山形大学:産学連携教授を拝命しました 1/4

私は 2018年 10月 1日付にて山形大学の産学連携教授を拝命しました。また同じく 10月に 同大学に設置された「オープンイノベーション機構(OI機構)」の事業クリエイティブマネージャーも拝命しました。この背景を、同大学の産学連携教授・インクジェット開発センター長で、OI機構の統括クリエイティブマネージャーでもある酒井真理さんとの、質疑応答形式でご紹介します。

酒井真理産学連携教授
インクジェット開発センター長

大野彰得

そもそもどういう話なんですか?

大野:産学連携教授って何ですか?拝命してからミッションをお訊きするのもなんですが?(笑)
酒井:文字通り、産業界と学界の連携を深めていく活動をして頂くことがミッションです。大学はアカデミックな世界の探求が重要な一方で、その研究成果を産業界と連携して実用化することで社会に貢献することが強く求められる時代なんです。その手法として注目されるキーワードがオープンイノベーション・機構です。

大野:その「オープンイノベーション機構(OI機構)」って何ですか?
酒井:文科省が、産学の連携を深めてオープンイノベーションを推進するために作った枠組みのことです。詳しくは文科省による説明資料をご覧ください。

大野:出たっ!私、こういう「パワポに綺麗な図や表がてんこ盛りの分厚い資料」ってあまり得意じゃないんですが(笑)
酒井:そりゃ困りましたね(笑) もう少し分かり易くということなら、10月 29日付の日経の記事が参考になると思います。
★ 大学、求められる「稼ぐ力」国の財政難で研究費不足 大型の産学連携模索 橋渡し人材・専門部隊を活用
★ 先行する米大モデルに 巨額ライセンス収入など

大野:お!酒井さんのお名前が出てますね!でも、有料会員限定記事じゃないですか!日経の有料会員でない人にもわかるように頼みますよ(笑)
酒井:全文引用は出来ませんので、ポイントのみを引用させて頂くと:「日本の大学が企業との連携強化に乗り出している。国の財政難で研究費不足に苦しむ大学は、外部資金の獲得が欠かせないからだ。産学を橋渡しする人材の確保を急ぐほか、大学内に専門部隊を立ち上げる動きもある。経営とは無縁といわれてきた大学もイノベーションの実現を通じて「稼ぐ力」が求められる時代になってきた。」ということなんです。

大野:国が金を出さないので、大学は自分で稼げ!ということですか?
酒井:「研究費不足に苦しむ大学」という外的要因は一つの見方です。研究成果をもって社会に貢献する(これをアカデミアの世界では社会実装といいます)ためには、社会貢献に結びつく産学共同研究の創出と管理を行うアクティブな組織が必要です。そして、その組織を中長期的な視点で運営するには、活動資金を大学自ら創出する自立した経営が重要です。「大学が自分で稼いだ資金で産学連携を独自に推進できる体制を構築するのを支援しましょう」というのが文科省の「オープンイノベーション機構の整備事業」なんです。

大野:「構造改革費用は貰える」ということですね?全大学がこぞって応募しますよね、補助金貰えるなら(笑)
酒井:関西人はストレートですね(笑) 実際には、応募資料を審査して、しっかりした内容があると認められたものだけが採択されます。平成30年度は8大学が採択されました。山形大学はその中で唯一の地方大学なんです。

大野:そういえば山形大学って、以前から有機EL分野とか、酒井さんのインクジェットも関係するプリンテッドエレクトロニクス分野とか、国立地方大学の中では、そういう実用的な研究開発を結構活発にやってましたよね!
酒井:はい、そういう気風のある大学だと思います。私はエプソンに勤務した後、東京大学に6年間おりましたが、東大には東大の良さが、山形大にはまた違った良さがありますね。動きは軽快と感じます。

2/4に続きます

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