■ 補足【緊急告知:コラボ企画】インクジェット・サマースクール

このタイトルでイベント告知をしたところ大きな反響を頂きました。やはりこういうニーズはあったんだ!という想いです。告知からの引用ですが、『この「いまさら訊けない感を解消する」というニーズは、別に特定企業の中だけではなく、世の中に広く存在していると思うのです。私のミッションは「産業用インクジェットに関して、海外と日本を繋ぐ橋となる・ガラパゴス日本に風穴を開けること」ですが、もう一つのミッションは「日本の中でも偏在している産業用インクジェットの知識・経験値の差というポテンシャルエネルギーを解放すること・偏在を解消すること」です。』

これに関して少し補足しておきます。来週、山形大学のインクジェット開発センター(酒井真理教授センター長)にて下記のセミナーが開催されます。一見、テーマは重複しているように見えるかもしれません。

山形大学には、日本で最初で(今のところ唯一の)インクジェットに関する研究開発を行う「インクジェット開発センター」があり、元セイコーエプソンのヘッド開発技術者の酒井教授と、企業で実際にインクジェットの機器・ヘッド・インクなどの開発に携わったことのある技術スタッフが、鋭意インクジェットに関する学理と応用の両面からの研究開発を行っています。ナンチャッテ理系の私は(苦笑)研究開発ではなく、産学連携教授というポジションで、文字通り「産と学」を結びつけるミッションを拝命しています。

さて、現在インクジェットの関連では2つのコンソーシアムと一つの研究会が活動中です。二つのコンソーシアムはそれぞれ「既存ヘッドの範疇を超えるヘッド開発」、「インクのレオロジーの探求など」とヘッド・インクに関するもので、それぞれ複数の企業が参加しています。

更に、広くインクジェットに関わる企業に参加頂ける枠組みで「研究会」という枠組みを設定し、インクジェットに関する知見をシェアすることを行っています。原則として毎月一度のペースでインクジェットに関する技術・市場情報などの講演会を開催し、また上記のようなセミナーも開催しています。今回のテーマはまさしく「インクジェット波形設計の基礎の基礎」ということで、波形設計に関する原理と、山形大学で購入した液滴観測装置を使用した実習が組まれています。

山形大学では、この液滴観測装置のみならず、更に高度な分析装置や実験設備を揃え、海外のインクジェット研究機関に勝るとも劣らない環境でインクジェットに関する学理と応用の両面からの研究開発を行っているのです。私が酒井教授と共にこの夏、各企業の役員・経営幹部の方との集中面談をアポを取りつつあるのは、こういう状況をご説明し、個別企業とベクトルを合わせて、共同研究開発をご提案、あるいは平たく言えば「御用聞き」をすることにあります。

昨今の流れで、これまで全て自社の中でクローズドな枠組みで行われてきた研究開発に行き詰まり感が漂いつつあるなかで、従前は「象牙の塔」「ノーテンキな学者さんのたわごと」と敬遠されてきた大学とのコラボ・・・大学も変わるし、企業も変わる、お互い変わらざるを得ないという認識のもとに、何かを共に生み出せることをざっくばらんにディスカッションさせて頂く・・・それが目的です。

TheIJC(The Inkjet Conference):基調講演の会場風景

さて、上記の山形大学のセミナーは、インクジェット研究会に参加されている(約20社の)企業が対象です。それ以外の企業には募集の案内は届いていません。あくまで、「会員様限定」のセミナーです。日本画像学会のイベントも、非会員の参加は多少の価格差で認められていますが、原則は画像学会会員の為のイベントです。

それに対して、私が企画している・中期的に目指しているコンファレンスは「誰でも参加できるオープンなコンファレンス」です。今回は少し技術寄りにして小さく立ち上げますが、中期的には数百人規模の参加者があるような大きなコンファレンスに育てたいと構想しています。

今回は限定50人ではありますが、山形大学のセミナーのような、12人に限定して「駆動波形の理論に加えて実際にそれを実習する」という深みには及びません。一方で、液滴観測・ヘッド駆動とインク供給系・ポンプというラインナップでインクジェット周辺分野を広くカバーしています。また、これをきっかけに駆動波形の更に深い理論や実習などを希望される場合には、今回の講師企業に(購入検討という前提なら)個別に依頼すれば受けてもらえると思います。

私の目指しているものは、あくまでオープンなコンファレンス、インクジェットのコミュニティ作り、コミュニティの参加者・住人同士のネットワーキングなのです。そして、それが「日本の中でも偏在している産業用インクジェットの知識・経験値のポテンシャルエネルギーを解放すること・偏在を解消すること」という私のミッションのひとつを実現する道だろうと考えている次第です。

なお、欧州のコンファレンス事情については、是非この過去記事およびその続編をご参照ください。

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