Heimtextil 写真速報(3):デザイン原画ビジネス


写真速報(2)からの続きです


【 Hall 3.0 】デザイン原画ビジネス

今回から配置が変わり、以前は Hall6.0にあったデジタルプリンターメーカー群・デジタル関連技術プロバイダー群は Hall3.0に移り、これも以前は別の場所にあった「デザイン原画」と同居、更にハイムテキスティールの今回のテーマ Toward Utopiaの展示とも同居することになりました。上にあるホールの配置図で Hall3.0が濃淡の緑色で三分割されているのがそれです。なお下の画像群は順不同です。

■ Hall 3.0 デザイン原画

「デザイナーやデザインハウスがデザイン原画を売る」…という現場です。ここばかりは実際に現場に来てみないと理解できない、不思議な空気が流れている世界です。

デザイナー達が小間を持ち、カウンターの上にB2サイズくらいの手描き(一部はインクジェット出力)のデザイン原画を広げ、それを一枚ずつゆっくり捲り、その前に座っているバイヤーが無言でそれを目で追いながら、ピンとくる原画を探している…

ここはうっかり写真を撮ったことに気づかれると、追いかけてきて消去を求められたりします。従って遠くの方から、あまりはっきりとデザインが移り込まないように、気づかれないように、邪魔しないように撮影する必要があるのです。

京都のデザインハウス「森林堂」の森社長(左)・水戸さん(中央)

森社長に伺った話では:
★ デザインは「売り切り」が多い。ここで見せる紙に描いたデザイン原画を渡し、別途デジタル化したデータも渡す
★ 著作権も相手に渡すことになる。価格は 500~700ユーロ/デザインとのこと。そんな安くて商売になるのか?
★ 売り切りではなく「ライセンス」方式をとる形態もあるとのこと
★ 中にはバイヤーに渡したデジタルデータを貰ってきて、少し改変してまた販売するという倫理観に欠けるデザインハウスもあるとのこと
インクジェットでの出力を想定して、トーンジャンプが起こりそうな部分は予めそれが出ないようなデータを作るなどのスキルは必要とのこと。なんでもフォトショップで描けばそれで済むものでもないらしい
★ 寝具をイメージしてのデザイン、壁紙をイメージしたもの、カーテンをイメージしたものなど、それぞれのデザインハウスの指向によって特徴をだしている
★ 今回の森林堂は、シャープな線ではなく、ボカシをいれたものを重点に提案しているとのこと
★ HP実用化した AIで無限にデザインを創り出すソフトについては、「可能性は感じるが、それだけではなにかモノ足らないものがあると思う。単に幾何学模様を創り出す位の安易・安価なデザインは置き換えられる可能性はあるが、流行や時代の空気を取り入れて、その時々の人々の気分にフィットするような深いデザインは、いつかできるかもしれないが直ちにできるとか考え難い」
★ 将棋や囲碁の AIソフトは、プロの名人でも数通り・数十手くらいしか読めないところを、数千通りという網羅的な読みをして数値化して最善手を指すという、人間とは全く別の手法で将棋を指す。AIで数千通りのデザインをしても、それが売れるかどうかの判断は数値化は難しく、その中から選ぶところに人は残るのではないか?」

いやあ、なかなか普段は触れることのない世界!いまだビジネスモデルが理解できた気がしません。(笑)

写真速報(4)に続きます

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