ハノーバーメッセ:参加メモ

私がハノーバーメッセに初めて参加したのは1981年(37年前!)、当時はまだ小西六写真工業のハンブルグ駐在員として複写機主体のブースの説明員や出張者のアテンド要員としてでした。まだまだアナログ全盛で…と、当時のことを書いてノスタルジーに浸りたいところですが(笑)…

その後ハノーバーメッセの情報機器・処理部門はツェビット(CeBIT:Centrum fuer Buero Informations Technologie:オフィス情報技術センター)として独立し、それもまた複写機のようなハードウェアから、ネットワーク技術やデータベースなどソフトに主役が移り、複写機業界のプレーヤー達は、当時はまだ印刷業界の展示会として敷居の高かったドルッパ drupa に土俵を移していきました。

一方、本体のハノーバーメッセも、当時はクレーンや工作機・加工機などのハードが中心だったように記憶していますが、今は全く様変わりで、ドイツが国策として推進しているインダストリー4.0やロボット、各種のセンシング技術やクラウド・AIなどの情報技術が前面に出ている展示会となっています。

下の二つの動画は、公式サイトのもので、数分の中で今年2018年のハノーバーメッセのザックリした印象が纏められています。

流石に、これまで関わってきた産業用インクジェットの土俵からは、かなりのアウェイ感があるので、今回はドイツのIndustry4.0の牽引役の一つとしてのBECKHOFFオートメーション社VIPツアーに参加させて頂き、そこを軸としてメッセを「感じて」きました。咀嚼して理解するにはもう少し勉強が必要です。
BECKHOFF社の日本語サイトはこちら

右側のロゴEtherCAT(イーサキャット)とは、小生の素人理解では、工業用ネットワーク通信のプロトコルとかインダストリー4.0の神経系統というイメージですが、BECKHOFFが開発し推進しているEtherCATは、あのトヨタに採用されたことでも話題を呼びました。

ちなみに同社日本法人社長の川野俊充氏は「日本のMr.Industry4.0」というアイコン的存在で、各産業界にインダストリー4.0の伝道師として、講演会やパネラーとして八面六臂の活躍をされておられます。

同社の公式サイトによるハノーバーメッセの案内動画:概要。

同社の公式サイトによるハノーバーメッセの案内動画:創業者社長のHans Beckhoff氏が業容を説明しています。日本円にして約1,100億円、対前年で2桁成長

形として表面に出るのは工場のロボット群や輸送機器類やベルトコンベアや、はたまたビルなどの建築物や船舶などの制御という形になるのでしょうが、そのバックボーンとしての通信規格(EtherCAT)と、工業用に特化したPC(IPC)・I/O・モーション(駆動モーター)・制御ソフト(TwinCAT)などでその縁の下を支えているという印象です。下に大野が撮影した動画も二つアップしておきます。


一つだけ印象に残った話!今年のサラリーマン川柳に「今どきは シャープと言わず ハッシュタグ」というのがあります(笑)。いうまでもなく、ツイッターやインスタグラムで使われる検索用のタクですが…今どきの機器間のコミニュケーションはこの考え方を導入しているとか!コミュケーションとして情報をやり取りするには「誰に対して情報を届けるか?」という対象を特定する必要があります。メールのメルアドとか、古典的な郵便物の住所とか。

ところが、今どきの機器は、ツイッターよろしく「自分の状態を#を付けてクラウドに投げ」、それを情報を必要とするサイドがクラウドから拾ってくる…みたいな考え方でコミュニケーションするんだそうです。(画像の Message Broker) 確かに事前に相手を想定しておく必要が無いので非常にフレキシブルになる気がしますね。もともと、機器制御の世界のこういう考え方があって、それがツイッターやインスタに取り入れられたのか、ツイッター世代の技術者がそれを機器制御の世界に持ち込んだのかは定かではありません。

だた、相手の目を見ながら、あるいは相手のことを想像し慮って(忖度もしつつ(笑)(情報を発信してきた古典的なコミュニケーションから、単に呟いて、それに関心を持った者が反応する「アイコンタクトしないコミュニケーション」という形式に今どきの世相が反映されていると見てしまうのは考えすぎでしょうか(笑)

さて、インダストリー4.0は広範な概念なので、どこかの巨大企業が一社ですべてをカバーできるというものではなく、様々な企業がそれぞれの得意技や、事業分野をベースにサービスを提供することにより、インダストリー4.0に参加しています。インダストリー4.0という概念が今一つすっきりしないのは、各社なりのインダストリー4.0の解釈があるせいかもしれません。


ドイツ発祥のERPソフトで、かつて「基幹系」と呼ばれた企業の屋台骨を支えるシステムを提供しているSAP。受注から発送まで、企業のすべてのアクティビティをカバーするERPが、インダストリー4.0の「工場のリアルタイムでの最適化」を取り込まない方がむしろ不自然というものです。BECKHOFFがどちらかと言えば「縁の下の力持ち」としてインダストリー4.0を支えているのに対して、SAPは企業行動・活動のリソースプランニングという観点からそれにアプローチしているようです。競合する部分はほぼ無いので自然な提携が成り立っています。


またしてもAmazon(笑) 同社は Amazon Web Service(AWS)として、同社の保有する膨大なリソースを使用量ベースで一般ユーザーに開放することで、ユーザーサイドのクラウド環境構築投資のコストやリスクを抑えるというサービスを提供していますが、これもERPや工場制御と競合する面は少なく、提携が成り立っています。ここでは自動車の窓ガラス工場の運用事例やBECKHOFFのシステムをデモしていました。

個人的には、このブースのレンガ造りに見せている壁は「インクジェットプリント」だなというのも気になりましたが(笑)

自分で撮った動画や写真で気のなるのも少しアップします。

オムロンの卓球ロボット。カットやドライブやチキータを覚えると使えるかも(笑)

エプソンも各種ロボットを揃えてデモをしていました。

HUAWEIの構内物流をイメージしたデモ

関連記事

ページ上部へ戻る