・・・エプソンはたまたま目の前に事例があるので材料として採り上げざるを得ませんが、日本企業全体に通じる問題として書いておきます。

1.いったい誰が責任者なのか?

まずこちらの記事をお読みください。いったい誰が責任者だったのでしょうか?現地に乗り込んで買った会社を差配する・・・そういう立場の人・役員は誰なんでしょうか?「いや、現地に行かなくても、事業はそのままの形で継続するので日本からで十分だ」・・・なんて反論があるかもしれませんが、そんな腰の引けたことでど~すんのさ!だから買った会社を一年後に大減損する羽目になったんじゃないの?役員会などの集団で意思決定したとしても、それを執行する「結晶核」のような人物はいったい誰なんでしょうか?

経営責任は明確です。その時の社長であり、今も会長として任に就いておられる小川さんでしょう。社長だった小川さんが本案件の執行を担う「結晶核」とは思いませんが、最高意思決定をする社長という立場にあったのだから経営責任を取るのは当然です。

普通の減損は買収した翌年に行うなどということは無く・・・それって失敗だったことを早々と認めちゃうことになるので・・・経営責任があいまいになった頃にちょろちょろとやるもんですが、今回の場合は買収の翌年というのがある意味で異例です。小川さんの責任!というのが明確になるわけですから・・・

この決断は有耶無耶・曖昧にするより 100倍マシだと思います。実際株価もポジティブに反応しましたね!

しかし、うがった見方をすると「小川さんに責任を押し付けて」禊は済んだことにしてしまう(なってしまう)のではないでしょうか?それじゃ済まないのでは!こんどこそ結晶核となるべき人物を特定して明示して現地で差配する・・・そのくらい腰の座った姿勢を見せて欲しいものです!

それと元々の fieryのトップで今もその任にあるこの人物はどう処遇するのでしょうか?

こういう局面になるとよくあるのが「この人物をクビにすると、有力なマネージャーや技術者が一緒に辞めてしまうかもしれないのでクビに出来ない」ことです。また相手もそういう雰囲気を醸し出してきます。

もちろんクビにするのが唯一の正解ではありません。が、たった1年で250億円もの減損をせざるを得ない状況を創り出した中に彼は全く無縁・無関係だったのでしょうか?

2.250億円の意味って分かってますか?

そもそも会社は資金に余裕が出来ると自社株買いをやったりします。エプソンも最近やりましたね。この自社株買いって市場で株価が安い時にやるならともかく、本当に株主還元になっているのかどうか甚だ疑問です。確かに教科書には株主還元施策としての理屈は書かれていますが、株価なんてその後の市場環境や政治環境でいくらでも変動する訳です。

本当に株主還元になっているというなら定期的に「あの時の自社株買いはこのように株主還元となった」という定量的報告をするべきでしょう。私は自社株買いよりも、そういう余裕資金を創り出すために働いた社員に還元するべきという立場です。

で、この 250億円ってどんな金額かお分かりですか?AIで検索したところエプソンの従業員数は「2025年3月31日現在、連結で75,352名、単体で12,792名です」となっています。250億円って単体の従業員に配ると約 200万円/人、グループ従業員全体で分けても約 35万円/人の臨時ボーナスな訳です。

これをドブに捨ててしまったわけですよね・・・ドブに捨てるという表現が不穏当なら「蒸発」してしまったでもいいです。これに声を上げない従業員、従業員を代表しているべき組合、見識を持って経営に参画している(はずの)社外取締役ってどうなんでしょうね?何かアクションしてるんでしょうか?

3.シナジーってなんなのさ?

エプソンはあれだけ業界をざわつかせたこの買収を発表して以来ずっと何も発表せず、ダンマリを決め込んでいました。それが業界を更にざわつかせることにもなりました。

この件に関しては東洋経済もこのような記事で懸念を表明していました

11月1日の上期決算発表の資料の中で漸くシナジーなるものの説明がなされました。が、何度読んでも気持ちのこもらない、抽象的な通り一遍の記事としか思えませんでした。こういう記事を書くのは恐らく経営企画部門か何かで事業に関わらない人なんでしょうが、それでは人を納得・感動させることは無理でしょう。

やはり前述の「俺が会社人生を賭けてこの 850億円も投じた買収を成功させて見せる!」という結晶核となるべき人が心を込めて書かないと無理というモノです。私のようなウォッチャーはさておいても株主に対しては最低限、もっと気持ちの入った説明が必要ではないでしょうか?

