業界各社:この10年の株価比較(5) 印刷業界各社

業界各社:この10年の株価比較(4)からの続きです。

「Yahooファイナンス」で、多少なりともインクジェットに絡む企業の、この10年の株価を指標化して比較しています。1年や2年ではなく、10年という長期スパンで見てみると非常に興味深いものが見えてきます。今回は印刷関連のメーカー群です。

【まずは日経平均そのものから】

右の「%」の数値を見ると90%と120%の間あたり・・・105%というところでしょうか。実数値でいえば 13,677から 28,188なので 106%アップ。ざっくり申せば「日経平均はこの10年で2倍になった」・・・ということになります。

もっと長期スパンで見ればこういうチャートになります。リーマンショック、チャイナショックなど企業の個別事情ではない波がはっきり見えますね。

【印刷業界関連ベンダー】

「7911:凸版印刷(凸版)」「7912:大日本印刷(DNP)」「7914:共同印刷」「7915:NISSHA(元日本写真印刷)」です。ちなみに「7913」は図書印刷が 2019年 7月に上場を廃止となったため欠番となっています。「7916」は光村印刷で、株価の傾向としては 7914(共同)と似ています(後述)。

207年頃までは日経平均の前後で「団子レース」のように見えますが、その後所謂「大凸」と称される2社と、共同・NISSHAは少し傾向が違って見えます。前2社は最近2か月程で急騰し、結果としてこの10年間で日経平均に追いつき2倍となっています。それに対し、後2社は10年目と同じれべるということが判ります。

【7911:凸版& 7712:DNP(大凸)】

大凸をもっと長いスパンで見てみても、ほぼ同じ動きをしているのが確認できます。ここ2か月は急騰しているようですが。その背景について、日経は下記のように報じています。

これは 2022年 3月期の2社の決算説明資料から「セグメント別」のブレークダウンを抜き出したものです。2社とも、典型的な印刷業ではなく、様々な方面に多角化しているようです。しかし、細かく見れば多少の違いはあるのでしょうが、遠目で見れば「瓜二つ」にように見えます。ここまで、セグメント構成も売上規模も似ている2つの企業・・・何故こんなことが?お互い相手の動きを見ながら同じことをやろうとしているのでしょうか?

【共同印刷・光村印刷】

「大凸」の次の証券コードは 7914の共同印刷ですが、大凸が 1.5兆円規模であるのに対し、共同は 900億円規模とかなり差が開いています。株価はかつて1万円を超えていた30年前の 1993年頃と比較すると約 1/5となりあまり浮き沈みも無く安定しているように見えます。

証券コードを一つ飛ばして 7916:光村印刷(売上高は140億円規模)もほぼ似たような推移となっています。

【NISSHIA(旧日本写真印刷】

かつては「日本写真印刷」という社名だった NISSHAは、もはや典型的な印刷業ではなく、印刷の技術を軸としながらも、モバイルデバイスや医療分野などに絡んでおり、他の印刷業とは異なった特異な動きをしています。

この項、続きます

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