- 2023-2-8
- トピックス
業界各社の 2022年度第3四半期決算発表をした企業を順に取り上げています。今回は 2月 7日(火曜日)に発表したリコーです。第2四半期(上半期)が締まった段階では、下期に対する期待がやや過剰に見えていましたが、そこから四半期が進んで、残りの第4四半期はどう見えるのでしょうか?
リコー
売上高は順調に伸ばしているように見えます。営業利益に関しても順調に回復しているように見え、決算説明会資料で「第3四半期までの累計で、前年比 154%」と改善ぶりをアピールしています。しかし、これで十分かどうかは要検証です。
同社はここで年間の売上高と営業利益の見通しを、第2四半期で見通した値を据え置きました。ということで、例の引き算で「第4四半期に必要な売上高・営業利益」を求めてみます。
いかがでしょう・・・皆さんにはこれがどのように見えますか?売上高はさほど無理があるようには見えません。このくらいは何とかなる範囲に萌えます。ここに来て少し円高に振れているのがどう織り込まれているのかという懸念はありますが・・・。一方で営業利益はかなりの背伸びに見えてしまうのですが?
経理担当の方ならご承知と思いますが、期末にはいろいろな決算調整手段があります。本来、今期で費用化するべきものを資産化して先送りするとか、資産の評価を(良識で許される範囲で)「調整する」・・・とか(笑)中には禁断の手法もありますが、会計士さんがオーケーする範囲ではかなり「利益を絞り出す」ことは理論上は可能です。従って、経理技術的にはこういう営業利益は不可能ではないと思います。また、経理技術でななく、真っ当に?「顧客に製品を前倒しで買って貰って売上高を作って利益を増やす」という手段もあります。但し、それらは翌期以降に必ずツケが来ます・・・このあたりを私は「技術屋の為の会計入門(簿記を習わなかった人限定)」という講座で説明しようと考えています。
リコーは(会社としての公式発表ではないとはいえ)社長が交代されるようです。まさかとは思いますが「現社長への花道」という浪花節的な号令がかかっている?まあ、流石にそれは無いでしょう。そういうのを背景とした「無理な利益創出」は株価を上げる効果もなく、ツケを先送りするだけだからです。
3か月後の年間決算を見守りたいと思います。
【インクジェットに関して】
今回の決算説明会資料には明確な記述はありませんが、先般の IGAS2022や page2023でインクジェットに注力する姿勢を非常にクリアに示していました。もちろん、リコーがかなりの部分を依存している電子写真技術を核とした事業領域を簡単に放棄するわけではあり得ませんが、スマートな脱皮を図って欲しいと思います。