- 2026-7-25
- トピックス
中国:IJPの中核部品―ヘッドの国産化の進捗状況(1)からの続きです
それでは第2回です。このあたりから記事の核心に入ります。
中国におけるインクジェットプリントヘッド国産化の進展(第2回)
国産インクジェットヘッドの現状
記事ではまず、**「海外メーカーによる技術的囲い込み」**を最大の課題として挙げています。
海外メーカーは以前は比較的自由にヘッドを供給していましたが、近年ではヘッド内部の暗号化(認証・プロテクト)を強化しています。
その結果、中国メーカーは
デジタル印刷
サイン・ディスプレイ
デジタルテキスタイル
3Dプリンタ
などを開発する際にも、海外メーカーが許可した仕様・条件の範囲でしか製品を設計できない状況になっている、と述べています。
上海锐尔发(Realfast)の見解
上海锐尔发(旧・蘇州锐发)の董事長・謝永林氏は次のように語っています。
-
- 中国は装置設計や自動制御技術では海外との差はそれほど大きくない。しかし、プリントヘッドという核心技術を持たないため、自主知的財産を持つインクジェット装置の開発には大きな障害がある。
具体的には、
-
- 海外メーカー指定のヘッドしか使えない
販売制限を受けると開発そのものが止まる
ヘッド内部がブラックボックス
ノズル不良が起きても修理できず交換しかない
- 海外メーカー指定のヘッドしか使えない
という問題があるとしています。
つまり、ヘッドを握る者がプリンタ市場を支配するという構図です。
かつて中国企業が行っていた方法
この記事で最も興味深い部分の一つです。
以前、中国企業は海外メーカーのプリンタを丸ごと購入し、
-
- プリントヘッドだけ取り外す
- 自社装置へ移植する
- 元のプリンタは廃棄する
という方法を業界では普通に行っていた、と紹介されています。
海外メーカーもすぐにこれに気付き、その対策として
-
- ヘッドの暗号化
認証チップ
ファームウェア認証
- ヘッドの暗号化
などを次々と導入しました。
認証されない装置では、
-
- ノズル抜け
インク吐出停止
エラー表示
- ノズル抜け
などが発生するようになり、流用は難しくなったと説明されています。
高価格も問題
さらに記事は、海外メーカー製ヘッドは非常に高価であり、そのことが中国製プリンタメーカーの利益率を大きく圧迫していると指摘しています。
つまり、海外メーカーは
-
- 技術
供給
価格
- 技術
の三つすべてを支配しているという認識です。
中国の開発はまだ始まったばかり
記事では、中国でもようやくヘッド開発が始まったものの、量産まで成功した企業はごくわずかとしています。
興味深いことに、最初にヘッド技術を持った中国系企業は、実は台湾だったと紹介されています。
台湾
2000年、工業技術研究院(ITRI)が
-
- 高解像度カラーインクジェットヘッド
制御IC
プリンタモジュール
- 高解像度カラーインクジェットヘッド
まで含めた量産技術を開発したと発表。
さらに2005年には BenQが MEMS技術を利用したヘッド開発を発表しています。
中国本土メーカー
記事では次の企業が紹介されています。
-
- 上海锐尔发(Realfast)
北京奥润(Aorun)
AMSKY(愛司凱)
宏華数碼(Honghua Digital)
昆山海斯電子
- 上海锐尔发(Realfast)
ただし、技術を持つことと量産できることは全く別とも書かれています。
大野さん向けコメント
この記事で特に印象的なのは、中国企業が「海外メーカーのヘッドを解析して国産化する」という話を隠さず書いている点です。
2020年当時は、海外ヘッドメーカーとの技術格差を非常に率直に認めています。一方で、「装置技術は追いついているが、ヘッドだけがボトルネック」という認識も明確です。
現在(2026年)から振り返ると、この問題意識はその後の中国企業によるMEMS投資や国産ヘッド開発加速の出発点だったと言えるでしょう。
次回(第3回)は、上海锐尔发、北京奥润、AMSKY各社の技術・生産能力・ロードマップ、さらに特許・MEMS・歩留まりという国産化の壁について詳しく翻訳します。こちらは技術的な内容が多く、大野さんのご専門に近い部分になります。
中国:IJPの中核部品―ヘッドの国産化の進捗状況(3)に続きます

























