業界各社 2021年度 年間決算発表状況(5)小森コーポレーション

業界各社 2021年度決算発表状況(3)からの続きです

業界各社 2021年度決算発表は既に出揃いました。インクジェットになんらか関係している企業を継続してウォッチしています。今回は、印刷機メーカーの小森コーポレーションと印刷業各社を見てみます。

小森コーポレーション

数字で見る限り、コロナ前の 2019年度、コロナ初年度の 2020年度の苦境を脱出したように見えます。同社の売上高は「奇数四半期(Q1、Q3)より偶数四半期(Q2、Q4)が良いという傾向があります。が、今年度に関しては第3四半期の落ち込みは無く、第4四半期も好調な数字を維持しています。また営業利益も 2019年度は黒字だったのは第2四半期のみ、2020年度は全ての四半期で赤字だったところ、2021年度は黒字基調に回復しています。受注の回復とリストラなどの施策が嚙み合ったものと見えます。

2021年度決算発表と同時に決算短信に発表される 2022年度の見通しも、売上高も控えめながら堅実な増加を織り込んでおり、営業利益も約 50%の伸びを見込んでいます。

インクジェットをフォローする私として気になるのはやはり「ランダ技術のマシン」の動向です。決算短信にはサラッと下記の記述があるのみです。強化加速するのか戦線縮小するのか気になるところです。

決算説明会資料には下のようなページがあります。「IS29のリカーリングビジネスの推進」とありますが recarringとはおそらくインクビジネスのことを指すと思われ、稼働率の向上などによる印刷枚数増加(インク消費量のアップ)施策ということと思われます。IS29(コニカミノルタの KM-1と同エンジン)の後継機も気になるところです。

【ウクライナ・ロシアに向き合うスタンス、為替など】

ウクライナ・ロシアに向き合うスタンスに関しては特段の記載はありません。為替は 120円/$、130円/$として 2022年度の業績見通しを立てているとあります。

✙✙ 上期のコメントはこちらをクリック下さい
四半期ごとの売上高(左)・営業利益(右)推移です(単位は百万円)。小森の売上高は、一見して明らかなように「奇数四半期(Q1、Q3)より偶数四半期(Q2、Q4)が良いという傾向があります。高価な印刷機の商談サイクルや顧客サイドの資金調達・投資計画など、様々な要因があって結果としてそういう形になっているのでしょう。売上高に関しては昨年のコロナ禍の年を上回っていますが、その前の 2019年には届いていません。営業利益に関しては Q1+Q2の上期で利益を確保しています。

実績と見通しのデータは少し長めにとってみます。下の左は売上高の実績推移と見通しです。漸減傾向にあるのは見て取れますが、今年度は意欲的な見通しを示しました・・・が。今回、微妙に下方修正しています。下の右は営業利益の実績推移と見通しですが、売上高見通しの下方修正とリンクして、これも下方修正しました。商談サイクルが長い=逆に先の見通しは読める・・・下方修正は残念ですが、その見通しは信用してもいいと思われます。正月のニューイヤー駅伝で、そういう重苦しい雰囲気も吹っ飛ばすような成果を期待しています。

印刷業界各社

私はインクジェットという切り口での業界には、それなりに通じているつもりですが、謂わゆる「印刷業界」に関しては特段詳しいわけではありません。また「★★印刷」という社名の企業でも、実態として私が理解している「オフセット印刷機を運用して商業印刷『だけ』をやっている」・・・絵に描いたような印刷会社は少なく、経験や顧客との繋がりを活かしてウェブマーケティングやコンテンツ制作などに多角化したり、ハイテク企業向けのフィルムなどに進出している企業も多いので、それら企業の業績だけを見て「印刷業界全体のトレンド」を推し量るのは少し無理がありそうです。

ということで、専門的な詳細分析は印刷学会や JAGATなどの業界に精通した団体にお任せすることとして、ここでは Wikipediaに載っている「代表的」とされる印刷会社で業績が公開されている上場企業の業績ハイライトを、各社の公式サイトの IRページからコメント抜きで掲示しておきます。

凸版印刷

大日本印刷 DNP

共同印刷

トッパン・フォームズ

共立印刷

NISSHA

ちょっと気になる印刷関連企業

日本創発グループ

↓↓ 総資産がインクリメンタル(不連続)に増加した年は「買収による資産増加」と想像されます

ラクスル

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