FESPA 2023(3):B1展示棟 -1- (ミマキ・リコー)

今回の FESPA 2023はミュンヘンのメッセ会場の A1・A2・B1・B2の4棟を使って開催されました。2019年にも同じミュンヘンで開催された時には6棟を使っていたので展示面積的には 2/3になった勘定です。西入口を入ると左手に「B1」その向こうに「B2」、右手に「A1」その向こうに「A2」という位置取りです。私は人との待合せの関係で B1に最初に行ったので、そこから書き始めます。なお製品のスペック詳細などは Nessanやそのほかの専門家から詳細に報告されると思いますので、そことは違った視点で書くことにします。

【B1】

なんといっても入り口直ぐのところにブースを構え、かつ占有面積も最大のミマキエンジニアリングが一番目立ちます。面積的には「EPSON」「BROTHER」がそれに続きます。「RICOH」「AEOON(オーストリアのDTG機メーカー)」「d-gen(韓国のテキスタイル機メーカーで DGIに買収された)」などが続きます。

【ミマキエンジニアリング】

これは大野の全くの独断と偏見ですが、ミマキの場合は「社長が来ている・社長の顔が見えている・社長に海外メディアがインタビューしてちゃんとした答えが返ってくる」というのが最大の特長でしょう。勿論賛否両論はあるのは承知の上ですが、逆に私がかつて身を置いたことのあるオフィス用情報機器(複写機・プリンター)の世界では、社長はもはや現場・実務に関与することは「ほぼ」無いといって差し支えないでしょう。社長が自社の新製品を説明できない・・・なんてのが当たり前の世界なんです。

成熟・爛熟したそういう分野とは違って、産業用インクジェットの世界はまだまだ離陸期・成長期(流石に黎明期は抜けたと思いますが)であって、そこでは「個人名で仕事をする・出来る」段階なのです。かつて、こういう記事を書きました。「日本の企業は「持ち帰って相談」ばかり…ドバイの経営者が「韓国や中国のほうがやりやすい」と話すワケ:ドバイに来るのは、日本は課長、韓国はトップ」・・・欧米の企業でも同じですよ!社長でなくても事業責任者が来ています。日本の大企業でよくある、お飾りの「担当役員」なんてのも無意味です。そこらへんが、ミマキが並み居る海外企業に伍して存在感を示している要因の一番大きな点ではないかと思います。

また、来場客が気楽に立ち寄ってリラックスして情報交換や談笑できるブースや接客のスタイルも、妙にお堅い日本企業を脱しているように見えます。別に、17時からはゼクト(発泡ワイン)が振舞われ、その恩恵に浴したからいうわけではありませんが(笑)、お堅い日本企業よりは自然体でイベントを楽しむ・楽しんでもらうという思想が溢れているのが好感を持てます・・・あ、あくまで「平均的日本人ではない」大野の個人的意見です(笑)

新製品の DTF機・・・ミマキも参入!

【リコー RICOH】

今回のリコーは、ラテックスインクのワイドフォーマット機などは封印して、DTG・DTFに絞った展示をしていました。コロナ明けでまだどうアクセルを踏むかどうかが手探りの時期に出展を決断したと思われますが、こういうフォーカスした出展方針もありかと思います。

コロナの期間、多くの企業のウェビナーを主催し、存在感の維持確保をお手伝いしましたが、RICOHもその一つで、上の写真の左(背の高い、白いパーカー)人物は Dirk Heinrich氏といって、私とがっちりタッグを組んでウェビナーを運営した人物です。今回初対面でした!ちなみに右の人物は Jason Remnant氏で、かつては XAARに在籍していた旧友です。

別途書くつもりですが、今回の FESPAは DTFが爆発的に増えていました!まさに「猫も杓子も」という状況!・・・ただ正直申して大量にあった各社の DTFの違い・特徴はイマイチよくわからない(・・・言い切ってしまえば「みな同じやんか」)という中で、RICOHは明確に異彩を放っていました。インクチャネルが 12あり色数や機能性インクなどいろいろ使い方がありそうです。

また、巷に溢れる DTF機の大半は中国製と思われますが、あまり聞いたことのないブランドで売られている場合の「アフターサービス」って大丈夫なのか?という疑問が払拭しきれません。が、ミマキやリコーなどがそのブランドを付けて売る以上は「安心感を売る・安心感で売る」ということで、それ自体がポジティブなウリになるように思われます。

ここからは推測ですが、リコーのこの DTF機も(ローンチまでの素早さから判断して)日本製ではないと推測しますが、恐らくこの裏で自社開発も並行しているのでは?・・・という推測が当たっているという前提で、ちょっと感心するのは「今 DTFが旬!その旬を逃さないようにまずは(OEMでもなんでも)速攻で製品を投入する&並行して自社開発をする・・・そういうことをやっているとすれば、大野視点ではそれは大正解と思います。

日本企業は開発に時間をかけて、更に確認して、またまた時間をかけて、満を持して発売して商機を逃す(笑)・・電子写真は、どうせ競合も同じようなノリだから、そういうやり方でも不利にならないけど、インクジェットは違います!大体、そういう電子写真系の大手は「商品化規定」のようなルールブックがあって、それを全部の事業に適用したがる!そこを逸脱するとコンプライアン違反とかいう輩もいる(・・・ホンマでっせ、これ(笑))

もし電子写真事業の雄であるリコーが、インクジェットに関しては考え方を変えて臨んでいるならば、これは正しい!と称賛したいです。電子写真大手企業の皆さん、何を言いたいのかお分かりですよね!(笑)

これは機内で前処理剤を撃つ DTP機のプロトタイプです。

FESPA 2023(4)に続きます

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