- 2021-12-3
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普通はネガティブな分断の歴史と共に語られる東西ドイツ国境ですが、ひとつポジティブな遺産を紹介しておきます。
西独ニーダーザクセン州のこの辺り(エルベ川流域)は当時は橋も無く(壊されたまま放置)、渡し船も一か所だけで Zonenrandgebietと言う「辺境地区」という扱いで、さしたる産業もなく人口密度も非常に低い地域でした。今もそれほど賑わっている地域はありません。
そして、現在のメクレンブルク=フォアポメルン州に面した右岸は、これまでの説明のように国境地帯として川の土手と、そこから 5km内陸側に二重の金網フェンスが設置され、その間は Sperrgebiet(制限区域)として、僅かな例外を除いては無人地帯だった訳です。
朝鮮半島の 38度線の両側を想像頂くと分かり易いのですが、28年に亘って無人地帯だったということは、逆に「手つかずの自然が遺されている」ということになります。無人地帯だったので、人工的な灯りは極端に少なく、夜空が綺麗に見える天体観測のスポットになります。
ここから対岸に渡る人間は撃たれましたが、鳥は撃たれることはなかったので天国だった訳です。また、エルベ川のこのあたりにはヨーロッパ最大(最長)とされる「内陸の砂丘 Binnendünen」があり、このあたりを軸に「UNESCO Biosphärenreservat Flusslandschaft Elbe(エルベ川景観生物圏保存地域)」として東西ドイツ統一後に自然保護と観光振興が進められているのです。
↓↓ 内陸砂丘の空撮映像です
Biosphärenreservat Flusslandschaft Elbe-Mecklenburg-Vorpommern
Naturschutzgebiet Binnendünen bei Klein Schmölen