大野からの Nessanとの連帯のお願い:Request for your solidarity with an independent journalist

大野からのお願いです

コロナ禍でネガティブな影響を受けたのは、ツーリズムやそれを支える旅客運輸業、あるいは飲食業が目立ちますが、もちろんそれに留まるものではありません。この記事を読んでおられる大方の皆さんが関係しておられる印刷・出版業も例外ではありません。

その一つのセクターとして「業界紙・雑誌」がありますが、そこに記事を供給するジャーナリストにもコロナ禍は重大な影響を与えつつあります。

そしてその意味は、老舗の居酒屋の名店が閉店に追い込まれるのとはまた違った重大な意味があります。今回は、フリーランスの独立したジャーナリストの Nessan Clearyへの連帯のお願いです!

今日、ヨーロッパの業界紙・雑誌の出版運営は、読者の有償購読料よりも、メーカーや販売会社からの広告収入に大きく依然しています。そういう業界紙・雑誌に供給される「記事」は、その出版社の社員のライターが書くものと、Nessanのような独立したジャーナリストが書くものとで構成されています。「独立」の意味は・・・メーカーからオカネを貰っていないという意味です。メーカーからオカネを貰ってしまうと、中立な視点での記事は書けない・・・それが Nessanのジャーナリストとしての矜持です。彼は自分でもサイトを運営し、そこに自分で書いた記事をアップしていますが、そこにはメーカーからの広告は一切ありません。かれは提灯記事を書く「似非」ジャーナリストとは厳密に一線を画しているのです。

一方、今ヨーロッパの業界紙・雑誌で起こっているのは、メーカーからの広告経費のカットです。メーカーからの広告収入に依存していた業界紙・雑誌にとっては死活問題なわけです。まあ・・・メーカーからの広告収入に依存していた時点で、それってジャーナリズムなのか?という突っ込んでみたくなりますが(笑)、業界紙・雑誌にしても収入が減る以上は経費カットに走らざるを得ず、Nessanのようなフリーランスのジャーナリストへの支出を削減、乃至は契約解除というアクションをとることになりゆきます。彼らもまずは社員を優先せざるをえず、派遣切りではないですが、フリーランスジャーナリストからの記事の購入を減らす・カットするという流れになります。

無茶苦茶大袈裟に書いてしまえば・・・中国が香港でやっていることや、数ある独裁国家がやっている重点施策は「フリーな立場で意見を言うジャーナリズムを殺すこと」です。私が学生の頃は「圧殺」なんて刺激的な言葉を使っていましたが・・・(ノンポリ麻雀狂い学生の私には縁遠い言葉ではありましたが(笑))・・・今、ヨーロッパで起こっていることは、意図的な「圧殺」ではなくとも、結果としてフリーのジャーナリストを「餓死」に追いやるような事象なのです。

フリーなジャーナリズムが死ぬと、残るのは「提灯記事ジャーナリズム(?)」です。某隣国の「環★時報」や「労働新★」、古くはソ連の「プラウダ」や旧東独の「ノイエス・ドイチュラント」、そして巨人軍の「スポーツ報知」です(笑)・・・要は「機関紙」の世界です。そこには読者に、物事を中立に判断させるような情報は提供されません。その逆が使命ですから・・・だから、逆にメーカーの広告費で食っている欧州の業界紙・雑誌も、フリーなジャーナリストの記事を記名で掲載して中立という立場にできるだけ近づけていたのです。

・・・というわけで、Nessanも、フリーなジャーナリストととしての「ビジネスモデル」を再検討しています。今までは「情報の仲買業者」として記事を買ってくれていた業界紙・雑誌がそれを買ってくれないという事態に対処する必要があります。その一つがエンド読者からの「寄付」というわけです。

ただ、これはいろいろ試行錯誤しているうちのひとつです。もしエンド読者が寄付をしてくれない=自分の提供している情報の価値を認めてくれない・・・これがはっきりしたら、彼は職を変えるでしょう。価値を認めてもらえないことに時間をかけるのは意味がない・・・これは当然です。しかしそれは「ジャーナリズムを餓死」させるということです。

私は彼に今後継続的に寄付をすることに決めています。というか、正確には寄付ではなく「正式に彼の記事の翻訳権・出版(公開すり)権利を買う」という契約を締結します。それなりに意味のある金額を毎月支払う約束をしています。情報に対する対価を支払う・・・私にとっては当然のことです。ただ、それなりに纏まった金額ではありますが、それが彼と彼の家族が生きていくために十分なのかどうか・・・それはわかりません。それだけでは十分ではないでしょう。

そこで皆様にお願いです。私は彼から「彼の記事の翻訳権・出版(公開する)権利」を買うので、これまで通り OIJCのサイト上で彼の記事の翻訳版を無償でお読みいただけます。従って純粋にお願いベースです。もし皆様が「独立・フリーのジャーナリズムは大切だ」とお思いであれば、彼の活動を支える支援・寄付をお願いしたいのです。金額の多寡は問いません。

ご賛同いただければ、下記から寄付をお願い致す次第です。

下のボタンからNessanの記事(英文オリジナル)に跳んで、そこの同じボタンをクリックしてください。(なお、現在「アジアからの送金が受け付けられない」という不具合が報告されているので、今しばらくお待ちください。

 

PayPalでの海外送金の方法

paypalの件、補足いたします。
添付ファイルはPAYPALサポートからの返信です。

銀行口座登録後も、Nessanさんウェブサイトのdonateボタンから直接振り込むことはできず、振込先検索欄にメールアドレスgtip@nessancleary.co.uk を直接コピペすると Nessan Clearyを選択できるようになりまして、そこから振込することができました。

日本人にはpaypalは一般的では無いので、難しいですね。
今後ともよろしくお願い申し上げます。

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大野の立場について

私の立場について書いておきます。私はジャーナリストではなく、私の活動はジャーナリズムではありません。私のミッションは「日本にはこれまで存在していなかった産業用インクジェットのコミュニティを形成すること」「その中での円滑な情報共有・流通を促すこと」「ともするとガラパゴスになりがちな日本と海外の橋渡し役となること」です。

この活動は、こういう趣旨に賛同いただけるメーカーのスポンサーシップによってファイナンスされています。Nessanのいう「ニュートラルなジャーナリズムを貫く為にメーカーからはオカネを貰わない」という立場ではなく、「オカネを頂いた企業のマーケティングは徹底的にサポートする」という立場です。

但し、そのなかで「企業からオカネを貰わない(メーカーに借りがない)ジャーナリストが何を言っているか?」という情報提供は重要だと思っています。その活動は徹底的に支援したいし、必要だと考えています。私の活動は有志のメーカーによって支えられており、その私から彼に記事の対価を支払うことは「マネーロンダリング」になり得ますが、私は彼に記事内容について注文をつけたり、まして圧力をかけることは「一切」致しません。スポンサー読者の皆さんにとっても、たまには耳障りなことでも、ニュートラルな意見は貴重だと思う次第です。

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