業界各社 2023年度第2四半期決算発表状況(6)大判機3社

ワイドフォーマット機有力3社の決算状況を見ておきます。

ミマキエンジニアリング

Q2の売上高・営業利益ともいい感じに見えます。もちろん円安の追い風はあるでしょうが、コロナ前の 2019年まで含め、グラフで表示している期間内では売上高・営業利益とも過去最高のようです。おめでとうございます(笑)

上期(Q1+Q2)で見ても売上高が対前年同期比 4.3%、営業利益で 23.7%の増益となっています。 敢えて申せば、同社の決算説明資料の 3ページ目(Q2のポイント)にあるように、Q2の増収 929百万円の内、為替影響分 780百万円とあり、円安の追い風を受けているのは明白です。

おや、同社も何か見通しを修正していますね。今回は上方にせよ下方にせよ、修正する企業が多いように思われます。

ほう!売上高を少し下方修正して、営業利益は上方修正したんですね!なんでだろう?

ということで、いつもの「年間見通しー上期実績=下期に必要な数字」という簡単な計算式で状況を視覚化してみましょう。こんな単純な手法で、結構いろいろ見えてくるんですよ。

まず下期に達成すべき売上高は「下方修正しても尚」これですから、無理をしているとまでは申しませんが、過去最高の半期売上高という点でも、コロナ前 2019年度下期からの伸びを見ても、かなり「意欲的な数字」と見えます。

一方、下期に達成すべき営業利益は「上方修正しても尚」これですから、かなり余裕を持っているように見えます。ね、そう見えませんか?(笑)なんで・・・?

この分析では、個別製品の状況や地域別の状況などに深入りすることはあまりやりません。あくまで単純化した数字だけで、その裏側を読み解くという手法です(もちろん、そこに製品や地域に関する特殊な事情が絡んでくれば深入りします。いずれ纏めで書こうと思いますが、各社の定性情報からは「中国の景気」に関するワードが多いと感じています)。

上の「連結業績予想ハイライト」にありますが、下期の前提としている為替レートは「140円/$・145円/€」です。為替の現状は「151円/$・164円」という水準で、「11円/$・19円/€分の余裕(隠し財産)」を見ていることになります。もちろん為替はどう転ぶかわからないので、コンサバに見るのは当然ですが、下期も 10月・11月の半ばと1/4が経過して時点ですからかなり安全側にあると見ました。

・・・ということで、次回の第3四半期決算時で上方修正、あるいは年度決算時に超過達成するだろうと読みました!富士フイルムと同じですね・・・株買うかな(笑)

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↑↑ 前年同期比(Q1)では「増収減益」ということになります。↓↓ 年間の見通しは売上高・営業利益とも据え置いています。期待進捗率を 25%とすると、売上高・営業利益のそれはそれぞれ 21%・12%となり、営業利益はちょっとビハインドに見えます。

↑↑ 減益要因は、開発費や展示会費用など前向きの経費投下と説明されています。↓↓ Q2以降の為替の前提は(同社はいつもこういう傾向があるのですが)現状からはかなり乖離したコンサーバティブ・・・円高前提としています。まあ、為替はコントロールできる要素ではないので小まめに見直すより、余裕分をここに集約しておくという考え方もあるのでしょう。


✙✙ 2022年度年間決算へのコメントはこちらをクリック下さい

売上高も営業利益も、年間見通しを達成するために必要なQ4の数字を超過達成しています。

その結果、対前年で売上高 18.6%増で一気に 700億円超え、営業利益は 65.1%増の増で 40億円超えの好決算となっています。

2023年度の見通しは 売上高 10.5%の伸びに対し、営業利益は 3.7%とちょっと控え目ですが、堅めに予想して期を追うごとに上方修正(右上のグラフ:2022年度が正しくそれ)をしていくと期待します。あまりやり過ぎるとあざといですよ(笑)

なお、同社は3Q時点で、一部の部品などが第三国を通じた迂回輸出で、対ロシア経済制裁に抵触する可能性があると監査で指摘され、その後の調査結果も公表してきました。

私も「日本製複写機に対する欧州メーカーによるアンチダンピング訴訟」を経験しましたが、欧州というのは規則を作る際に、最初は結構アバウトに作り、その後リクエストがあれば手直ししていくという基本があります。ダンピング訴訟の結果「部品の現地調達率を 40%以上にすること」という各社が個別にアンダーテイキング(示談)したのですが、この 40%が定義も何も無かったのです。

真面目な日本メーカーは「40%とは分子が何で分母は何か?」「制御基板のように ICチップ、コンデンサー、抵抗、メモリなど多数の部品の複合体はどういうことになるのか?」「組立工賃はどういう扱いか?」・・・等と定義を明確にしてほしいと次々と質問を繰り出し、その結果非常に面倒な(日本にとって不利な)定義が出来てしまいました。まあ、訊いたらそうなりますよね(笑)

今回の対ロシア制裁も、欧州企業は(本来の意味での)適当なやり方をしています。その結果として迂回輸出などはザル状態で、ではもうちょっとザルの目を細かくするか・・・みたいな動きが各国政府などから後追いで出てきてはいます。ミマキの場合は本社指示で組織的にやっていたなどとはとても考えられず、むしろ内部監査でそういう可能性が見つかった段階で、真面目に見直したもので極めて日本企業的な動きと見えます。ウチは些細な部品の一点に至るまで迂回ルートも含めて一切ロシアには流入させていない!と豪語される企業があったらご連絡ください(笑)

