- 2025-11-17
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「【日経記事】50代の早期退職、年収半減でも転職困難」(2)からの続きです。
ここまでの話の流れは「ゼネラリストとして大企業で出世したきた人は再就職では市場が無い。スペシャリストととして専門に特化した方がいい」という日経記事の主張に対し、「大野にはスペシャリストとして世に認められる資格やスペックなどは全くない」ということでした。しかし、今は大変充実した日々を送っています。ご参考になるかどうかわかりませんが、そのあたりをちょっと述べることにします。
退職後、私はどこかの会社に再就職する道を選びませんでした。おそらくその選択だと多くの人達と同じように「大企業出身の調整型ゼネラリスト」と分類されていたのでしょう。
私はインクジェットに関与して欧州・中国に足繁く通ううちに「欧州にはインクジェットのコミュニティが存在し、人も活発に繋がったり往来しているのに、日本にはそれが存在していない」ことに気づき「誰もやらないなら自分で立ち上げてしまおう」と思ったのです。自分のミッションは「1.日本に産業用インクジェットを形成し、そこに属する企業や人の活発な交流を促進すること 2.海外と日本の懸け橋役になること」と腑に落としたのです。
ここでひとつ申しておきますが、「人間、見たことのないことはやれない」ということです。私は足繁く欧州のイベントに通ううちに「ああ、なるほど、こうやって告知して・集客して・盛り上げて・運営するんだね」というのを見て学んでいました。そうでなければどこから手を付けていいのかもわからなかったでしょう。
若手にいろんなチャンスを与える=いろんな現場を見せること・やらせることです。ずっと後になって、その人がスペシャルなことをやれるか、ゼネラリストとして会社の贅肉となってしまうかはこの辺に分かれ目があるかもしれません。若手も、上からチャンスを与えられるんじゃなくて、自分で獲得に行けよな(笑)
Nessanのニュースを翻訳して流したり、時に自分で記事を書いたり、マッチングのお手伝いをしたり、また今でも頻繁に海外のコンファレンスやイベントに出かけて海外人脈をキープ・アップデートしたり・・・それらは全てそのミッションを全うする合目的的な行為ですし、なによりやっていて楽しいんです。
高市首相が「ワーク・ライフバランスを捨てて働きます」と目を吊り上げながら張り切っていましたが(笑)私にとってはそんなバランスなどそもそもありません。なんせやっていることは「ライフワーク」なのでライフとワークに分割するものではなく、楽しくてやってることなんですから・・・夜中でもなんでも(笑)ミッション(≒天職)やってる時って、ドーパミンが出て時間なんて関係なくなりますよ!
そして、満を持して 2020年1月に一度「JIBS2020(Japan Inkjet Business Conference)」を立ち上げます。これは私の全人脈を動員して世界中からスピーカーを招き国際色豊かな産業用インクジェットのコンファレンスとして大変な好評を得ました。これで「このアイデアはいける!」という確認を得たのは大きかったと思います。
更に申せば「これは商業イベントとして成り立ち、食っていける」と確認・確信できたのも大きな出来事でした。定年後、再就職するにしても、自分で何かを立ち上げるにしても「食っていける」ことは重要なことです。ここから逃げてはいけないし、多くの皆さんも最大の関心事はここでしょう。
その夏に展示会を主体とした今の JITFを立ち上げようとしたところコロナ禍となり、立ち上げは2年待って 2022年秋となりました。以来、JITF2025まで4回開催しています。回を重ねるごとに盛り上がってくるのを嬉しく思っています。
話を更に発散させてしまうようで恐縮ですが・・・自分をもう一度見つめ直した時、自分が本当に好きなことは「分かりにくいことを分かり易く伝える」ということなんだと気づきます。子供の頃は学校の先生になりたいと思っていました。分かりにくいことを分かり易く説明して「おお!そういうことだったの!」と腑に落とした時の納得感・・・それを聞き手に感じてもらうのが嬉しいんです。
ドイツの話もそうですし、「今更訊けないシリーズ」もそうですし、来年は「技術系の為の会計入門」って講座をいよいよ立ち上げるつもりです。これらは全て「分かりにくいことを分かり易く伝える」という私の好きなことなんです。インクジェットはたまたま出会った私のフィールドですが、そうでなくても「好きなこと」っていくらでもあるんですね。
定年後に何をやるか?というか、人生で何をやるか?結局最後は「自分が好きと思えることをやる」・・・これに尽きます。もちろん、生活するために会社勤めをやっている間はまあそうはいかないでしょう。でも、どこかで会社との別れは来ます。そこで右往左往するのではなく、出来るだけ早くから「自分の好きなことってなに?それをお金に変えるにはどうすれば?」というようなことを考えて、それに関して力を貯めていく・経験値を重ねていく・ホントに成り立つかミニテストを重ねていく・人との繋がりを作っていくんです。そうすることで「生活するために会社勤めをやっている」ことの意味も 180度変わります。
はい、失礼しました!長くなりました。纏めておきます。
1.日経記事にあるようにゼネラリストとして出世してきた人は再就職市場では「売れるスペック」がなく市場が無い。
2.一方でスペシャリストのほうがいいように書かれてはいるが、所謂「資格が伴うスペシャリスト」は極めないと中途半端
3.それよりも「自分が好きなこと」&「それで食っていけること」&「世の中の役に立つこと」を会社勤め中でも早めに見つけて秘かに・公然と力を貯めていく
それが定年後に露頭に迷わない知恵ではないかと思うのです。参考意見の一つとしてお読みいただければと思う次第です。定年を迎え既に迷っちゃっている人には意味は無いかもですが、若手はまだまだ間に合いますよ!

























