誰も知らないドイツの町 Unbekannte deutsche Städte(33):★★★ナウエン Nauen -2-

★★★ナウエン Nauen -1- からの続きです

独語 Wikipediaから町の歴史を抜粋しておきます。(行く前に読んでおけよな~(笑))。歴史の記述は 19世紀以降に関するものが殆どです。諸侯の居館が有った訳ではなく、この地域の中心は隣にある大都市ベルリンだったので、プロイセンが力をつけ工業化が始まってから。その流れでこの町も発展したということなのでしょう。ルネサンスやバロックなどという建築様式ともほぼ縁がないようです。町の名前が歴史の記述に登場するのは 1186年、1292年に都市権が授与され、1317年にブランデンブルク辺境伯のヴァルデマール大帝から市場権が授与されたとあります。町の名前はスラブ系言語の「nowo」(新しい・新しい土地)から来ているという説が有力なようです。英語では「new」ですね。

1846年にハンブルクーベルリン間の鉄道が開通し、これもナウエンに多くの恩恵をもたらします。また 1901年から 1961年までは Rathenowと Nauenの間にローカル線が通じていました。

しかし、この町を存在感ある場所として位置づけたのはラジオ局でしょう。その部分の記述ですが「1906年、テレフンケンTelefunken)社の試験局としてナウエンの北側にラジオ局が建設され、1921年に拡張されて大規模なラジオ局ナウエン Großfunkstelle Nauenとなった。これは現存する世界最古の送信設備である。」とあります。

「1906年8月9日には試験運用が開始され、8月16日にはテレフンケンの試験局として運用が開始された。送信機のマストは、高さ100mの鉄製の格子状のマストで、対地絶縁されており、スクリーンアンテナを搭載している。」

「最初の無線実験ですでに、ナウエンの信号はノルディック(約300km)、リギ・シャイデック(約700km)、サンクトペテルブルク(約1,300km)の各局で受信されていた。・・・1911年には、当時ドイツの植民地だったトーゴのカミナ無線局との間で、初めて無線回線が結ばれた。・・・1914年3月13日、ドイツ領西南アフリカのラジオ局ウィントフックに初めて電波が届いた

「第一次世界大戦が始まると、ドイツにつながる海外ケーブルが敵国によって遮断されていたため、この局は帝国海兵隊の管理下に置かれ、非常に重要な存在となった。ナウエンから戦争勃発の知らせがドイツの植民地に届き、それが多数のドイツ商船に警告を与えた。」

「1916年、ハンス・ブレドウ(当時のテレフンケン取締役、後の帝国放送総局長)の強い要望により、放送局は拡張された。アンテナシステムは非常に大きくなり、高周波機の送信機も追加で設置された。」

Telefunkenstation-Nauen (1918).jpg
Von unbekannt – alt-deutschland.com historische Postkarten, PD-alt-1923, Link

ヘルマン・ミューテシウスHermann Muthesius)が設計した新しい送信局のビル(特徴的なミューテシウスバウ ↓↓下の写真)、大聖堂に匹敵する高周波技術の送信局が1920年に建立された。近代化された放送局は、1920年9月29日にフリードリヒ・エーベルト帝国大統領によって開局された。」

Funk Nauen.jpg
Von Fraxinus2 – Eigenes Werk, CC BY-SA 4.0, Link

第二次世界大戦中、この局の長波送信機は、主に水中の潜水艦に命令を送るために使われた。第二次世界大戦を無傷で乗り切った送信局は、1945年 5月末からソ連占領軍によって解体の対象となった。技術設備はすべて解体され、局のマストは爆破された。この機械の送信機が、ソ連でどこで使われていたかは不明である。当初は、1920年に建てられたミューテシウスの建物も爆破される予定だったが、説得により阻止された。

「戦後 1955年まではナウエンからの放送は停止され、この建物はジャガイモの倉庫として使われていた。1955年、ナウエンに短波送信局の建設が始まった。最初は外交関係者用で、1958年からはドイツ民主共和国の外国向けラジオ局「Radio Berlin International」用になった。1956年にドイツポストの一部としてナウエン放送局が設立された。「Nauener Zeitzeichen」「天気予報」「ADNのニュース」はすべてここから放送されていた。」

1990年、ドイチェ・ウェレ DWが周波数をシームレスに引き継ぎ、ドイツ再統一後、ナウエンの施設はドイツ連邦郵便局(Deutsche Bundespost)に移管された。短波放送に役立たない送信機やアンテナはすべて廃止され、解体された。」

Antenne Nauen.jpg
Von action=edit – Eigenes Werk, CC BY-SA 3.0, Link

↑↑ 上の画像はGoogleMapの航空写真で、Hermann Muthesius設計による建物と、その向かいに最新鋭の送信アンテナが設置されているのが確認できます。

私は残念ながらここには行っていません。駅を挟んで旧市街と反対側に約 5kmのところにあるので歩くのもちょっと遠いし・・・なによりこの時はそんな施設があるなんて知らなかったもので(笑)

★★★ナウエン Nauen -3- に続きます

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