山形大学:産学連携教授を拝命しました 4/4

酒井真理産学連携教授
インクジェット開発センター長

大野彰得

3/4からの続きです

ところで・・・そもそもオープンイノベーションって何ですか(笑)?

大野:ところで、オープンイノベーションを検索していて、こういうサイトを発見しました。
これと、今回のOI機構との関係は?特に「文部科学省の「オープンイノベーション機構の整備事業」※1 を持続的に機能させていくための基盤となる非競争領域の産学共同研究、博士課程学生等の人材育成及び産学連携システム改革を一体的に推進する。」って、ダブっていませんか?
酒井:文科省のOI機構の整備事業は「競争領域」、すなわち企業が他社と競争するための技術開発を大学として支援するのが趣旨です。それに対し OPERAは「非競争領域」、即ち複数企業の共通利益になるような分野を推進するのが趣旨なんです。山形大学は、このOPERAのオープンイノベーション機構連携型に採択されました。

大野:分かり易く言えば、OPERAは複数企業が相乗りできるオープンな「マルチクライアント」のような分野、OI機構はクローズドな「個別企業との提携」ということですか?
酒井:そういうことです。この連携型は、“文部科学省の「オープンイノベーション機構の整備事業」を持続的に機能させていくための基盤となる非競争領域の産学共同研究、博士課程学生等の人材育成及び産学連携システム改革を一体的に推進する”ものです。先ほど、大野さんは、“企業秘密の技術開発に、大学が論文も出さずに手を貸してくれると言ってますか?”と訊かれましたが、このように競争領域と非競争領域が連携することで、新たな論文のテーマも創出できるわけです。

大野:最後に基本的なことなんですが・・・オープンイノベーションって何ですか?(笑)
酒井:(ガクッ)え、そこからですか?(笑)

大野:英語をそのままカタカナにした言葉って、基本的に好きじゃないんです(笑) なんかその時はわかったような気になって、後でうまく他人に説明できない・・・そういうのって性に合わないんです。ソリューションなんてその典型です。その点、中国語はいいですね。ソリューションは「解決方案」と訳してあります。腑に落ちる(笑)
酒井:なるほど!それなら、ここに大変分かり易い説明があります。ナインシグマのサイトですが、池上彰さんレベルです(笑) 是非ご参照ください。
【ポイントのみを引用すると・・・】

オープンイノベーションは社内外を通じた価値の創造

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「オープンイノベーション」という言葉を初めて提唱したのは、UCバークレー校のヘンリー・チェスブロウ教授でした。2003年、チェスブロウ教授がハーバード・ビジネス・スクールで教鞭をとっていた際に出版した「Open Innovation: The New Imperative for Creating And Profiting from Technology」という著書には、以下のように書かれています。

“ビジネスを取り巻く環境は変化している。イノベーションのプロセスもクローズドからオープンに変わらなければならない。”

書籍のタイトルに「オープンイノベーション」が使われていたことから、この言葉は広く知られるようになりました。チェスブロウ教授は、オープンイノベーションを次のように定義しています。

“the use of purposive inflows and outflows of knowledge to accelerate internal innovation, and expand the markets for external use of innovation, respectively.”

日本語に訳すと、以下になります。

企業内部と外部のアイデアを有機的に結合させ、価値を創造すること”

この定義にしたがえば、日本国内で既に行われている、企業間の提携、企業と大学間の産学共同の研究、自由参加型のコンソーシアム、グループ企業内の連携などもオープンイノベーションに該当します。

つまり、オープンイノベーションそのものは、まったく新しい概念ではありません。しかしながら従来のスタイルは、特定の業界、企業、個人による特別な活動であり、あらゆる局面で活用できる手法ではありませんでした。ところが、オープンイノベーションは、あらゆる企業のプロジェクトにおいて、社外組織を活用する可能性を検討することが特長です。

事業化や利益の追求に有効なことから、欧米などで多くの先進企業は「戦略的提携型オープンイノベーション」を定常的に活用しています。戦略的提携型オープンイノベーションでは、事業を行いたい企業が明確な目的達成のために、必要な技術を持つ企業や組織を見つけ出して、主体的に協業を持ちかけます。

チェスブロウ教授は著書の中で、オープンイノベーションには2つの側面があると述べています。1つは「外から中へ(outside in)」、もう1つは「中から外へ(inside out)」の側面です。

戦略的提携型オープンイノベーションも、2つのパターンに分けることができます。

1つは、研究開発に必要とする技術を広く探索する「技術探索(インバウンド)型」オープンイノベーションです。そしてもう1つは、これまで築き上げてきた技術を有効利用する「技術提供(アウトバウンド)型」オープンイノベーションになります。

ヒット商品が生まれにくい現在では、技術探索型(インバウンド型、How To Do型)に加え、「そもそも何をすべきか」を考えなければならないため、外部の知恵を積極的に活用するWhat To Do型のオープンイノベーションが注目されています。この手法では、スタートアップとの連携やイノベーションセンターの新設などを展開していきます。

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大野:おお!かなりわかってきたように思います!正直申して、前職の事業部長時代には、大学との連携にはちょっと懐疑的だったんですが、その頃にこういう体制になっていたらかなり違った展開だっただろうなという気がします。本日は有難うございました。
酒井:是非、よろしくお願いします!

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