業界各社 2021年度上期決算発表状況(1)

業界各社 2021年度上期決算発表が始まりました。暫く前までは、決算作業の速さ=管理がしっかりしている象徴として 10月中に大所の数字が出揃うのが通例でしたが、必ずしもそうではない事案も出てきて、今は決算作業の速さを競うということは無くなっており、11月初週から2週目にむしろ集中しています。今回はまず、10月最終週に発表のあったエプソンとキヤノンについて速報します。グラフはクリックすると拡大します。数字の単位は百万円です。

セイコーエプソン

四半期ごとの売上高(左)・営業利益(右)推移です(単位は百万円)。昨年の第一四半期は売上高・営業利益とも大きく落ち込みましたが、今年度はしっかり回復し、第一四半期・第二四半期とも、コロナ前の 2019年度を上回っています。特に営業利益はかなり大きく伸びています。

↓↓下の2つのグラフは「過去の決算実績&2021年度の四半期ごとの年間予想の推移」です。私はこれをかなり重視しています。企業の業績は、過去の数値は変えられず、最早意志を反映する余地がありませんが、未来の数値は変えられる=それを企業がどう発表するかに、企業の施策や意志を反映する余地があります。そしてその先行情報がどう変化しているかの差分を読むと、企業が何を考えているのかが透けてみえるからなのです。

エプソンの場合、売上高は 2020年度にコロナで少し減りましたが、2021年度の見通しは 2019年度を超えると公表し、第一四半期決算時点ではそれを更に上方修正、今回は少し下方修正しました。しかし営業利益は、コロナ年の 2020年でも前年を上回り、2021年度についてはそれを上回る予想を公表して、更にそれを毎四半期上方修正しています。基本的に好調ということと思いますが、四半期ごとに上方修正して株式市場に好感を与える作戦かも知れません(笑) とはいえ余裕がないとこういうことは出来ないので、やはり基本は好調ということでしょうね。

キヤノン

四半期ごとの売上高(左)・営業利益(右)推移です(単位は百万円)。キヤノンは決算期が暦年なので、今回は第三四半期の発表ということになります。売上高は全ての四半期で 2020年を上回っていますが、逆に全ての四半期で 2019を下回っています。逆に利益は全ての四半期で、2019,2020年度を上回っています。

「過去の決算実績&2021年度の四半期ごとの年間予想の推移」:売上高はあまりドラマチックな変化は無いように見えますが、上で述べたように、売上高はすべての四半期で 2019年を下回っているにも関わらず、第三四半期が終わった段階でもなお「年間では 2019年を上回る」と意思表示をしています。ということは 10~12月の最終四半期に余程自信を持っているということでしょう。この時点では、第四四半期は受注状況や生産計画から、かなり正確に見通すことが可能だからです。締めてみないと分からない・・・そんなことをこの時点で言っているような企業は、こういうレベルの企業には皆無のハズです。

営業利益は、当初 2019年には届かないという見通しを公表し、それを毎回上方修正してきましたが、ここにきてやや下方微修正しました。とはいえ最終的にはコロナ前の 2019年を大きく上回るのは確実と見えます。

この項、(2)に続きます。

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