ローランドdgの主張・・・え?そうなの?

公開買い付けの期間中に、テレビ東京の経済番組「WBS:ワールド・ビジネス・サテライト」で、ローランドdgの田部社長のインタビューが放映されました。ご覧になった方も多いと思われますが、こちらからその部分の視聴が可能です。

これを視て違和感を感じられた方は多いと見受けられ、私のところにも沢山のお問い合わせが舞い込みました。「あれって、どう思います?」「え、おかしいんじゃないの?」「A社ってエプソンのことだよね?エプソンって・・・そうなの?」・・・知らんがな(笑)田部さんに訊いて頂戴よ(笑)ということで、お問い合わせの多かった「違和感の正体」についてちょっとだけ私見を書いておきます。まあ、MBOも無事成立したことなのでもういいでしょう(笑)

1.シェアが No.1?え、それってミマキエンジニアリングでは?

なんだかドヤ顔で仰ってますが・・・え?それってミマキエンジニアリングでしょう?と誰もが思ったはずです。「静岡県では」とか、「アメリカのワイオミング州では」とか、「クロアチアでは」とかの地域を限定するとか、「溶剤プリンターの低速機では」のようにセグメントを限定するとそんなこともあるんでしょうが、一般的にはどう考えてもミマキでしょう。まあ、太っ腹の池田社長は笑って聞き流しているとは思いますが・・・天下の WBSがこういうミスリードもいかがなものか・・・と。

2.ブラザーのヘッドを殊更貶めている?

前段で、「こういう不具合がでるんだ!」とヘッドの不良とかいうものを説明しています。そしてすぐ後のスライドで「ブラザーの不良率は高い」と言っています。インクジェット業界にいる人はならいざ知らず、WBSを視ている大方の一般視聴者は「へえ、ブラザーのヘッドを使うとああいう不具合がでるのか?」と誤解してしまう流れになっていると感じます。

いや、そんなことは意図していない!という反論もあるんでしょうが・・・実際、前段の部分では「どのヘッドを使ったから」ということには触れていません。後半と併せて「ブラザーのヘッドを使うと・・・そりゃ、いかんよな」と誤解に導く流れになっています。そうでなければ円グラフだけでも良かったわけでしょ?

この動画をインクジェット業界のレジェンド的な技術者8人に「どう思いますか?」と尋ねてみました。お名前は明かせませんが、いずれもプリンター・ヘッド・インク設計では超高名な方ばかりです。すると・・・「インクがダメなんじゃない?」「インクとメディアの相性が合ってないよね」「単なる気泡でしょ?クリーニングすれば直るやつだね」「メディア送りのピッチが合ってないのでは?」・・・等々、ヘッドの不良ではないと推定されるご意見を山ほど頂きました。「だとすれば、エプソンヘッド使っても起こる問題だよ」・・・ですよね(笑)

更に、仮に不具合ヘッドが有ったとすれば、保証期間内に返品すればいい話だし、これが製品レベルで起こるようでは超低レベル=こんなのは開発過程で潰してから製品をローンチする・・・とのご意見も!

極め受けは「こんなのローランドdgの技術屋なら分かってるハズでしょ!インクジェット素人の田部さんに恥をかかせたかったんで、わざと教えなかったのでは?」とまで仰る方もいました。まあ、確かにインクジェットのプロから見たら「ドヤ顔でしゃべる話ではない」ですよね。一般視聴者には所詮わからない話ですが、こういうのを平気で流す WBSもこれからはちょっと割り引いて視ることにしよう(笑)ブラザーも怒って当然と思いますね。

3.え?A社ってそんなことするの?

そんなことより、私が「ヤバいんではないの?」と思ったのはここです。そもそも供給停止なんかしたら、なんかの法律に引っかかりそうですが・・・

A社がどこだかは知りませんが(笑)まあ、ローランドdgに対して8割の供給シェアを持っているのは「あそこ」しか考えられないでしょう(笑)「あそこ」って、以前は確かにミマキ・武藤・ローランドdgとテキスタイルのロブステリに供給先を絞っていましたが、前任の社長の時代に「外販を完全解禁する」って宣言して、世界中にヘッド外販展開を推進している最中ではないの?もし田部さんがおっしゃるように「あそこ」がそういう圧力を掛けるなら、世界中の「あそこ」の顧客も同じような不安を抱えることになりますよね?

性格の悪い私なら「 あそこのヘッドを使うとローランドdgみたいなポジションになるぜ!」なんてネガティブキャンペーンやっちゃいますけどね。勿論、今は中立の立場なのでそんな品の無いことはしませんが、同業他社の営業は「いいね!」とニヤニヤしてるんじゃないでしょうか?(笑)

インクジェットはこれから増々領域を広げていくという中で「あそこ」のヘッド顧客はいつか「あそこ」の完成品事業とぶつかってヘッドの供給を渋られるんじゃないのか?って不安の中で事業やるわけです。オマケに「あそこ」の社内では部品事業と完成品事業に間にファイアウォールがあるかのように振舞っているため、誰も責任もって「大丈夫です!」と言わない・言わない・・・こんなヘッド、いくら性能が良くても怖くて使えませんよ!

しかも・・・今回「あそこから確認を貰った」って言い切っていますから、実際には部品事業と完成品事業に間にファイアウォールなんて無いことまでバレちゃった。「あそこ」の誰から確認を貰ったんでしょうか?あ~あ、ローランドdgさん、「あそこ」の部品事業を壊しちゃったかもしれませんよ?

それと・・・これって「優越的な立場を濫用して支配・・・」とかって、なんかの法律には引っかからないんでしょうか?私はその道には詳しくないので知りませんが・・・まあ、そこは「あそこ」の知財もしっかりしているから、ちゃんと理論武装しているでしょうね。杞憂でしょう。

今回の主張、裏を返せばローランドdgは「あの程度の不具合を自力では直せない」「A社のご指導が必要」「波形さえ作れないのでは?」「ブラザーは A社の競合とみなされているが、ローランドdgは所詮競合ではない(・・・だからヘッドを供給しても心配ではない)」・・・ということを自ら暴露告白したようにも見えます。俺が行ってコンサルしてやろうか・・・と前述の高名な技術屋さんの一人は仰ってました(笑)

そういう意味では、MBOが成立したローランドdgにとっても、そんなレベルの会社に片思いしていたブラザーにとっても、双方にとっていい結果に終わったのではないか?・・・そんな気がします。

関連記事

ページ上部へ戻る