上海広告設備展示会 2003年 7月(今の APPPEXPOの前身)- その1-

今回、COVID-19の影響で、先週開催予定だった上海広告設備展示会(APPPEXPO)が残念ながら流れてしまいました。そこで・・・という訳でもありませんが、古い画像を探していたら 2003年 7月の上海展示会のが出てきました。当時は春節明けの 3月に広州で中国メーカー主体のローカル展示会でシーズンの幕が開き、7月の上海の浦東で欧米日などのメーカーが参加する国際展示会でピークに達するというサイクルでした。その後、虹橋に国営の展示会場が建設され、この展示会は強制的に浦東から虹橋に移され、開催時期も 3月になります。まあ、それはそれとして、17年前の画像ですが、出張自粛の時間を利用して、ちょっと歴史を振り返るのもいいかなと思う次第です。

2010年の上海万博を機に、町は再開発が進み小綺麗になってしまいましたが、この頃はまだ増えつつある高層ビルの下に、昔ながらの猥雑な街並みが同居している時期でした。裏通りの麵屋でワンタンが一杯5元の頃です。

まだ efiに買収される前の Vutekです。Vutekは SPECTRAヘッドと相互に縛りあう関係にありましたが、このあたりで契約を解消し、SPECTRAは誰にでもヘッドを供給でき、Vutekもどこのヘッドでも使えることになったようです。当時、Vutekは売りに出ており、今にして思えば(その後の M&Aインフレから考えれば)「そんな価格で売りで出てるの?」という印象を持った記憶があります。

しかし、実感として 95%のシェアを握っていたのは XAAR128(126)ヘッドです。元々は 70ドル/個あたりからスタートし、その後 300ドル/個くらいまで値上げをしたようですが、波形生成ICが内蔵されており、簡単な駆動ボードで、なんちゃってプリンタは開発できてしまう為、中国市場を席捲しました。

これは「幅 3.5m機」の展示会特化です。XAAR128が 8個搭載されていて 3.5m幅機が 9.5万元・・・当時のレートをよく覚えてはいませんが、20円/元だったとしても 190万円!更に、ヘッド 16個版と 8個版から外挿すると、ヘッド無し版は 6.5万元=130万円!3.5m機のプリンタフレームが 130万円!まあ、品質はさておき、こういう価格を実際に見ると、コスト計算はどうなっているんだろう、先進国メーカーは対抗できるのか?と思ったものです。↓↓ サムネイル画像はクリックするとスライドショーになります。

これは「飛行船企業」・・・今は SkyJetというブランドで通じる、瀋陽のメーカーのプリンターです。20φくらいのゴムローラーで塩ビメディアを送り、なんとその上でプリントしています。XAAR128ヘッドは 180dpiで 128ノズルですから、2.54 ÷ 180 x 128 = 1.8cmという短い面長(No.1ノズルから No.128ノズルまでの距離)だからこそ成り立つ芸当ですが、メリットとしてはメディアがズレないので送りの精度を確保できます。創業者の梁さんは発明家で、両面の位置見当が非常に高精度な両面プリンタを開発して、現在も成功しています。

この頃から既に「純正インクという概念が希薄」であることにも衝撃を受けました。プリンターメーカーも、サード排除という概念が無かったようです。↓↓ サムネイル画像はクリックするとスライドショーになります。

2020年 11月 20日 17:00 ~ 大野がこの当時の市場状況・競合動向やその戦略について語ります
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