- 2022-8-4
- トピックス
業界各社の 2022年度第1四半期決算発表をした企業を順に取り上げています。今回は 8月 3日に発表したリコーです。今回の着目点は「予算策定期には想定できなかったはずの急速な円安が四半期決算及び年間見通しにどう反映されたか?」です。こちらに記事を書きましたが、下にサマリーの表を引用しておきます。
これによると「最も円高寄り」を前提としているコニカミノルタと、「最も円安寄り」前提としているリコーでは、実にドルで 15円、ユーロで 10円もの開きがあります。
リコーのこのレートは予算策定期には想定できなかったハズ=予算にはもっと円高寄りのレートを使ったはず=今年度見通しを発表した 5月連休明けには既に円安が進行していたので、発表にはそれを反映させた=既に見通しの中に、かなり円安による上乗せ分を吐き出している・・・ということでしょう。(コニカミノルタはその逆で、円安メリットが大きく吐き出されるハズです・・・普通なら・・・)
リコー
売上高・営業利益とも未だコロナ前の 2019年度の第1四半期には届いていませんが、前年同期(第1四半期)をクリアしています。ただ円安メリットを享受できたはずということを考慮すると、もう少し上を期待したいところです。
↑↑ さて、2021年度決算短信に記載された 2022年度の売上高・営業利益の見通しは上のグラフの黄色の棒で示しています。一言で申せば「コロナ前の 2019年度の水準に戻しますよ!」と言っているように見えます。
今回、それから3か月が経過した第1四半期終了時点で、リコーは年間見通しを据え置いています。同社は3か月前の 2021年度決算で既に円安効果を織り込み(吐き出し)ていたわけなので、見通しを据え置くのは妥当なことです。
しかし・・・そうであれば、年間ではコロナ前の 2019年水準に戻すとしたわけですから、第一四半期の実績が、売上高・営業利益のいずれも 2019年を下回っているのは残念で、今年度の出足としてはちょっと勢いに欠ける感じがあります。
リコーの決算説明会資料によれば「全ビジネスユニットで増収増益」とあります。それはそれで大変目出度い話ですが、あくまで見通しは「コロナ前の 2019年水準に戻す」ことだったわけで、第1四半期営業利益は年間目標 900億円に対して 96億円と 10%強(本来なら 25%が期待値)に過ぎません。今後の発表で下方修正が無いことを期待したいと思います。
また、これは前回も書いたことですが・・・
「インクジェット屋としての視点から申し上げれば、決算説明資料から「インクジェット」というキーワードが実質的に消滅したことは残念です。まあリコーは2兆円企業でその 80%以上は電子写真ビジネスや関連サービスなので無理もないところかもしれません。業界をニュートラルに見てリコーのインクジェットは大変勢いがあり、事業を担っている方々の「顔も見えていた」と私としては大変高評価だったのですが、組織変更と共にキーワードも消えてしまい、あれ?どこに行ってしまったの?という感じがしています。」
・・・今回も決算説明会の資料を隅々まで読んでみましたが、インクジェットというキーワードを見つけることは出来ませんでした。
ちょっと辛口で書きましたが、8月 2日の日経電子版(有料会員限定)に、あるファンドの運用部長の談としてこんな記事が掲載されました。こういうポジティブな見方もあるわけで、今後の展開に大いに期待したいところです。