誰も知らないドイツの町 Unbekannte deutsche Städte(25):★★ノルトハウゼン Nordhausen -6-

★★ノルトハウゼン Nordhausen -5-からの続きです

コルンマルクトのロータリーを西に進んで、旧市街を歩きます。Stadtpfarrkirche St. Blasii(福音派)と Nordhäuser Dom(カトリック)の2つの教会に挟まれた旧市街は、ファッハヴェルクハウスがきれいに修復され、いい感じの街並みが再現されています。

ただ、航空写真で見ると、明らかに東西ドイツ統一以降に建てられたと思しき大規模な商業施設ビルや、修復された家並みのバックヤードが空き地になっているのが分かります。

大戦の爆撃で破壊されたというよりは、旧東独の経済運営の行き詰まりの犠牲となり、修復不能にまで朽ち果てた家屋群を、残すべきものだけを残し、大半は取り壊したものと推察され(ザニールンク Sanierung とか Stadtsanierung と言って「町のリノベーション」のこと) ちょっと複雑な気持ちになります。

↓↓ 右下にコルンマルクトのロータリーが見えます。その周辺は新しい大型商業施設の建物ばかりです。そこから西に進んだ一角が旧市街ですが、道路に面した家並みは残っているものの、バックヤードはかなり空き地や駐車場が目立ちます。こういう風に家並みが発生するはずはなく、バックヤードになった家屋は取り壊されたものと推察されるわけです。道を歩くだけでは分かりませんが、航空写真ではバレバレですね。クリックすると拡大します。

↓↓ ちなみに下の写真は私が7年間住んだ、旧西独ニーダーザクセン州のリューネブルクの、上とほぼ同スケールの航空写真(GoogleMap)です。この町は爆撃・砲撃を受けることなく終戦を迎え、戦後も西独の景観保護の枠組みの中で建物の補修が行き届いた結果、道路に面した家並みだけでなく、そのバックヤード(Innenhof)もしっかりと残っているのが見て取れるかと思います。

↓↓ 木組みの家屋や石・煉瓦造りの建物を定期的に適切な補修しないでおくとどういうことになるのかを記録した貴重な映像があります。途中 1:00を過ぎたあたりから当時の惨状が映っています。1994年のノルトハウゼンの様子を映したアマチュアのビデオですが、東西ドイツが統一された 1990年から 4年も経って、まだこんな状態だったんです。ここに映っているということは第二次大戦の爆撃を免れた建物なわけですが、旧東独の経済運営の(失敗の)結果、その後こういう状態になったのです。ここに映っている多くの廃墟的な家屋は、統一後の復興過程で撤去されたものと想像します。私も 1990年に日本人も自由に(まだ)東独に入国できるようになってあちこちをドライブしましたが、どこもこういう感じで思わず息を吞んだものです。

とはいえ、流石はドイツ・・・何を保護対象の文化財として認定するかしないかは、ちゃんと文化財保護法のような法律によって定義され、査定されてリストにして公開されます。Wikipediaにも「Liste der Kulturdenkmale in Nordhausen:ノルトハウゼンに於ける文化的遺産のリスト」として公開されています。

「ノルトハウゼンの文化遺産リストは、テューリンゲン州モニュメント・考古学保存局によって、アンサンブルや文化的モニュメントとして記録された、テューリンゲン州ノルトハウゼンの町の文化遺産を、町のエリア内の建築的・芸術的モニュメントとしてステータス付きで掲載しています。ここに掲載されているリストは、2009年4月にノルトハウゼン市の土地利用計画の一部として発表されたものです。」とあります。「§2 Abs. 1 ThürDSchG」とあるのは「Thüringisches Denkmal Schütz Gezetz:テューリンゲン州文化財保護法」でしょう。


↑↑ Finkenburgと名付けられた建物です。

ドムシュトラーセ12 Domstraße 12 →
チューリンゲン州で最も古い住宅のひとつとされています。この建物は、重厚な土台部分と軽快なファッハヴェルクのフォルムの矛盾でも知られています。玄関と歩行者用ゲートを備えた切石造りの 1階部分の上には、壮大な装飾が施された 2階部分が広いオーバーハングを伴ってそびえ立っています。控えめなファッハヴェルクの部分は、16世紀のニーダーザクセンの建築の特徴的な例です。年輪年代測定の結果、最も古い梁の材木は1303年に切断されたとされています。

↓↓ Museum Tabakspeicher タバコ倉庫博物館
博物館は、1712年に建てられたハーフティンバー様式のタバコ納屋にあり、19世紀から20世紀初頭にかけて、Walther & Sevin Tabak- und Zigarrenfabrik社がタバコの倉庫として使用していました。1994年に大規模な再建工事が行われ、現在の博物館の部屋は古い建物の中にあります

1,000平方メートルの敷地に、ノルトハウゼンの経済的ルーツを紹介しています。穀物の蒸留、噛みタバコの製造、機械工学など、最も重要な産業とその歴史が紹介されています。青写真、毛皮職人、仕立て屋、靴職人、パン職人などの伝統的な職業も展示されています[2]。さらに、歴史的な映画館も運営されています。また、ノルトハウゼン周辺の様々な発掘調査で発見された考古学的な資料も展示されています。(独語 Wikipediaより)

★★ノルトハウゼン Nordhausen -7- に続きます

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