誰も知らないドイツの町 Unbekannte deutsche Städte(31):★★トルガウ Torgau -3-

★★トルガウ Torgau -2- からの続きです

まだ駅をうろうろします。今回は駅で引っ張るね~(笑)私が行った時にはたまたま閉まっていましたが、ちょっとしたインビス Imbissもあり、そういうのさえ無い完全無人化された駅と比べて、まだ人が働いているという温もりが感じられてちょっとホッとします。ただ、この一見なんの変哲もない 1872年に建てられた「築 150年」の駅舎は 2022年春までに解体され新築されることになっており、解体に際して地元に少し波風が立ったようです。

ドイツでは各州のレベルで「Landesgartenschau(庭園博)」が数年おきに開催されます。スタートは Nordrhein-Westfalen州で 1970年から、1980年以降 Baden-Württemberg州と Bayern州に広がり、その後他の州にも広がっていったものです。

独語 Wikiによると、その目的は「州のガーデンショーは、都市の生活の質と生態系の気候を改善することを目的としています。多くの場合、ガーデンショーは都市や地域の開発目標にもなります。そのため、ガーデンショーは通常、特別に美しい景観の場所ではなく、逆に特に不利な状況にある地域(採掘被害など)で開催され、構造改革を促進する効果や都市計画の目標を実現するように意図されています。」とあります。

ザクセン州では 2022年にこの Landesgartenschauがトルガウで開催予定となっているのです。ここにこれまでのザクセン州での開催地リストがあります。確かに僻地・田舎が殆どで、私の格付け的には「非知名度★★★」の町ばかりですが(笑)旧東独では特に、これを機会にインフラ整備をしていったものと思われます。

トルガウ市はこの駅の建物を 2016年に €250.000(今日のレートで約 4,000万円強)で(多分 DBから)買い取ります。おそらくこのタイミングで 2022年の開催が「トーキョー!」ではなく「トルガウ!」と決定され(笑)、歓喜に湧く市当局は、ライプツィヒ中央駅からの電車での来場者を見込んで、この機に補助金もあてにして、築 150年の駅を買い取り、そのリニューアルを考えたものと思います。

上の画像ソースの地元紙「Torgauer Zeitung」の記事は 2018年 11月 29日・・・2020年にコロナ禍に見舞われるなど夢にも思っていない頃のものですが、地元の建設会社が老朽化した駅舎を調査した結果、補修をすると€3.7百万、解体して新築すると€2.24百万・・・約2億円近く安くつくという試算を提示し。コンパクトで近代的な新駅舎案をプレゼンします。

ただ、この案では補助金を最大限(90%)貰うために「駅の機能以外の施設」、すなわちインビスやテナントのスペースは削られ、現在のテナントとの契約は打ち切られることになります。テナントがあると、そこからの収入が期待される分、補助金を減額する・・・というロジックなのでしょう。まあ、鉄ちゃんのワタシ的には「新しいけれど、呑み鉄やるために缶ビールとおつまみを買う売店さえ無いつまんない駅」になるのです。反対意見もでるでしょうね。

更に、この駅の歴史的建築物の価値を保存すべきと署名活動が起こります。右の画像ソースがそのサイトですが、いつ署名活動がスタートしたのかという不明なれど、署名の日付からは 2021年 1月 7日からと推定されます。

私たちトルガウ市民は、トルガウ市議会議員に対し、歴史的な鉄道駅を取り壊すという決定の撤回または停止を求めたいと思います。というのも、トルガウ鉄道駅は公共の関心事であるだけでなく、1872年に建てられた歴史的建造物であり、私たちの意見ではトルガウのモニュメントのリストに含まれているからです。また、ドレスデンの州記念物保護局には、1872年に建てられたこの歴史的建造物に再装飾を施す価値があるかどうか、もう一度確認してもらいたいと思います。」

その主張には「戦争と共産主義崩壊前の時代を生き抜き、今は取り壊されることになっています。歴史的な駅の修復は、私たちのルネッサンスの町トルガウにとって宝石のようなもので、資金や寄付によって可能になります。」と、ちょっと泣かせる表現もあります。

しかし、2021年 3月 31日の「MDR:Mittel Deutche Rundfunk」のレポートによると、結局駅舎は解体撤去・新設されることになったようです。古いからと言ってなんでも保存対象になるわけではなく、そこには文化財保護当局による審査があります。この建物は確かに 1872年築であり、この町には数少ないファッハヴェルク様式ではあったものの、旧東独時代に既に大幅に改造され、オリジナルの構造からかなり改変されていたので「歴史的建造物」としては認められない・・・という決定だったようです。

✙✙ クリック下さい。リンク先の記事を DeepL翻訳しています(素訳レベル)

