Norafin:ドイツの不織布メーカーを訪問してみた(3)

Norafin:ドイツの不織布メーカーを訪問してみた(2)からの続きです

Nirafinでは市場・用途別に製品を「Pritective Line:防熱・防火・防弾・防刃など」「Performance Line:建築・産業・化粧品・衛生品」「Filtration Line:空気・ガス・液体のフィルター」「Cleaning Line:クリーニング・表面のケア」という4つのカテゴリーに分類しています。

1.「Pritective Line:防熱・防火・防弾・防刃など」は、その断熱性や銃弾の貫通や刀剣に対する強靭性を活かして「消防服」「軍服」「特殊環境での作業服」、極端には「宇宙服」などに広く使われています。

2.「Performance Line:建築・産業・化粧品・衛生品」は、その断熱性・吸音性・耐薬品性・生分解性や再生繊維を使用することによる持続可能性・軽量性・均質性・肌触りのコントロールが可能なこと・加工性などを活かして「壁紙」「建材」「「衛生用品」などに非常に広範な製品に使われています。

特に壁紙などは小規模なオペレーションを活かしてユニークな製品を開発しており、前回の動画の中国の超大規模メーカーには出来ないような付加価値の高い製品を供給しています。サーブボードなんてグラスファイバーかと思ってましたが軽量な不織布という手もあるんですね!

3.「Filtration Line:空気・ガス・液体のフィルター」は、その表面の均質性・水噴射方式による等方性の安定・繊維の選択により高温も可能・耐薬品性・耐溶剤性に優れている特徴を活かして広範な種類の気体から液体までフィルターが可能です、

4.「Cleaning Line:クリーニング・表面のケア」は、等方性機能による全方向の引裂抵抗性・高耐久性・高吸収性・天然繊維の使用によるソフトな仕上がり・耐摩耗性・高い皮膚適合性などを活かして表面クリーニングや肌に触れるクリーニングなどの製品に使われています。

以上、中国製の超大量生産による低コスト品との競合を避けて、高付加価値の製品を開発・供給しているというのが Norafinです。

この会社でもう一つ素晴らしいことは、従業員に対するケアが大変充実していることです。

従業員本人のみならず、Family Dayを催すなど、その家族に至るまで福祉が充実しています。このあたりはいかにもうまく行っているドイツの中小企業という感じで、私が大変好きな部分です。

従業員は必ずしもこの近隣に住んでいるわけではなく、雪の深い冬には通勤も大変だそうですが、離職率は非常に少ないとのことです。従業員の教育は見えない費用がかかるので、離職率が低いというのは大きなメリットと思われます。

この写真に写っている中央の人物が CEOです、この辺りは彼の経営哲学・経営手腕によるところが大きいと思われます。

ここで Timさんに追加で質問してみました。

1)Norafinの壁紙製品はインクジェットでプリントする前に前処理は必要ですか?

A:当社の素材には前処理は不要です。ほとんどの顧客は、当社の不織布に直接印刷しています。そのため、HP LatexやCanon Colorado(実証済み)を含む多くのプリンターで対応可能です。

2)Norafinの技術がミマキの「TRAPIS」の顔料転写技術に採用されていることは理解しています。この技術はオランダの紙メーカーである Coldenhove社の技術に基づいていることも理解しています。では、具体的に Norafinの技術がどこに採用されているのでしょうか?

A:TRAPISについて、私たちは次のように説明しています:Mimakiのピグメント転写印刷(TRAPIS)は、天然繊維素材に鮮やかな色を再現する水なしテキスタイル印刷プロセスです。
既存の印刷プロセス(Mimakiなど)を使用して、ColdenhoveのTEXCOL®ピグメント転写紙に印刷できます。その後、カレンダーを使用して、その印刷を当社のNorafin素材に転写します。
このプロセスは鮮やかな色を実現し、素材に摩耗抵抗性を付与します。つまり:TRAPISを使用して素材に鮮やかな色を付与し、同じ工程でTRAPISコーティングの表面改善も実施しています。

3)Norafin(アメリカ)とNorafin(ドイツ)の関係はどのようなものですか?両社は同じ株主を共有している理解でいいですか?

A:その通りです。両社に加え、当社のNorafin Technologies GmbHとNorafin Verwaltungs GmbHは、Norafinグループの一員です。

お問い合わせがありましたらこちらに書き込んで頂ければ先方にお伝えします。あるいは「Tim.Natzschka@norafin.com」・「Kerstin.Knorr@norafin.com」に直接お問い合わせ下さい。

Norafinを訪問した後、Timさんが私を近くの Annaberg-Buchholzの町まで連れて行ってくれました。ここはかつての Erzgebirge鉱山の町で、閉山となった後も、当時の繁栄を偲ばせる美しい街並みが残っています。ここでの挨拶は「Guten Tag」でも「Grüß Gott」でもなく「Glück Auf!」といいます。危険の多かった鉱山で「無事に出て来れますように!無事に出て来れてよかったね!」という意味が込められているのです。

以下に Annaberg-Buchholzの美しい街並みや教会・レストランの写真をアップしておきます。皆さんもたまにはこういう小さな美しい町を訪問されてはいかがでしょうか?サムネイルをクリックするとスライドショーになります。

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