- 2020-2-23
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また堀江さんが面白いこと始めるそうです!
「世界一ワクワクする印刷工場」をキャッチフレーズに様々なアイテムのプリントや製作を行う HappyPrintersや、1mからでも布プリントを請け負う HappyFabricを運営する母体 OpenFactoryの堀江社長が、またまた面白いことを始めるようです。Printio(プリンティオ)・・・まずはティザーサイトをご覧ください。
また、パワポ形式のスライドはここからダウンロード可能です。
資料には、なんとなく私の得意ではないカタカナが並んでいます。(笑)プラットフォームとかソリューションとか APIなどのカタカナ日本語・アルファベット3文字略語って、その場は分かったようで、後になるとなんか分からなくなりがちなので、自分の理解を深めるためにちょっとインタビューしてみました。
結構なロングインタビューになりましたが、やりたいことがよくわかりました。
大野:なんかまた、新しいこと始めるんだってね?ひとことで言えばなんなの?
堀江:WEBと印刷工場をつなぐデジタルプリントプラットフォームです。
大野:それが俺には意味不明だから訊いてるんだよ(笑)俺、鉄ちゃんだから「プラットフォーム」って聞くとまず、駅のホームを連想してしまうんだな(笑)
堀江:とりあえず鉄ちゃんは忘れてください(笑)
大野:WEBって言葉と、少量(1個から)依頼できる・・・ってあるけど、例えば「プリントパッ★」と何が違うのさ?伏字にする意味無いか(笑)
堀江:ひとつは「プリン■パック」のサイトは、自社工場で印刷するものを受注する為のものですね。Printioは一部はHappyFabricsや、出身母体の堀江織物の工場でプリントをするものの入り口にもなりますが、それと同じ位置づけで並んでいる「参加プリント工場」の受注入り口にもなります。
大野:もうひとつは?
堀江:これ、所謂 B2Bのサービスで、B2Cのサービスではないのです。
大野:ほう!じゃ、俺が個人としてカスタマイズ柄の「Tシャツ一枚」を頼むってのは出来ないんだ?
堀江:その通りです。一般人 Customerは対象としていません。
大野:なるほど。一部は堀江さんの会社にも仕事は流れるけど、その為の受注サイトではなく、多くの参加プリント工場に仕事を流す・・・それって「ラクス★」に似てない?
堀江:「ラ■スル」はプリント・オークションとかプリント・ブローカーといわれる仕組みで、受注した仕事を傘下の複数の印刷工場に提示して、最も安い価格を提示した工場がその仕事を取るというやり方が基本と理解してます。
大野:Printioは違うの?
堀江:参加企業が増えてくるとそういう仕事の取り合いは生じてくるかも知れませんが、最初からそれを仕組みとして組み込んで目的化してはいません。それよりユニークなものを提供できるプリント工場に参加して欲しいと思っています。
大野:なるほどね。でも、いずれ Printioが成功すると、我も我もとそれに参加したい工場が出てくるよね?そうなることを目指すんだろうし・・・いずれ、この問題は顕在化してくる気がするけどな?
堀江:それは嬉しい悲鳴という状態なので、まずはそういう状態を目指して活動していきます。参加企業同士の競合はある程度避けられない課題として認識して、そこを「価格」を切り口にして最低価格を提示したところに仕事が流れるというようには持って行かないように考えたいと思います。
大野:ちょっと纏めると「一般消費者からは見えないけれど、一般消費者相手に WEBで ECサイトを運営している企業や、販売アイテムではないがノベルティを発注したい企業などのバックスを担って発注業務を簡素化する」・・・そういうことかな?
堀江:「ひとこと」にしては長いけど、まあそういうことです(笑)付け加えてもっと長くすると、受けるプリント工場側も受注から作業・検品・発送・課金までの流れをシンプルにできるということになります。
大野:でも、なんでこういうことを思いついたの?