トールガウ鉄道駅のモニュメント保護を求める市民の声
by Rebecca Kupfner, Christian Werner

ステータス: 31 March 2021, 08:58 hrs

古くて老朽化しているのか、それとも歴史的価値があるのか。ドイツでは、建築ストックの約3%がリスト化されています。しかし、数年前の建物がすぐに保護すべき文化財になるとは限りません。現在取り壊されているトルガウの鉄道駅はそうではありません。MDR AKTUELLのユーザーであるReinhard Wehner氏(Torgau近郊のMelpitz出身)はこれを理解できず、「なぜ駅はモニュメントではないのか、なぜファサードは改築されないのか」と問いかけている。

約150年後、その運命は決まった。トールガウの鉄道駅は、新しい建物を建設する必要があります。これは2018年末に所有者である市が決定したものです。 さて、解体の際にはハーフティンバーのファサードが現れました。トルガウの住民の中には、なぜ駅が取り壊されるのか理解できない人もいる。MDR AKTUELLのユーザーであるReinhard Wehner氏は次のように書いています。”ドレスデンの歴史的建造物保存のためのオフィスから、なぜトルガウ鉄道駅がモニュメントになってはいけないのか教えてほしい。” “今は美しいファサードを見ることができるし、改修することもできるのに。Initiativgemeinschaft Bahnhof Torgau-WIR」のホルスト・ヴェッダー氏も、「トルガウにはハーフティンバーの建物はそれほど多くありません」と同様の見解を示している。私は、駅を取り壊す必要はないと考えています。このハーフティンバーは、駅を保存できないほどの損傷はない。”

駅がモニュメントではない理由

この建物は、ドイツ民主共和国時代にすでに大きく改造されていました。歴史的な窓はもうありません。過去数十年の間に増改築が行われ、その結果、歴史的建造物の多くの部分が失われたと、担当のモニュメント保護当局は理由を述べています。彼らは、現代の歴史的資料に基づいて、現代的な分析方法で建物を検証しました。

前回の検査は3月に行われました。ここでも、「駅はモニュメントではない」という結果になりました。歴史的特徴が少なすぎる。ザクセン州の記念物保護局の部長であるハルトムート・リッチェル博士は、その理由を次のように説明しています。「法律上の要件を完全に満たしておらず、特に現状の検査では、記念物としての価値を疑いの余地なく立証することができませんでした」。

また、モニュメントであっても、一般的に取り壊しから保護されているわけではありません。例えば、ザクセン州では、1990年以降、約5,000のモニュメントが完全または部分的に取り壊されました。建物だけではなく、橋や擁壁、墓石などの構造物も含まれます。また、構造上の問題もあり、修復には莫大な費用がかかります。ドイツ記念物保護財団のプレス・スポークスマン、ウルスラ・シルマー氏は、このような状況には経済的な利益が伴うことが多いことを知っています。「記念物は一般的に、歴史的な都市の中心部に位置しており、当然ながら立地的な利点もあります。また、このような美しい場所に、経済的により効果的な使い方を詰め込むことができるのではないかと推測する人もいます」。

2022年に完成する新しい鉄道駅

トルガウに戻る。そこに、2014年の時点で建築局から駅が荒れていると警告されていましたが、2017年に市が購入しました。後日、建物の状態を分析したところ、現在計画されている新築よりも、改修の方が140万ユーロも高くつくことがわかりました。ウルフ・ポドビエルスキは、トルガウの評議員です。彼が所属する国会議員グループDIE LINKEは、市のアプローチを批判しています。一方では、駅舎とその周辺全体をさらに活用するためのコンセプトがなかったこと、もう一方では、「我々が直面しなければならないフォローアップコストを見積もるための、当時の建物の状態の分析がなかったこと。そうすれば、2018年末に浮上した駅の状態について、たとえば梁が腐ってしまっているといった驚きを免れたかもしれません。”

市は取材を拒否し、文書で「駅を買い取り、改装して使いたいと思うような利害関係者は見つからなかった」と述べた。市の行政はかつて市場価格の鑑定を依頼しており、サクソンの行政慣習に従っている。” 野心的な目標ができました。2022年4月までにTorgauに新しい鉄道駅が建設されます。

先の地元紙によると、駅舎の解体撤去から、新築駅舎の完成まで 21か月がかかるとあるのですが、このコロナ禍で予定通り進んでいるのでしょうか?そもそも冬場は「Bauferien」といわれるように、積雪などで建設工事が止まる(それを見越して予定を入れない)ものなんですが、大丈夫かな?そして Landesgartenschau 2022は予定通り 4月にトルガウで開催できるのでしょうか?


ん?あれ?どこかでお会いしましたっけね?(笑)

★★トルガウ Torgau -4-に続きます

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