4.大事なのはここからです

250億円の減損をしても fieryはエプソンの完全子会社として存在し続けるわけで、大事なことはここからどうするのかということでしょう。これはもう現社長の仕事です。

普通に推論すれば fieryは Sirisというプライベート・エクイティ会社の傘下にいたわけで、情報は公開されてはいませんがそういう会社の一般論として「経費をギリギリまで削って損益をよく見せて売却する」のが基本のキですから、買収直後の fieryには開発費(開発人員)も絞られ切っており、エプソンとのシナジーを起こすなど考えられない状態にあったと考えられます。エプソンが何を始めるにもまずカネを先に入れて体制を立て直すところから始める必要があったことでしょう。

そこにキチ★イのトランプのせいかどうかは分かりませんが結果として 259億円の減損をせざるを得ないくらいに損益が悪化した・・・まあそこにはいろんな葛藤があったことと想像されます。259億円の減損は何故 259億円(185円/$で割るとちょうど 140mil$)なのでしょうか?もっと減損する必要は無いのでしょうか?

一般にソフトウェア開発会社それほど巨額な固定資産を持っているとは考えられません。せいぜいサーバーとか PC位、それと売掛金位なものではないでしょうか?買収金額と純資産の差額が「のれん」なワケですがその実態は所謂「夢物語」なわけです。夢物語が実現しそうだとのれんの償却は不要ですが、実現が難しいことが分かった時点でその程度に応じて償却(減損)する必要があります。

本当に 259億円で済むのでしょうか?この先又ちょろちょろと減損を繰り返すということはないのでしょうか?これも私のような単なるウォッチャーはさておいても、来る株主総会では株主に対してしっかりと説明する必要があろうかと思う次第です。

5.日本企業へ

ここまでエプソンの今回の事例がタイミング的にフレッシュな題材だったので、エプソンばかりを突っ込む内容となっていますが特段の意図はありません。誤解の無いようにお願いします。それよりも名前を挙げるまでもなく日本企業にはあまりに同じような事例(失敗)が大いにも関わらず、一向に反省する気配もなくまた他社の失敗を自分事として考える姿勢もありません。ここで私なりに結論を纏めておきます。

執行責任者をはっきりさせなさい!マトモな人材を当てなさい!この一言に尽きます

組織で対応するなんて「絶対に」通用しません。明確に巨額で買収する案件を現地に乗り込んで差配する人を明確にすること!その人を最初からプロジェクトに参加させて自分事として案件を仕切らせること。私は文中で「結晶核」のような人材と呼んでいます。その人を核にして全組織でその人を支援することです。最初から組織で対応なんて体のいい逃げです!その時点で舐められてオワリです。

経営企画なんて責任の無い部門が「ウチは買収を企画・成功させること!あとの執行は他の人がやる(やらせる)」・・・こんなの絶対にダメです!自分で行けよって話です。行く勇気も、現地を仕切る能力もない部門や人が主導すると必ず失敗します。

その執行の結晶核となるべき人は単にアポイントすればいいというわけでは決してありません!本人が自分事としてモチベーション高く「自分にやらせてください!」という志願兵が理想です。あいつなんかいいんじゃないの?なんて徴兵制では「与えられたタスク」としていくので成果は期待できません!志願兵です!

それも痰に志願するだけではダメで、彼らと互角に渡り合える語学力、彼らに「お主、できるな」と思ってもらえるだけの教養・尊敬されるだけの人格が身についていないと務まりません。何かあると「本社と相談してから」?そんなやつダメですよ(笑)そんなこと、当たり前じゃないですか?

そしてそういう人材が見当たらないならば「買収なんて止めなさい」!そもそもそういう人材はサラリーマン集団化した企業では育ちません。コンプライスとか CSRが謳い文句として先に出てくる会社では育つ余地がありません。買収?やめておきなさい!そんな会社に欧米の企業を買収するなんて所詮無理です!投資顧問会社とか仲介業者の口車に乗ってはいけません!彼らは PMAの責任は取りません、経営企画と同じです。

そんな余資があるなら・・・従業員に還元しましょう!

 

 

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