- 2019-7-3
- イベント参加報告
各社の画像をアップしてコメントします。後日纏めて全体感などを再整理しようと思いますが、まずは ABC順にベタに並べていきます。
【METEOR – MTEX】
池田明会長が社長時代からテキスタイル市場への情熱は熱く、それは和明社長にも引き継がれていると見えます。昇華転写分野ではポジションを確保していますが、ITMAの主戦場である本格捺染分野にも進出すべく、イタリアの LaMeccanicaを買収したり、オーストラリアの前処理機などの周辺機器メーカーを買収したりと活発な動きを見せています。
現在のテキスタイル部門の事業部長は Tobias Sternbeck氏、大野の知人のドイツ人で、国際的な経験を買われて抜擢されたものと思われます。
そのミマキを以てしても、ここ数年、事業規模は50億円台半ばで推移しており、一筋縄ではいかないのがこの市場ということでしょう。市場全体としては明らかに規模が拡大しつつあり、その風に乗って、その風を起こして成長を期待したいものです。
クラスター技術の紹介動画です。
テキスタイル分野には前回のミラノ ITMA2015で既に Swiss4Texという販売会社がスキャン機を展示していました。そこから4年経って、今回は自らも開発中と公表していたシングルパス機が出てくるものと期待していましたが、スキャン機のバージョンアップ仕様のものの展示に終わりました。そろそろ本格離陸を期待したいところです。
ここ暫くは JP4などのエントリーモデルや、高速の昇華転写、更に UVインク機など、多方面展開を模索してきたが、今回の ITMAには LaRioにインライン前処理を装着したもの、及び「Mini LaRio」と名付けられた高速スキャン機を投入してきました。
今回、EFI REGGIANIがシングルパス機 BOLTを投入してきた中で、先行する MSは高速スキャン機を投入してきたのは興味深いところです。既にシングルパス機を持っている SPGもコニカミノルタも、今回は新製品を発表しなかったという中で、MSだけは活発に動いている印象です。
ただ、欧州のテキスタイルコミュニティの情報では「LaRioは問題も多く、それに満足しない顧客をなだめるための妥協の産物が Mini LaRioだ」などという声も聞こえてきます。確かに、大野自身も前回のミラノ ITMA2015で「シングルパスでは仕事は完結しない。高速スキャン機とシングルパス、更にストライクオフ用のエントリーモデルの組み合わせが理想」と主張していました。
当時は「シングルパスを市場に投入しないメーカーは技術が無い(REGGIANIや ROBUSTELLIを想定)」と主張しながらも、9年前の LaRio発表からここまで3社合計設置台数が30台前後という現実を冷静に見れば、やはり高速スキャン機が妥当な落としどころということなのかもしれません。
シングルパス機に猛烈の反対していた元 REGGIANIの Cacia Ambrogio Dominioni氏は、EFIによる買収後2年経って会社を去り、そこで BOLTがようやく投入されました。EPSONが買収し協力にバックアップしている ROBUSTELLIはまだシングルパスを出していません。どちらが吉と出るのでしょうか?
欧州が高賃金化し、捺染業がどんどんと域外に移転していく過程で、域内の低賃金国としてポルトガル(首都リスボンではなく、より低賃金のポルト周辺)に捺染業が集中していった時期があります。現在はそれもかなりの数が廃業してしまいましたが、まだ残ってデジタルで挽回を図りたいと考えている業者もいます。
そんなポルトガルのポルト周辺は、EUの資金を得て産業構造の改革が進められている対象地域で、そういう資金を活用してインクジェット捺染プリンタのビジネスを立ち上げたのが創業者 Eloi Ferreira氏」です。最初はミマキの改造機からスタートしましたが、現在は自前技術で高速機を商品化するに至っています。
この世界、EPSON、EFI、コニカミノルタ、ミマキなどの世界的ブランド企業のみに勝ち組になるチャンスがあるわけではなく、このポルトガルの田舎の M-TEXやイタリアの ALEPHなどの中小企業にもまだまだ十分なスペースがあるのです。
続きます