堀江:家業の堀江織物のアイテムや、自分がやっている HappyPrinters、HappyFabricの為の受発注と、工場を結ぶシステムを構築したんですよ、先ずは自分の為にね。インターネットが好きなので、そういうことをやってくれるソフトウェアエンジニアとサクサク話をして頑張って作っちゃったんです。
大野:ま、そこは堀江ちゃんらしいというか、小回りが利くというか・・・大企業じゃなかなかそうはいかないよね~。デジタルトランスフォーメーションとかDXとかが流行語らしいけど、コンサルあたりからそういうバズワードを聴き込んだ経営者が「DX推進委員会」とかを部下に作らせちゃったりするからね~(笑)
堀江:僕はいわゆる大企業に務めたことは無いけれど、まあイメージは湧きます。
大野:で、続きは?
堀江:家業はサイン系のプリントが本業だし、自分のやっていることも世の中の潜在需要から見れば微々たるものです。「こんなことできない?」って問い合わせをよく受けるんですが、ウチでやれないことがすごく多い。
大野:ま、そういうもんだろうね。
堀江:で、そういう案件を請け負ってくれるプリント工場をいろいろ当たってみたら・・・「ECサイトとか作ってみたい、WEB入稿とかやってみたい、そこで生産までデータが繋がって作業票に落とし込んで、発送や課金まで一貫してやりたい・・・だけど、どうやっていいのか分からない」・・・そういう印刷工場さんが凄く多いことがわかりまして・・・
大野:まあ、皆さん、印刷のプロだけど、インターネットのそういう仕組み構築のプロってわけじゃあないからね。
堀江:そうなんです!僕はたまたまインターネットが好きだったので、ソフト屋さんと一緒に自分が納得のいくシステムを構築してしまったんです。それをプラットフォームとして提供しちゃおうと・・・
大野:あ、また上野駅23番線に、急行十和田51号が入線してくるところを思い浮かべてしまったぞ(笑)
大野:ま、要はもう出来ちゃってるんだから、その上に乗っかって下さいよ・・・ってノリだね?
堀江:そうそう。大野さんだって、ウェブに文章を発表するのが本業だけど、それをウェブに乗せるために HTMLとか、CSSとか、phpとか、WordPressのカスタマイズをやらないといけないとしたら、気が重いでしょう?
大野:まあ、昔は自分で HTMLのタグを書いてホームページを自分で作ってたんだよ、これでも(笑)今は WordPressで書いて、細かいカスタマイズは WEBエンジニアにお願いするね。
堀江:僕もコーディングまではやりませんが、ソフトエンジニアとガッチリ話し込んで、自分の納得の行くシステムは構築したんです。まあ、好きなんですよ、そういうのが・・・
大野:世の中にソフト屋さんとかいっぱい居るじゃない?そういう人達が作ったシステムとなにが違うの?
堀江:僕の実家はプリント業ですし、僕自身もプリントでグッズ作成が仕事です。要はプリントを生業としている僕が自分で納得するような仕組みだし、他のプリント業の仕事も概ね分かっているので言葉が通じます。システム屋にシステム構築を依頼する時には徹底的に仕事を理解してもらうことが必要ですが、それでもなかなか意図は通じません。ウチのはプリント屋が作って、既に稼働しているシステムを、他のプリント屋やプリントバイヤーにも使ってもらおう・・・ということです。もちろん、相手に合わせたカスタマイズはします。
大野:ちょっと纏めよう。上野駅23番線・・・じゃなかった、そのプラットフォームには、堀江さんのところ以外のプリント工場が既に何社も参加しており、これからも増やしていく。この人たちは基本は製造業。一方で、プリントアイテムをエンド顧客に売ることで商売したい販売業の人達がいる。それを繋ぐベースをプラットフォームと称している訳ね?
堀江:そういうことになります
大野:一気通貫で両方=販売と生産の両方やりたい人は?
