- 2025-3-27
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更に言えば「中国語サイト」にもヒットします。英語・韓国語・中国語では見つかるのに、日本語サイトには見つからない=日本語の(ウェブ)メディアには情報が無いのです。これはどうしたものか・・・
そもそも、この「Enjet」とはどういう会社で、どういうインクジェット技術を有しているのか?こちらがその公式サイトです。
要は「EHD(=Electrohydrodynamic)」のようで、ピエゾのように圧電素子の振動を利用したり、サーマルのように泡を作るのではなく、液体に電荷をかけて「引きちぎるように」液体を飛ばすもののようです。日本では SIJやパナソニック、海外では Scronaや Notionなどがこの技術を有しています。
プレスリリースによれば:
Enjetは、バッテリー電極プロセスへのインクジェット技術の応用を目指している
インクジェット印刷ソリューション企業Enjetは、バッテリーや半導体の生産にインクジェット技術を応用することを目指していたと、CEOのDoyoung Byun氏は述べました。同氏はインタビューで、同社はまた、インクジェットヘッドにおける日本の独占に挑戦するためにマルチノズルを開発することを目指していたと述べました。
昨年株式公開したEnjetは、自社の電気流体インクジェット印刷技術を誇りにしています。従来のインクジェット印刷では、圧電振動によりインクを押し出しますが、EHDでは代わりに電界を使用します。Enjetの方式では、ノズルの外側から力を加えてインクを押し出すため、粘度が数百センチポアズの場合、ノズルのサイズよりも小さな液滴を作ることができます。つまり、より精密な印刷が可能になるのです。
韓国の印刷会社の主な収益源は、現在、OLEDとMicroLEDの分野における需要です。Enjetの顧客には、サムスン・ディスプレイやサムスン電子などが含まれています。Byun氏は、2025年以降はそうではなくなるだろうと述べています。同社はインクジェット技術の応用を半導体、バッテリー、製薬分野に拡大することを目指しているからです。同社のEHDインクジェット印刷技術は、来年にはバッテリー生産の電極プロセスに適用される可能性があると、同CEOは期待しています。現在、このプロセスで使用されているスロットダイは、スリットノズルから液体を押し出して塗布しますが、これによりフィルムの一部に欠陥が生じるとByun氏は述べています。
この代わりにEHDインクジェット印刷を適用すれば、均一性を改善できると、同CEOは述べました。また、同氏は、この件に関して潜在的な顧客からEnjetに問い合わせがあったと述べました。さらに、Byun氏は、電極プロセスで使用される主な装置であるコーターをEHDインクジェット印刷機に置き換えることができる可能性があると信じています。
一方、イオン材料コーティングでは、Enjetはすでに電池分野から収益を得ていました。EHDインクジェットは、電界を使用することで液体の3D噴霧が可能になるため、精密な薄膜コーティングを実現します。これにより、液体の無駄が減り、高品質のコーティングが可能になる、と同社CEOは語りました。しかし、同氏は、イオンコーティングの需要は高くないことも認めました。
また、チップ生産では、次世代パッケージングへの関心が高まっているとByun氏は述べました。これは、本質的にはより多くの積層と材料の薄型化を意味します。つまり、ディスペンサーのプロセスはより高度化しており、企業は誤差のないプロセスを要求しているが、既存のディスペンサーではその要求に応えることができない。EHDインクジェット印刷は、この要求に応えることができると、同社CEOは主張しました。
Enjet社の究極の目標は、インクジェットヘッドのようなマルチノズルを開発することです。この分野では、富士フイルム、エプソン、その他の日本企業が90%以上の市場シェアを占めていると、Byun氏は述べました。また、これらの機械に使用される部品も独占しているため、Enjetがマルチノズルを開発することには業界にとって「意義がある」と彼は述べました。
Enjetは今年後半に16ノズルを搭載したEHDインクジェット印刷ヘッドを発売する予定です。2年後には256ノズルを搭載したヘッドの発売を目指していると、同社のCEOは述べました。韓国のインクジェット企業は、今年、売上高448億ウォン、営業利益182億ウォンを目指しています。売上高では2022年の2倍、営業利益では3.4倍の増加となります(DeepL翻訳そのまま)
この EHD方式によるインクジェット技術が本当に実用化され、工業的に意味を持つ日が来るのか?それは私にも現時点では評価できません。ただ由々しいと思うのは、この Enjetに関する記事(プレスリリース)が日本語のサイトではどこにも紹介されていないということなのです。
日本では、政府肝いりのジャパンディスプレイの体たらくを指摘するまでもなく、ディスプレイ産業が実質的に「絶滅」してしまったので、もうこの分野に関する情報をフォローする感受性も無くしてしまったのかも知れません。
では中国語のサイトには何が書いてあるのか?
先のプレスリリーズが別の写真入りでそのまま中国語に翻訳されています。中華圏では、意味があるかないか以前に、少なくとも情報は届いているのです。
このサイトのトップページは「いかにも中華サイト」というノリですが・・・いやいや、なかなかどうして・・・インクジェット業界のありとあらゆる情報がてんこ盛りです。なかには「国家プロジェクトでバイオ分野でインクジェットが・・・」みたいな記事もあり、中国でいかにインクジェット技術が注目されているか、各分野・業界がどのくらい本気なのかが伝わってきます。是非頬問して何かを感じ取ってください!
私は「日本をインクジェットの『情報陸の孤島』にしたくない」という想いで日々情報を発信しています。まだまだやることはあるなあ・・・という想いです!