コンファレンス報告 Textile4.0 アムステルダム 10月25~26日

さる10月25・26日の二日間、オランダのアムステルダムにてWTiN主催による「テキスタイル4.0」のコンファレンスが開催されました。各国から130人を超える参加者を得て、またオランダの地元企業であるSPGのスポンサーも得て、大変な盛り上がりでした。

ここでは、プリントのデジタル化に留まらず、ビッグデータ・AI・ディープラーニング・ロボティクス・eコマースなどがキーワードとなって話され、講演者も世界的なERPベンダーであるSAPや、AIによって生産計画を瞬時に組み直すソフト開発ベンダーなど、従来の繊維産業とは関わりの薄かった人達が主体となっていました。

事例も、従来は中国での大量プリント・大量縫製から地元回帰しての成功例や、欧州の産官学の繊維産業への支援のフォーカスがインダストリー4.0のテキスタイル版としてのテキスタイル4.0の推進にあることなどが語られ、もはや理論だけの世界ではないことを実感した次第です。

共通した言葉は「Disruption:(秩序などの)破壊」です。デジタル化の必然の帰結として、単にプリントが従来のスクリーンからインクジェットに置き換わるという狭いところにのみ革新が起こるのではなく、繊維産業全体の構造が変わってしまう、変えてしまう・・・そんな従来秩序の破壊が起こりつつある・起こしつつあるということを、様々な事例や提案から感じ取ることができました。

日本メーカーの目下の関心は、デジタルプリントの画質をどう既存捺染に近づけるか・超えるかであったり、インクのコストをどう下げるかだったり、投下資金をどう回収するかだったりということかもしれません。が、一方で、少し引いたところから世界でなにが起こりつつあるのか?デジタル化はなにをもたらしつつあるのか?を見通して、大きな流れのなかで再度作戦を立て直すことも必要かと思った次第です。

これは参加者を国別に棒グラフ化したものですが、ドイツ・オランダ・英国・トルコが多いのがわかり、米国・スリランカ・スイス・スペインが続いています。

オランダ開催なのでアジアからの参加は少なかったのですが、それでもインド・中国・香港・韓国からの参加者がいます。いずれインドや中国で、このコンファレンスの開催が企画されているので、その際には分布が大きく変わるものと期待されます。

由々しいのは日本の状況で・・・グラフでは日本から一人参加者がいるように見えますが、これは大野です(笑)要は参加者ゼロということです。ただ一人参加していて、「ああ、ここでもまた日本は世界の動きから取り残されていく」という焦りにも似た想いを強くした思いです。

これはなんとかしなくては・・・

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