LIGNA:木材・建材に関する大規模展示会(2)

LIGNA:木材・建材に関する大規模展示会(1)からの続きです

前回の記事で「木材産業にインクジェットが関わる局面は大きく分けて2つあります。ひとつは『マーキング』、そしてもう一つは『プリント技術で木材っぽい建材を作る』というもの」と書きました。そして後者の方は「直描」と「紙にプリント&ラミネート」があると書きました。以下「マーキング:MK」・「直描:DP」・「紙にプリント&ラミネート:LM」と略します。

もう一つ「木材っぽい建材を作る」際に重要なのは「エンボスを付ける」ことです。

上は木の内部構造の図ですが、木の中には地下から吸い上げた水分や栄養分を枝・葉に運ぶための無数の細管(導管)が通っています。またご存知のように季節による成長期と停滞期の繰り返しによって年輪が形成されます。詳しくは牧野富太郎博士にお訊きください(笑)

これを板に製材するとその構造が平面に現れ、(柾目とか板目と呼ばれる)木目や細管の溝が微妙な凹凸となって板の表面に現れます。従って、安い建材はさておき、より本物の木材に似せて高級な建材を作るにはこの微妙な凹凸を再現してやることが重要なのです。

木目模様を精緻にプリントで再現しても、そのエンボスが付いていないと高級感は出ないのです。

現在の合板製造工程で確立されている手法は「木目をグラビア印刷された紙(上図で上から2層目)」と表面保護層(一番上層)にメラミン樹脂を含侵させ(inpregnationといいます)下のコア層と重ねて高圧でプレスする際に、最上層の上に「鉄板に凸の逆エンボスを付けたもの」を重ねて圧力をかけるのです。

こうすることで、結果として最上層には凹のエンボス(凸の逆エンボスに対応した形)が付くという仕掛けです・・・分かって頂けてますかね?分かって頂けているという前提で書き進めます(笑)

しかし、この方法には制約があります。この凸の逆エンボスを付けた鉄板というのは「印刷の版」みたいなものですから、一度作ると毎回同じエンボスパターンしか付けられないのです・・・分かりますよね?(笑)折角、インクジェットで自由な柄がプリントできて、グラビアで印刷した「(版胴x3.14幅での同じ木目模様の繰り返し」から解放されても、このエンボス鉄板がある限りは、その長所が活かせないのです。

上の略語で LMの方法は、既存グラビア印刷であろうと、それをインクジェットに置き換えようと、このエンボス工程がネックとなります。

では・・・これを自由なエンボスパターンを作る手法は無いのか?私が現役時代にはまだそのアイデアを捻り出している段階でした。このあたりで勘のいい方は何やら思いついたのではないでしょうか?そう UVインクで盛り上げ印刷をするのです!よく採り上げる佐川印刷の「魚カレンダー」は魚のウロコのザラザラ感をこれで出しています。

いや、それが・・・上には上があるのです。・・・おおお、なんと FESPAの前夜祭に出かける時間となりました。サカタインクスの技術を紹介する前置きにこんなに時間使ってしまいました(・・・芳澤さん、御馳走してください(笑))

ということで、続きは次回書きます!

LIGNA:木材・建材に関する大規模展示会(3)に続きます

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