それでも、姿勢を示すため、池田社長の報酬の一部を自主返納を発表するなど真面目な対応をしているのは評価に値すると思います。

ローランドDG

Q3の売上高はまあまあの線ですが営業利益はあまりぱっとしません。Q3までの累計で「増収減益」です。

年間の業績見通しも変更しています。下の方にある「Q2決算へのコメントはこちら」をクリックしてお読みいただくと分かりますが、私はQ2時点で、下のグラフから「ちょっとシンドイ目標ではないの?」と指摘していました。
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↑↑ ↓↓ 例の単純な計算式(年間見通しー上期実績)で年間見通しを達成するために、下期に必要な売上高と営業利益を算出して2種類のグラフにしています。う~ん・・・この年間見通しを達しするには売上高も営業利益もかなり頑張らないと・・・というように見えます。第3四半期の発表に注目です。
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ほら、やはり売上高・営業利益ともに下方修正しましたね!別に「鬼の首を取った」が如く嬉しいワケでもなんでもありません。あの単純な計算式は、こういうことの検出能力は結構高いんですよ・・・ということです。売上高はまあこんなものという感じですが、営業利益は前年・前々年実績も割り込んでいます。

これ、下方修正しなかったとしたらQ4には下のようなグラフの売上高・営業利益が必要とされるという計算になりますが、これはQ3に至っては流石に無理筋と考え直して下方修正したものでしょう。下方修正後は(営業利益などは前年割れレベルまで下方修正したくらいなので)まあ、妥当なグラフに見受けられます。

【売上高:下方修正前(左)と下方修正後(右)

【営業利益:下方修正前(左)と下方修正後(右)】

【キヤノンのQ4に必要な営業利益】

ここで改めてキヤノンのQ4に必要な営業利益のグラフを見てみると右のように見えます。普通はローランドのようにQ3発表時に修正するのですが・・・これ、ほんとに実現できるのでしょうか?出来たらゴメンナサイします(笑)

決算発表直前に「適時開示」としてコソッと下方修正する(ルールの範囲内とはいえ)姑息とも思えるやり方もありますが・・・いずれにしても要注目です。

このあたり、証券取引所の幹部(役員)の友人に見解を訊いてみました。

「業績の予想値については(諸般の要因から)3Q実績からは達成出来そうもない予想値を決算までそのままに据え置いているからといって、直ちに不適切な開示が行われているとは判断し難い面があります。

しかしながら、極端なケースにおいては、取引所として疑問を抱いた場合、それが適切な開示なのかどうかを確認したり、投資家に何故そのような予想値になるのかの根拠を説明するよう要請したりすることがあります。さらには、もし意図的に投資判断を歪める開示を行っていたことが明らかになれば、当該上場会社に対して、業績管理や開示体制等の是正を促す措置をとることもあります。

それよりも、そういうことを繰り返していると、取引所が動く動かないにかかわらずそもそも投資家からの当該企業の開示情報に対する信頼が得られなくなるということのほうが重いかと思います。(投資家は良く見ています。)」・・・とのことです。昨年も同じことをやっていたし、本決算が締まったらもう一度訊いてみよう・・・

この状況下で増配への上方修正をしています。これは会社の配当政策の問題で、株主に長期的に配当性向 50%をコミットしていたなら、そういうものかとは思います・・・が、今それをやる局面なのかどうかは疑問なしとはしません。連続で当期利益が赤字だったにも関わらず、好配当を維持し、その後無配に転落したという、別の会社の事例もあります。同社の場合、何か特殊な要因とか事情があるのでしょうか?

✙✙ Q2決算へのコメントはこちら

↑↑ 同社の場合は暦年決算なので、今回は上期決算ということになります。Q2だけで細かく見れば増収減益ですが、まあ前年並みのQ2だったと見えます・・・が、円安が進んだ分、それでいいのか?というのはあります。↓↓ 年間見通しは売上高・営業利益を据え置いています。期待進捗率が 50%とすると売上高・営業利益は 44%・27%ということになります。営業利益はちょっとしんどそうに見えます。

↑↑ ↓↓ 例の単純な計算式(年間見通しー上期実績)で年間見通しを達成するために、下期に必要な売上高と営業利益を算出して2種類のグラフにしています。う~ん・・・この年間見通しを達しするには売上高も営業利益もかなり頑張らないと・・・というように見えます。第3四半期の発表に注目です。

武藤工業(武藤ホールディングス)

まったくドラマチックなグラフではありませんが、上期では対前年でほんの僅か「増収増益」ではあります。が、為替が大幅に円安に振れたことを考慮すると、物量的には減少したという計算になるでしょう。

年間見通しは売上高・営業利益ともに据え置いています。

例の式で下期に必要な売上高・営業利益を視覚化したところ、全く無理を感じません。無理をしていない自然体での数字造りの典型のようなものです。まあ、それと事業が伸びているか?円安環境下でこれでいいのかという問題は別ですが・・・

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