堀江:両方やってもらえればいいです。なんの問題もありません。Printio自体はそういう販売業の方々のお客さんからは見えません。あくまで受発注の黒子・バックスに徹します。
大野:で、一部でも全部でも、いいとこ取りでも使ってもらう。足りないところは経験のあるソフト屋を動員して応援しちゃう・・・そういうことだね?
堀江:はい、そういうことです。
大野:そんなに簡単に行くの?
堀江:まあ APIで繋ぐとか、カート連携するとか程度のことですから、そんな難しいことじゃないです。
大野:あ、そのへん、勉強するワ(笑)そういう新語に弱いねん(笑)
堀江:USBって規格が決まってるから、それに準拠している機器は刺せば繋がるじゃないですか?APIってソフトの USBだと思えばいいのかなって感じです。
大野:ホンマかいな(笑)まあ、堀江ちゃんがそういうなら、取り敢えず信じておこう(笑)
大野:ところで Printio事業の収入源ってなに?採算構造はどうなってんの?
堀江:企業秘密です(笑)あ、嘘です(笑)やはり、Printioを使って受発注が発生すれば、そこには課金することになりますし、ヘビーなカスタマイズは工数を見積もって対価は頂くことになります。でも同じ対価を払うなら、プリント屋が自分で使うシステムのノウハウを出すので、短期にいいものを提供できる自信はあります。
大野:なるほどね~!段々ツボが分かってきた。普通はそういうのこそノウハウにして抱え込むんだろうけど、自社の実ビジネスが大きい訳では無いので、逆にオープンにいろんな人を巻き込んで大きくて魅力的にしようというわけだね。
堀江:はい。日本はそれなりに大きい市場なので、国内だけ見ていてもそれなりにビジネスは成り立つけど、オランダとかイスラエルとかって、内需が小さいので自ずとオープンに外に出て行きますよね?ウチは抱え込んでも所詮小さいので、オープンにしてパイを大きくしたいです。
大野:なんか、俺が言いそうなことをいうね(笑)
堀江:僕の想いを語っていいですか?
大野:勿論!それを聞きに来たんだよ(笑)
堀江:受発注業務ってのがネックで、こういうことのデジタル化って進んでない実態があるんですよ。例えば名刺を発注するのに、時給数千円もする人が1時間かけてやってるとか、受注する工場では仕組みが出来てないのでとんでもない工数をかけて紙の伝票が動いてるとか・・・みんな何とかしたいと思ってるけど、なかなか手が付かない。それを Printioをビルトインしてもらうことで撲滅したいんです。
大野:印刷物を発注する仕事って結構煩雑そうだもんね。
堀江:そう、それが既に作ってあるシステムをちょっとカスタマイズして導入するだけなので、ほとんど自動で発注できますし、発注残管理もできます。大企業でもDXでこういうのも対象になると思いますが、なかなかサクサク動けていないのもよく見ます。こういうのも助けられると思いますし、助けたいんです。
大野:しかし、これを進めるリソースとして一番大事な、一緒にやってるソフトエンジニアって、そんなに人数は多くないだろう?参加したい人達が殺到したらリソースは対応できるのかい?
堀江:殺到してくれたら嬉しい悲鳴です(笑)そうなるように持って行きたいですね。ソフトエンジニアも、全体像が見え難い大きなシステムの一部を担当するより、こういう具体的な形になるシステムに興味をもってくれるのは有難いですね。大野:でも、ソフトエンジニアを抱えるんのは固定費だから費用先行になって、資金流出が先行するだろう?
