- 2023-11-16
- トピックス
ワイドフォーマット機有力3社の決算状況を見ておきます。
ミマキエンジニアリング
Q2の売上高・営業利益ともいい感じに見えます。もちろん円安の追い風はあるでしょうが、コロナ前の 2019年まで含め、グラフで表示している期間内では売上高・営業利益とも過去最高のようです。おめでとうございます(笑)
上期(Q1+Q2)で見ても売上高が対前年同期比 4.3%、営業利益で 23.7%の増益となっています。 敢えて申せば、同社の決算説明資料の 3ページ目(Q2のポイント)にあるように、Q2の増収 929百万円の内、為替影響分 780百万円とあり、円安の追い風を受けているのは明白です。
おや、同社も何か見通しを修正していますね。今回は上方にせよ下方にせよ、修正する企業が多いように思われます。
ほう!売上高を少し下方修正して、営業利益は上方修正したんですね!なんでだろう?
ということで、いつもの「年間見通しー上期実績=下期に必要な数字」という簡単な計算式で状況を視覚化してみましょう。こんな単純な手法で、結構いろいろ見えてくるんですよ。
まず下期に達成すべき売上高は「下方修正しても尚」これですから、無理をしているとまでは申しませんが、過去最高の半期売上高という点でも、コロナ前 2019年度下期からの伸びを見ても、かなり「意欲的な数字」と見えます。
一方、下期に達成すべき営業利益は「上方修正しても尚」これですから、かなり余裕を持っているように見えます。ね、そう見えませんか?(笑)なんで・・・?
この分析では、個別製品の状況や地域別の状況などに深入りすることはあまりやりません。あくまで単純化した数字だけで、その裏側を読み解くという手法です(もちろん、そこに製品や地域に関する特殊な事情が絡んでくれば深入りします。いずれ纏めで書こうと思いますが、各社の定性情報からは「中国の景気」に関するワードが多いと感じています)。
上の「連結業績予想ハイライト」にありますが、下期の前提としている為替レートは「140円/$・145円/€」です。為替の現状は「151円/$・164円」という水準で、「11円/$・19円/€分の余裕(隠し財産)」を見ていることになります。もちろん為替はどう転ぶかわからないので、コンサバに見るのは当然ですが、下期も 10月・11月の半ばと1/4が経過して時点ですからかなり安全側にあると見ました。
・・・ということで、次回の第3四半期決算時で上方修正、あるいは年度決算時に超過達成するだろうと読みました!富士フイルムと同じですね・・・株買うかな(笑)
Q3の売上高はまあまあの線ですが営業利益はあまりぱっとしません。Q3までの累計で「増収減益」です。
年間の業績見通しも変更しています。下の方にある「Q2決算へのコメントはこちら」をクリックしてお読みいただくと分かりますが、私はQ2時点で、下のグラフから「ちょっとシンドイ目標ではないの?」と指摘していました。
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↑↑ ↓↓ 例の単純な計算式(年間見通しー上期実績)で年間見通しを達成するために、下期に必要な売上高と営業利益を算出して2種類のグラフにしています。う~ん・・・この年間見通しを達しするには売上高も営業利益もかなり頑張らないと・・・というように見えます。第3四半期の発表に注目です。
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ほら、やはり売上高・営業利益ともに下方修正しましたね!別に「鬼の首を取った」が如く嬉しいワケでもなんでもありません。あの単純な計算式は、こういうことの検出能力は結構高いんですよ・・・ということです。売上高はまあこんなものという感じですが、営業利益は前年・前々年実績も割り込んでいます。
これ、下方修正しなかったとしたらQ4には下のようなグラフの売上高・営業利益が必要とされるという計算になりますが、これはQ3に至っては流石に無理筋と考え直して下方修正したものでしょう。下方修正後は(営業利益などは前年割れレベルまで下方修正したくらいなので)まあ、妥当なグラフに見受けられます。
【売上高:下方修正前(左)と下方修正後(右)】
【営業利益:下方修正前(左)と下方修正後(右)】
【キヤノンのQ4に必要な営業利益】
ここで改めてキヤノンのQ4に必要な営業利益のグラフを見てみると右のように見えます。普通はローランドのようにQ3発表時に修正するのですが・・・これ、ほんとに実現できるのでしょうか?出来たらゴメンナサイします(笑)
決算発表直前に「適時開示」としてコソッと下方修正する(ルールの範囲内とはいえ)姑息とも思えるやり方もありますが・・・いずれにしても要注目です。
このあたり、証券取引所の幹部(役員)の友人に見解を訊いてみました。
「業績の予想値については(諸般の要因から)3Q実績からは達成出来そうもない予想値を決算までそのままに据え置いているからといって、直ちに不適切な開示が行われているとは判断し難い面があります。
しかしながら、極端なケースにおいては、取引所として疑問を抱いた場合、それが適切な開示なのかどうかを確認したり、投資家に何故そのような予想値になるのかの根拠を説明するよう要請したりすることがあります。さらには、もし意図的に投資判断を歪める開示を行っていたことが明らかになれば、当該上場会社に対して、業績管理や開示体制等の是正を促す措置をとることもあります。
それよりも、そういうことを繰り返していると、取引所が動く動かないにかかわらずそもそも投資家からの当該企業の開示情報に対する信頼が得られなくなるということのほうが重いかと思います。(投資家は良く見ています。)」・・・とのことです。昨年も同じことをやっていたし、本決算が締まったらもう一度訊いてみよう・・・
この状況下で増配への上方修正をしています。これは会社の配当政策の問題で、株主に長期的に配当性向 50%をコミットしていたなら、そういうものかとは思います・・・が、今それをやる局面なのかどうかは疑問なしとはしません。連続で当期利益が赤字だったにも関わらず、好配当を維持し、その後無配に転落したという、別の会社の事例もあります。同社の場合、何か特殊な要因とか事情があるのでしょうか?
まったくドラマチックなグラフではありませんが、上期では対前年でほんの僅か「増収増益」ではあります。が、為替が大幅に円安に振れたことを考慮すると、物量的には減少したという計算になるでしょう。
年間見通しは売上高・営業利益ともに据え置いています。
例の式で下期に必要な売上高・営業利益を視覚化したところ、全く無理を感じません。無理をしていない自然体での数字造りの典型のようなものです。まあ、それと事業が伸びているか?円安環境下でこれでいいのかという問題は別ですが・・・