業界各社:第1四半期(上期)進捗率比較

産業用インクジェットに何等か関係する業界各社の、今年度期初に発表した売上高・営業利益の見通しに対する進捗率を並べて見ました。各社におけるインクジェット関連製品のウェイトが異なるので、これが産業用インクジェット業界の傾向値を表しているわけではありません。が、それでも並べて見るとそれなりに興味深いものが見えてきます。

こちらは暦年決算の企業で、今回の発表は上半期(Q2累計)の値です。半期なので売上高・営業利益の進捗率期待値は50%とすると・・・売上高は各社とも45%+あたりのところにあり、大きなビハインドは無いように見えます。

が、営業利益はちょっとまだら模様で・・・キヤノンや東洋インキSCなどはまずまず堅い線かなと見えるのに対して、ローランドDGは下期少ししんどそうに見えています。ただ営業利益見通しを下方修正はしていないので、現時点では成算はあると会社は見ているというコトになります。またそもそもの営業利益率が期初見込みで 12%と大判機業界でも頭抜けて高く、上半期でも 10%を超えているのは注目に値するでしょう。

DICは売上高・営業利益のセルにオレンジ色を付けていますが、ここで下方修正したものです。逆にサカタインクスはセルに緑の色付けをしていますが、こちらは上方修正を発表しました。

こちらは大方の日本企業が採用している「4月~翌3月」の会計年度の企業で、今回はQ1の発表・・・期待進捗率は25%ということになります。売上高は各社ともほぼ25%に近いところにあります。小森コーポレーションは20%を切っていますが、同社は伝統的に大型機械の商談サイクルの関係でQ2・Q4に売上が立つ傾向があるので、Q1時点での数字は参考値くらいに見ておくべきでしょう。同社は営業利益も赤字となっていますが、同様の理由でQ2を締めてからコメントするのが適当と考えます。

営業利益の進捗ではブラザーと武藤が 25%を超えて好調に見えます。ミマキは 12%ですが、この先の為替前提を非常に堅めに見ているので、向こう3四半期で挽回してくるものと思われます。富士フイルムも 18%と決して高い進捗率とは見えませんが、決算説明資料の自信に満ち溢れたトーンからは、年間締めてみればちゃんと達成しているのだろうと思われます。エプソン(と富士BI)のセルには緑で色付けしましたが、期初から見通しを上方修正したことを示します。エプソンは四半期ごとに僅かでも上方修正を繰り返すというのがパターンとなっているようです。

「第1四半期って、まだまだ全体の1/4が終わった段階だろう?この時点で年間見通しの変更なんてできるのか・・・」・・・そう思われる方も多いかと思います。しかし、物流や生産計画という地味な裏方仕事を(冷や飯を食っていた時に(笑))経験した私に言わせれば、そういう仕事は常に3~6ヵ月を先を見ているのです。長手部品や製造人員の手配がクリティカルパスですからね。第1四半期が締まった時には既に第2四半期までの生産計画は固まっているのです。上半期が終わった時には第3四半期までは既に読めているのです。今回、営業利益の進捗がビミョ~な値の企業の上半期決算での年間見通し発表は要注目ですね・・・って、決算自体はもう一か月先ですね!

関連記事

ページ上部へ戻る