1980年代前半のドイツワイン事情(5)特定ワイン産地 -1- モーゼル

1980年代前半のドイツワイン事情(4)からの続きです

ここからは「特定ワイン産地(Bestimmtes Weinanbaugebiet)」ごとに、当時私が呑んだワインボトルから剥がして集めたラベル(エティケット)をご紹介していきます。まずは個人的な思い入れの深いモーゼルから。ドイツで運転免許を取得し、中古のアウディを買ってハンブルクから初めて遠出したのがモーゼル川流域でした。ワインの産地名として、私が最初に駐在した 1981年~84年当時は「MOSEL-SAAR-RUWER」と、主流の Mosel川に、二つの支流を並べた名称を用いていました。今は「MOSEL」と表記されています。

Zell Panorama.jpg
「Zeller Schwarze Katz ツェルの黒猫」の産地 Zell : Von Michael Pabst Copyrighted free use, Link

1980年のワイン参考書の記述

このワイン生産地域(12,055ヘクタール)は、モーゼル川とそのふたつの支流、ザール川とルーヴァー川に沿って広がっています。アッパーモーゼルの土壌は、三畳紀の岩(赤砂岩、貝殻石灰岩、泥土岩(Keuper))でできており、しっかりとした酸味豊かなワインを生み出します。モーゼル中部、ザール、ルーヴァーでは、スレート岩の土壌が、ピリッとした、繊細でフルーティーなワインを生み出しています。スレート(粘板岩)に加えて、ローワーモーゼルには硬砂岩もあります。モーゼルの主なブドウ品種はリースリングで、力強く、時には驚くほど花のようなワインを産み出します。さらに、ミュラー・トゥルガウや、バックス、ケルナー、オプティマなどの新種も栽培されています。モーゼル川上流域にはエルブリングという品種があり、特にスパークリングワインの醸造に適しています。赤ブドウの品種は、ザール渓谷下流のカンツェムにある2ヘクタールでのみ栽培されています。典型的なモーゼルワインは、フレッシュで上品で、フルーティーなスパイシーで繊細な花のような香りがあり、繊細な酸味に満ちています。

モーゼルはドイツ連邦共和国の主要な観光地の一つで、週末になると車の行列やレストランの混雑が目立ちます。コッヘム、トラーベントラーバッハ、ベルンカステル・クースなどの場所は、ハイシーズンになります。しかし、このワイン生産地域の小さな町、たとえばバイルシュタイン、エディガー・エラー、その他多くの教会や、教会や博物館があるトリーアも訪れる価値があります。重要なワインフェスティバル:ザールブルクのザールワインフェスティバル(8月末)、ベルンカステルの中央モーゼルのワインフェスティバル(8月末)

フランクフルトからコブレンツまでは鉄道でライン川沿いを走るのもお勧め。コブレンツからモーゼル川沿いの国道を遡ってトリアまで・・・GoogleMapでは176kmで2:41時間となっています。直線では100km程度に見えますがモーゼルの蛇行に付き合っているとこの位の距離になります。途中にワインの産地や魅力的な町が沢山あるので、こんな時間で走破するのは不可能だし無意味です(笑)

下流:Koblenzから Ürzigあたりまで

Koblenzからモーゼル川を遡り、Cochemや Traben-Trabachなどを通りながら Ürzigあたりまで・・・
途中に Zeller Schwarze Katz(ツェルの黒猫)を産する Zellがあります

中流:Bernkastel-Kuesあたり

地図ではうまく表示されていませんが、Bernkastel-Kuesという有名な町あたりから遡っていきます

私が好きでよく呑んでいたのは上の Wehlener Sonnenuhr(ヴェーレンの日時計)でしたが 、下のふたつは日本でもよく呑まれていたようですね。ご存知の方も多いのではないかと思います。


上流:Trierの近くから Ruwer川や Saar川までを含む

ローマ時代の遺跡が残る Trier近辺、Mosel川に注ぎ込む支流の Ruwer川、Saar川あたり


1980年代前半のドイツワイン事情(6)に続きます

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