山形大学:産学連携教授を拝命しました 3/4

酒井真理産学連携教授
インクジェット開発センター長

大野彰得

2/4からの続きです

具体的にはどのように進めましょうか?

大野:で、具体的にはどのように着手しましょうか?目標と大日程と、その中での自分のアクションプランを書き出して腑に落とす必要がありますね?
酒井:その通りですまず目標と大日程ですが・・・この文科省のOI機構は5年間のタイムフレームの中で、企業から大学への資金流入を現状の三倍にすることを目標にしています。5年が経過した時点で、大学は現状の3倍の民間資金を獲得して、企業との競争領域の共同研究開発が活発に行われているというのが目標です。

大野:先の日経新聞によれば、山形大学は「山形大が企業から受け入れる共同研究費は2016年度に8億6千万円と過去5年間で約4倍に増え、大学全体の研究費の2割を占める。年平均の伸び率は約40%と全国の大学でトップだ。」とありますね?この3倍ということは、5年後には26億円規模の民間資金を獲得しているというのが、山形大学としての目標となりますか?
酒井:さすが経営者だけあって、数字には細かいですね(笑) でも重要な点です。ミッションで言えばOI機構は競争領域の共同研究を3倍にします。2018年度の山形大学の競争領域の共同研究費はおよそ2億円です。5年後には6億円規模の競争領域民間資金を獲得しているというのが、山形大学としての目標です。

大野:いえいえ!企業では数字でひっぱたかれて来ましたからね(笑) 2億円を6億円に・・・ということですか。対売上高試験研究費比率なんていう経営指標があるのですが、5%~10%というのが目安です。一兆円企業でいえば500~1,000億円ということになりますが、それと比べて6億円って随分小振りじゃないですか?そんな微々たる額でいいんでしょうか?
酒井:一兆円企業の試験研究費が500億円といっても、それは非常に広範囲なテーマの試験研究費の総和であって、個々のテーマに絞っていくと6億円というのはかなりの額だと言えます。

大野:企業秘密に関わる領域を、企業と提携して開発するわけですから、コンタミを起こさない為に、最終的にはあまり多くの企業とは組めませんよね?大学サイドの人的リソースの制約もあるでしょうし?1~2社に絞って、数億円の資金を得て共同研究ということになりますか?
酒井:どこか一社とガッチリ組んで、そこから数億円単位の資金を頂いて共同研究を行うというのは、ある種の理想ですが、逆に偏り過ぎるという弊害も生じる懸念があります。ただ、従来の様に「一件100万円」くらいの案件を無数に集めることは想定していません。企業で研究開発に1人の従業員を充てた時のコストを想定していただければよいと思います。

大野:しかし、この枠組み、5年間って悠長に過ぎませんか?かつて JAPERAの発足総会で締めの挨拶を頼まれまして「JAPERAの活動期間が5年って悠長に過ぎませんか?私は今57歳、5年後には62歳で定年を過ぎてます!3年で成果を出してくださいよ!」とぶって、拍手は頂きましたが、翌年からは発言を求められなくなりました(笑)
酒井:いや、是非そういうスピード感は大切にしましょう!

大野:当面のアクションは?
酒井:まずは企業の意思決定層やそれに関与する方々への趣旨説明とニーズの把握からです。その為に、この秋に集中的に各社を訪問します。可能な限り同行ください。一方で、大学サイドにも、明日からそのニーズに直ぐ応えられる設備やリソースがあるというものでもありません。企業サイドのニーズを把握しながら、それに応えられる体制構築と設備投資を進めていきます

大野:あ、なるほど!私がセールスマンとして、山形大学に既に有るものを売り込みに行くのではなく、ニーズを把握して3~5年後に売れる商品開発をしていく・・・そんなイメージですね?
酒井:そういうことになります。

大野:自分はコンサルティングという本業があり、自分視点で情報発信もしているわけですが、それと両立しますかね?
酒井:企業秘密に関わることに関与して頂くわけですから、そこは企業とのNDAの枠組という制約は受けます。

大野:それは当然ですね!今のコンサルティングでも、特段のNDAを結ばなくても、企業固有の秘密情報を他に漏らしたり、情報発信したりすることはありません。それをやったらそもそも信用を失うわけですから!
酒井:そこを押さえて頂ければ、若干の公的機関の作法に配慮頂ければ問題ありません。むしろ企業での経営経験をベースにコンサルティングをやっておられる・・・そういう人材が欲しい訳ですから!

大野:若干の役所関係の作法・・・というと?
酒井:例えば、文科省への提出文書に顔文字を使わないとか、そんな程度の話です(^^)

大野:オッケー★⌒c( ̄▽ ̄)マカシトキィ!

4/4に続きます

関連記事

ページ上部へ戻る