- 2021-8-25
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まだ駅をうろうろします。今回は駅で引っ張るね~(笑)私が行った時にはたまたま閉まっていましたが、ちょっとしたインビス Imbissもあり、そういうのさえ無い完全無人化された駅と比べて、まだ人が働いているという温もりが感じられてちょっとホッとします。ただ、この一見なんの変哲もない 1872年に建てられた「築 150年」の駅舎は 2022年春までに解体され新築されることになっており、解体に際して地元に少し波風が立ったようです。
ドイツでは各州のレベルで「Landesgartenschau(庭園博)」が数年おきに開催されます。スタートは Nordrhein-Westfalen州で 1970年から、1980年以降 Baden-Württemberg州と Bayern州に広がり、その後他の州にも広がっていったものです。
独語 Wikiによると、その目的は「州のガーデンショーは、都市の生活の質と生態系の気候を改善することを目的としています。多くの場合、ガーデンショーは都市や地域の開発目標にもなります。そのため、ガーデンショーは通常、特別に美しい景観の場所ではなく、逆に特に不利な状況にある地域(採掘被害など)で開催され、構造改革を促進する効果や都市計画の目標を実現するように意図されています。」とあります。
ザクセン州では 2022年にこの Landesgartenschauがトルガウで開催予定となっているのです。ここにこれまでのザクセン州での開催地リストがあります。確かに僻地・田舎が殆どで、私の格付け的には「非知名度★★★」の町ばかりですが(笑)旧東独では特に、これを機会にインフラ整備をしていったものと思われます。
トルガウ市はこの駅の建物を 2016年に €250.000(今日のレートで約 4,000万円強)で(多分 DBから)買い取ります。おそらくこのタイミングで 2022年の開催が「トーキョー!」ではなく「トルガウ!」と決定され(笑)、歓喜に湧く市当局は、ライプツィヒ中央駅からの電車での来場者を見込んで、この機に補助金もあてにして、築 150年の駅を買い取り、そのリニューアルを考えたものと思います。
上の画像ソースの地元紙「Torgauer Zeitung」の記事は 2018年 11月 29日・・・2020年にコロナ禍に見舞われるなど夢にも思っていない頃のものですが、地元の建設会社が老朽化した駅舎を調査した結果、補修をすると€3.7百万、解体して新築すると€2.24百万・・・約2億円近く安くつくという試算を提示し。コンパクトで近代的な新駅舎案をプレゼンします。
ただ、この案では補助金を最大限(90%)貰うために「駅の機能以外の施設」、すなわちインビスやテナントのスペースは削られ、現在のテナントとの契約は打ち切られることになります。テナントがあると、そこからの収入が期待される分、補助金を減額する・・・というロジックなのでしょう。まあ、鉄ちゃんのワタシ的には「新しいけれど、呑み鉄やるために缶ビールとおつまみを買う売店さえ無いつまんない駅」になるのです。反対意見もでるでしょうね。
更に、この駅の歴史的建築物の価値を保存すべきと署名活動が起こります。右の画像ソースがそのサイトですが、いつ署名活動がスタートしたのかという不明なれど、署名の日付からは 2021年 1月 7日からと推定されます。
私たちトルガウ市民は、トルガウ市議会議員に対し、歴史的な鉄道駅を取り壊すという決定の撤回または停止を求めたいと思います。というのも、トルガウ鉄道駅は公共の関心事であるだけでなく、1872年に建てられた歴史的建造物であり、私たちの意見ではトルガウのモニュメントのリストに含まれているからです。また、ドレスデンの州記念物保護局には、1872年に建てられたこの歴史的建造物に再装飾を施す価値があるかどうか、もう一度確認してもらいたいと思います。」
その主張には「戦争と共産主義崩壊前の時代を生き抜き、今は取り壊されることになっています。歴史的な駅の修復は、私たちのルネッサンスの町トルガウにとって宝石のようなもので、資金や寄付によって可能になります。」と、ちょっと泣かせる表現もあります。
しかし、2021年 3月 31日の「MDR:Mittel Deutche Rundfunk」のレポートによると、結局駅舎は解体撤去・新設されることになったようです。古いからと言ってなんでも保存対象になるわけではなく、そこには文化財保護当局による審査があります。この建物は確かに 1872年築であり、この町には数少ないファッハヴェルク様式ではあったものの、旧東独時代に既に大幅に改造され、オリジナルの構造からかなり改変されていたので「歴史的建造物」としては認められない・・・という決定だったようです。
先の地元紙によると、駅舎の解体撤去から、新築駅舎の完成まで 21か月がかかるとあるのですが、このコロナ禍で予定通り進んでいるのでしょうか?そもそも冬場は「Bauferien」といわれるように、積雪などで建設工事が止まる(それを見越して予定を入れない)ものなんですが、大丈夫かな?そして Landesgartenschau 2022は予定通り 4月にトルガウで開催できるのでしょうか?
ん?あれ?どこかでお会いしましたっけね?(笑)