- 2020-9-5
- ブログ
ここからは「特定ワイン産地(Bestimmtes Weinanbaugebiet)」ごとに、当時私が呑んだワインボトルから剥がして集めたラベル(エティケット)をご紹介していきます。まずは個人的な思い入れの深いモーゼルから。ドイツで運転免許を取得し、中古のアウディを買ってハンブルクから初めて遠出したのがモーゼル川流域でした。ワインの産地名として、私が最初に駐在した 1981年~84年当時は「MOSEL-SAAR-RUWER」と、主流の Mosel川に、二つの支流を並べた名称を用いていました。今は「MOSEL」と表記されています。
「Zeller Schwarze Katz ツェルの黒猫」の産地 Zell : Von Michael Pabst Copyrighted free use, Link
このワイン生産地域(12,055ヘクタール)は、モーゼル川とそのふたつの支流、ザール川とルーヴァー川に沿って広がっています。アッパーモーゼルの土壌は、三畳紀の岩(赤砂岩、貝殻石灰岩、泥土岩(Keuper))でできており、しっかりとした酸味豊かなワインを生み出します。モーゼル中部、ザール、ルーヴァーでは、スレート岩の土壌が、ピリッとした、繊細でフルーティーなワインを生み出しています。スレート(粘板岩)に加えて、ローワーモーゼルには硬砂岩もあります。モーゼルの主なブドウ品種はリースリングで、力強く、時には驚くほど花のようなワインを産み出します。さらに、ミュラー・トゥルガウや、バックス、ケルナー、オプティマなどの新種も栽培されています。モーゼル川上流域にはエルブリングという品種があり、特にスパークリングワインの醸造に適しています。赤ブドウの品種は、ザール渓谷下流のカンツェムにある2ヘクタールでのみ栽培されています。典型的なモーゼルワインは、フレッシュで上品で、フルーティーなスパイシーで繊細な花のような香りがあり、繊細な酸味に満ちています。
モーゼルはドイツ連邦共和国の主要な観光地の一つで、週末になると車の行列やレストランの混雑が目立ちます。コッヘム、トラーベントラーバッハ、ベルンカステル・クースなどの場所は、ハイシーズンになります。しかし、このワイン生産地域の小さな町、たとえばバイルシュタイン、エディガー・エラー、その他多くの教会や、教会や博物館があるトリーアも訪れる価値があります。重要なワインフェスティバル:ザールブルクのザールワインフェスティバル(8月末)、ベルンカステルの中央モーゼルのワインフェスティバル(8月末)
1980年代前半のドイツワイン事情(6)に続きます