堀江:はい、そこは苦しいところ・・・というか、鶏と卵みたいな側面があります。こう見えても僕は手堅いほうなので、ペイする確信をもってから人を雇います。このあたり、海外ベンチャーとかイスラエルのランダとか、先に大きな夢を提示しておカネを集める・・・ああいうダイナミックな発想にはなれないです。とはいえ、ベンチャーに出資してくれる人たちを探す努力はしています。
大野:ベンチャーに資金を出す方も慈善事業じゃあないから、どういうリターンを返すのかをいつも考えるようだね。
堀江:そのですね、そう思います。
大野:これってさ、どこまで大きくなるの?ア★ゾンって、プラットフォームとかで、どんどん大きくなって既存のサプライチェーンを壊す規模になってるじゃん?世の中のプリント業者をどんどん組織化して、世の中のプリント発注者をどんどん取り込んで無限に成長するの?どこかで限界はくるの?その限界があるとすれば何が脚を引っ張って限界になるの?
堀江;答えになるかどうかわかんないですが、なんでも並んでいるドンキ■ーテを目指すんのではなく、セレクトショップを指向しています。
大野:それって「オープン」という志向とは違うんじゃないの?好きなプリント業者だけ偉ぶってことでしょ?
堀江:なんでもかんでも取り込むのがオープンという意味とは考えていないんです。ラク★ルのような業態なら、それこそ間口を広げてそのなかで競わせて・・・というオープンを志向できます。Printioは、やはり特徴が有ったり、尖った技術があったりするプリント工場に参加して欲しいので、そこの目利きは必要だと思うんです。
大野:じゃ、前の方で話した「参加プリント工場間の競争・競合」というのもそこで制御できる・するっていうことね?
堀江:そうですね、そこは必要なんじゃないかって思います。
堀江:逆に発注側には文字通りオープンで行こうと考えてます。彼らからは、参加プリント工場の動きが見えるので「おお、そういうことも出来るんだ!」という新たな発見もあると思います。
大野:ど~ゆ~こと?(笑)
堀江:今、新しい技術導入や製品開発をやっても、なかなか営業が大変なんですよね。発注側の企業が多くなれば、そういう人達は常に新しいものを見てくれる・・・そういう効果はあると思います。
大野:セレクトショップが会員を増やして、会員顧客にカタログ配る・・・みたいなイメージ?
堀江:紙で例えればそういうイメージですね。会員は多い方がいいです。
大野:最後にちょっと具体的な話。例えば、アパレルがプリントの部分だけ発注したい、そこさえできれば縫製は自分たちで手配できる。プリントだけ頼める?ってのは対応できるの?
堀江:対応できます。というか、そこは正しく狙いの一つです。B2Bのスプーンフラ★ーみたいなイメージです。もちろん、アパレルさんは独自の品質基準をもっているので、最初に参加プリント工場の品質がフィットするかどうかの擦り合わせは必要ですけどね。
大野:なるほど、B2Bのスプ■ンフラワーか!あれも布を発注して、加工は自分でやるんだもんね。
堀江:アパレルさんだって衣服だけでなくても、例えばトートバッグとかエコバッグとか、文具とかグッズとかのコーディネートもあるでしょう?そういうのに発想を膨らませて貰えると思うんです。
大野:なるほど~!かなり分かってきた気がする!また一歩進んだら教えてよ!
堀江:はい、パワポに来年くらいまでの簡単なロードマップというか、マイルストーンが書いてありますので、進捗を報告しますよ!
大野:よろしく!・・・しかし・・・★とか■とか、殆ど意味無かったね(笑)
大野感想:「自分で構築し検証済みの仕組みを横展開する」「プリントの受発注の煩雑さを撲滅する:何がミッションかがはっきり見えている」「ヒエラルキーや忖度が無いので動きがとにかく速い」・・・これは応援したくなりますね!受発注の簡素化・・・というのはありますが、それを超えて「Printioワールド」を構築するというビジョンが見えますし、パッションが伝わってきます。ひとつツッコミ忘れがあるとすれば「壁にぶち当たるとすれば何だろう?何か想定してることってある?」ということですが、まずは壁にぶちあたるまでは進んでみることでしょうね、ここまでシナリオが見えているんだから。そして壁に当たっ時は、その昔の日経ビジネスの「敗軍の将、兵を語る」というインタビューではなくて、その前に助けに行っちゃうと思います(笑)