- 2018-8-5
- イベント参加報告
■ ミヤコシ
MJP600で水系インク高速ワンパスの連帳機を開発し市場に投入して以来、そのセグメントを創造し市場をリードしてきました。ピークから衰退期の入り口にあった電子写真方式による高速連帳機を置き換え、更にカラーでその市場を拡げるというタイミングで、OCEのOEMを獲得したことなどにより順調に事業を拡大してきました。京セラのアモルファスシリコンドラムから、同じく京セラの600dpiワンパス指向ヘッドを世に広めたドライバーの役割を果たしたともいえそうです。
また、水系インクの他にUVインクや液体現像電子写真、紙ベースの連帳機からテキスタイルやラベルなど、更に間歇オフセット機など、技術と分野の幅も大変広く、それをかなり限られた開発人員でカバーしているのは驚異的に思います。電子写真系大企業は、開発人員が一桁から二桁少ないミヤコシに何故それが出来るのか・・・それをしっかり考え直してみることも意味のある事のように思えます。
今回のインクジェット機の展示は2機種。MJP20AXWは紙ベースメディア向けで、同社のサイトによれば「MJP20AXWは、フルカラー水性インクジェットプリンタで、業界最高クラスとなる1200×1200dpiの画質で、毎分200mの超高速印刷。印字品質と用紙適応性を引き上げるインラインコーターを搭載し、幅広いメディアに対応。また高濃度且つ低コストの水性顔料インクで、高品質の書籍、雑誌、商業印刷、ダイレクトマーケティング製品の為の最適なデジタル印刷ソリューションを提案」とあります。京セラの1200dpiヘッド搭載と見られます。
MJP30AXFは技術展示とのことですが、軟包装やシュリンクフィルムなどをターゲットとのこと。富士フイルムには、窒素パージで酸素による硬化阻害を無くしたUVインク機を供給していますが、この技術展示機は水系顔料インク。同社サイトによると「環境配慮をコンセプトとした軟包装向けフルカラー水性インクジェットプリンタ。1200×1200dpiの高品質で、印字幅は750mmまで対応。対象基材は、12μの薄手のフィルムから厚手のハードパッケージまで可能で、インラインコロナと印字品質と用紙適応性を引き上げるインラインコーターを搭載し、幅広いメディアに対応。KCMY+WWの構成で、毎分100mの高速印刷。高濃度と食品安全を実現する水性顔料インクを使用し、食品関係製品を含む軟包装パッケージの少量多品種を強力にサポートする最先端のデジタル印刷ソリューション」とのことです。
最近、水系顔料インクでフィルムに・・・という事例が増えつつあり、2020年の drupa / Interpack に照準を合わせて各社が開発を加速されているようです。drupa2016にて、花王がシンク・ラボラトリー機に搭載したあたりから賑やかになってきた感があります。ミヤコシが作るとこうなる!みたいなノリで、業界最高速を目指すと推察されます。
■ 日本アグファ・ゲバルト
いうまでもなくCTPや apogee ワークフローなど、欧州のプリプレスの老舗企業ですが、私としてはインクジェット視点で、UVワイドフォーマット(フラットベッド)機とインクメーカーとして存在感のある企業として位置付けています。
中国も含む海外(いっそ日本以外と纏めてもいい)と比べて日本は、メーカーに関わらずUVフラットベッド機の展示が圧倒的に少ないと感じます。efi なんか今回ブースも出してないですしね。何故日本ではUVフラットベッド機がポピュラーにならないのか?海外と何が違うのか?このあたりは徹底的にスタディする意味はありそうです。
また、最近までは海外の展示会ではUVフラット機を数多く並べてきたAGFAですが、今年のFESPAではマシンを展示しないブースづくりをしました。また、AGFAのインクジェット責任者 Dominique Arnold 氏はリコーヨーロッパに転職しました。更にIJインクビジネスのうち「パッケージ向けインク事業」をSIEGWERK社に売却しました。なにかの徴候なのでしょうか?
■ SwissQPrint
スイスのカッティングプロッターメーカーの ZÜND からスピンアウトしたUVフラット機専業メーカーで、画質は間違いなく世界トップグループと言えます。日本市場は LUKIO という代理店がカバーしていましたが、現在は直販の販社を設立してダイレクトにカバーしています。
■ XEIKON
今回、インクジェット機の展示はありません。
XEIKON は、コンベンショナルなインキメーカー FLINT の傘下にはいりましたが、FLINT は今年 efi からUV-IJのラベルプリンタ機のJETRIONを買収しました。JETRIONは、元々FLINT がインクジェットに進出する際に立ち上げたベンチャーだったもので、それを後年 efi に売却したものですが、その事業ユニットが里帰りした形になっています。
なにかと世界とは違う土壌の日本では、UVラベルプリンタは(少なくとも efi から引き継いだままの状態では)難しいと判断したか、今回は展示はありません。efi が FLINT に売り戻した背景なども含めスタディしてみたいと思います。
XEIKONのロール紙対応トナー機は、欧州では壁紙に注力しており、最近は内装材の展示会であるフランクフルトの Heimtextil に続けて出展しています。
IGAS 速報 (8)に続く