- 2021-8-29
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さて「ルネサンスの町 Stadt der Renaissance」を標榜しているトルガウですが、どこがルネサンスなんでしょうか?ちょっと調べてみようと思います。
市庁舎:Gemeinfrei, Link(ソース:独語 Wikipedia)
ルネサンスってそもそも何?というところからお知りになりたい方は、池上彰氏に教えてもらうか(笑)、Wikipedia(日本語、独語)、「世界史の窓(受験生向け)」などをお読みください。ここでは独語 Wikipediaで「Sächsische Renaissance ザクセンのルネサンス」という項目をご紹介します。ちょっと長くなりますが、自分も興味ある分野なので DeepL翻訳での素訳を掲載します。なお「ザクセンの」と絞り込んであるということでお分かりの様に、ドイツには「ヴェーザー川流域」「北ドイツ」「ヴェストファーレン」「マイン川流域」「ネッカー川流域」「アルペン・フォアラント」などの広い地域や都市にルネサンスの影響がみられます。
まず「ザクセン・ルネッサンスとは、ルネッサンス期の特殊な建築様式のことである。特にエルベ川中流のザクセン選帝侯の地域に広まっていた。スタイルの形成には、主にボヘミア、イタリア、ポーランドからの影響を受けた。イタリアの芸術家一族は、依頼を受けて放浪し、その移動ルートに沿ってザクセン文化圏を歩き回ったため、様々なスタイルが混在し、独自のスタイルが発展していった。」とあります。イタリアに起こったルネサンス運動が他地域に広まるには、伝道師的な人物が巡回するとか、パトロン的な人物がそういう伝道師を招聘するなどの動きが欠かせません。ここではザクセン選帝侯がその役割を果たしたということでしょう。
「ザクセン州におけるルネッサンスの最も重要な先駆者は、選帝侯ザクセン人の建築家 Arnold von Westfalen(1425年頃~1481年)で、マイセンのアルブレヒト城を後期ゴシックからルネッサンスへの移行期に制作した。また、Schloss Hartenfels、Schloss Wurzen、Schloss Hinterglauchau、Schloss Heynitzなどにも過渡的な形態の建築装飾が見られる。
ザクセンのヴェッティン王朝は、イタリアで生まれた新しい建築様式をドイツ全土に広める上で決定的な役割を果たした。 王朝は独自に大規模な建築物を発注し、選帝侯モーリッツの下ではイタリアの芸術家をザクセンに呼び寄せた。ザクセンで活躍した著名な芸術家や建築家は、ルガーノ出身のジョヴァンニ・マリア・ノッセーニ、ハンス・フォン・デーン=ロートフェルザー、ベネデット・トラ(※1525年ブレシア/イタリア出身、†1572年)、ガブリエル・デ・トラ、カスパー・ヴォイト・フォン・ヴィエラント、ハンス・イルミッシュ、ローカス・ツー・ライナール、カルロ・ディ・チェーザレ・デル・パラージオなどである。
フランツ・メイドブルクは 1519年にアンナーベルグの町教会の主祭壇を建設し、ザクセンのルネサンスの先駆けとなった。ザクセンの建築家たちは 1530年頃からルネサンス様式を適用し、さらに北ドイツ(ブランデンブルク、メクレンブルク)に輸出していった。」・・・とあります。
ここで触れられているメクレンブルクでの典型例は「シュヴェリン城 Schloss Schwerin」です。このシリーズでもご紹介する予定です。
↑↑ この折り畳んだ部分を池上彰的に要約すると(全文は詳しすぎてゴチャゴチャです(笑))「ザクセンを治めていたヴェッティン家は 1485年にライプツィヒの分割条約で領土を分割し、兄アルベルトは今のザクセン州あたりを、弟のエルネストは今のテューリンゲン州あたり&「選帝侯」の地位を貰ったのです。その時、トルガウはヴィッテンベルクと並んで、弟エルネスト系の優先居住地とされ、ハルテンフェルス城がそれにふさわしいように拡充されます。
ところが、弟エルネスト系は選帝侯でありながら、ルターを擁護し宗教改革を後押しし、ついにシュマルカルデン戦争で、カトリックのボスである神聖ローマ皇帝に喧嘩を売って・・・敗けます(笑)お兄ちゃんのアルベルト系は皇帝側についたので「よしよし」ということで、弟系の領土の一部と、弟系から召し上げた選帝侯のポジションをご褒美として貰います。この時、トルガウも弟系から兄系に割譲されます。が、兄系の拠点はドレスデンだったので、さほど重要視はされず、ドレスデンがその後「ドレスデン・バロック」と呼ばれるバロック様式に発展していく一方、取り残されたトルガウにはルネサンス様式が多く残っている・・・そんな感じです。
独語 Wikipediaには、各都市の主要な建物が画像と共にリストアップされています。素晴らしいことに、教会や市庁舎などの重要なものだけでなく、一般の建物も網羅的に掲載されています。トルガウのリストにリンクを張っておきます
Liste der Kulturdenkmale in Torgau (A–L)
Liste der Kulturdenkmale in Torgau (M–Z)
リストの中で「Renaissance」で検索すると約 140件の建物がヒットします。この中からいくつかの画像を引用しておきます。
↓↓ クリックするとスライドショーになります
- Ehemalige Fleischbänke Markt 1 in Torgau
- Wohnhaus, Scheffelstraße 2 in Torgau
- Doppelvilla, August-Bebel-Straße 1
- Wohnhaus, Bäckerstraße 7 in Torgau
なお、ザクセン・ルネサンスの代表的な建築物はこちらのリンクに画像があります。