地名の研究 Ortsnamenanalyse (2) 前準備:PLZ

地名の研究 Ortsnamenanalyse (1)からの続きです

先ず、地名の偏りの定量分析の前に少し前準備をしましょう。前回に掲載した地名全体像のリストの上の部分を再掲します。

先ず、前回の全体リストは、主要な「-接尾辞、接頭辞-」(以下 suffix)を 41件挙げ、多いものから降順に並べた訳ですが、その主要 41の suffixが付く地名が全体の 41.6%占めていることが分かります。ここにある 41の suffixのいずれかが付いていると「何となくドイツの地名らしいな」という気がするでしょう。ただ実際の印象・心象は観光や業務出張で縁のある地名(Düsseldorf、Rothenburg、Nürnbergなど)に引きずられがちという側面も頭に入れておく必要はありそうです。

次に、PLZごとの「地名の数」が均等でないことに着目下さい。PLZの「0 と 1」は旧東独のザクセン・ブランデンブルク・メクレンブルク-フォアポメルン州などをカバーしていますが、その二つの PLZの地名の数が全体に占める割合が 19%+19%=38%とかなりのウェイトになっていることが分かります。右の地図で見れば面積割合は全統一ドイツの 20%くらいにしか見えませんが、そこに 38%の地名が存在している・・・

下衆の勘繰りではありますが、東西ドイツが統一して、旧東独に旧西独の郵便番号(PLZ)を附番するにあたり、なんらか旧東独市民に配慮したのではないかと推察されます。元々、旧西独とは異なった郵便番号の附番体系で、かなり細かい地名まで番号を割り当てていたのをそのまま引き継いだとか、国が亡くなってしまう旧東独の市民感情への配慮とか・・・遠目で眺めてみて地名の数が旧東独に偏って多いという裏には、なんらかの作為があると想像するのが自然でしょう。

また理論上 00000から99999まで、100,000件の地名に番号を割り当てることが可能なところ、18,623件しか使っておらず、残りの 82%近くは空番で残っているので、そういう配慮をする余裕も十分あったと思われます。

逆に Düsseldorfのある「4」にはたった 315(全体の 2%弱)しか地名がありません。地名もついていないような広大な森林地域ならいざ知らず、Düsseldorfの他にも Duisburg、Essen、Buchumなどルール工業地帯の有力な都市が並んでいます。このあたりは後で述べる地名の偏りに、何らかの補正が必要となることを示唆しています。

地名の研究 Ortsnamenanalyse (3)に続きます

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