- 2024-1-31
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各社の 2023年度第3四半期の決算発表が始まりました。キヤノンやローランド DGなどは暦年決算なので、2023年度年間決算の発表ということになります。
別にドヤ顔で言うつもりはありませんが・・・「ほら(法螺)やっぱりね」という感じです(笑)前回(第3四半期)での営業利益の年間見通しは明らかな無理筋だろう!と書きましたが、結果としてやはり大幅な未達(6.2%未達)となっています。↓↓ 下の右はここで締めた実績です。
営業利益・・・ヲイ!これって、やっぱりちょっと凄くないですか?ここまではほぼ前年並みだったものがQ4で一気にこれだけ利益が出てくる要因って何なんでしょう?・・・と書きました。また:
「2008年以来の 4,000億円台を目指す」・・・いや、目指すのは大いに結構ですが、決算説明会って決意表明の場ですか?しかも第3四半期って、もう決算前最後の四半期ですよ?結果的に出来ませんでした・・・という話になると株主を欺いたことになりませんか?これだけ無理筋って簡単な計算でわかることなのに・・・?誰に対して決意表明してんのさ?
あ、え、ひょっとして・・・そういうこと?花道・・・?忖度・・・?
とも書きました。営業利益未達の幅が 6.2%なので 10%には届いていないから適時開示の対象にはならない(からいいや)・・・そんなシナリオだったのでしょうか?同社の開示姿勢にはちょっと疑問を持たざるを得ません。
開示方針はさておき、数字自体は立派なものです。この円安下($/円平均レート 2022年:131円 2023年:140円と 6.9%円安)なので売上高の伸びの 3.7%はもう少しあってもいいようには思いますが、営業利益率は 9.0%であり、全体としては素晴らしい成績と評価したいと思います。
2024年度の売上高は 4兆 3500億円を狙うそうです。
営業利益は対売上高 10%の 4,350億円を狙うんだそうです。同じことを何度も書くようで恐縮ですが、キヤノンは期中に2度も「もっと利益がでるよ!」と上方修正を繰り返し、第3四半期になってもう年間決算が視野に入っている時点で、どう見ても無理筋だと見えているにも関わらず下方修正せず、結果として未達・・・そういうグラフなワケです。普通の会社なら、こういう見通しを立てた責任者・担当者はクビものですけどね。でも同社はそうではない文化なのかも知れません。
で、ここで 2024年度の見通しとして提示している 4,350億円をどう考えればいいのでしょうか?
分野別のブレークダウンです。インダストリアル分野の伸び率が高いようです。なお説明資料全体はこちらにあります
わっ!凄いですねえ!2年後には営業利益率 12%ですか!伸びを牽引しているのは新規事業と表現されていますが、何が新規事業なのかは明確な説明が見当たりません。よくあるのは上のビジネスユニット別に「新規事業」という項目を付け加え、既存分野のオーガニックな成長とは別に、M&Aなどで規模を拡大するというようなストーリーですが、そういう構成ではないようです=既存のビジネスユニットそれぞれの中で、新規性の高い製品や分野の積み上げを「新規事業」と称しているということでしょう。しかし詳細がどこにも書かれていません。
念のため「グローバル優良企業グループ構想」のサイトを覗いてみて、「1.産業別グループの事業競争力の徹底強化」の項目をクリックすると「フロンティア事業」という項目があり、そこに「これまで培ってきたキヤノンのあらゆる技術をベースに、ライフサイエンス、マテリアル、ソリューションの領域で事業化を探索。選択と集中で強力な新規事業を立ち上げていきます」・・・とあります。しかし具体的ではありません。
新規事業は立ち上げ当初は初期費用が収益を上回り当面は赤字が続くというのが常識・・・今から2年後の 2025年の売上・営業利益に貢献し 12%の営業利益率に寄与するとはちょっと考え難いです。先般のキヤノン EXPOでも見た通り、奥深く広範にわたる技術力や事業のシーズを有する、日本を代表する優良企業であることは間違いないところなので、外部や株主に対する開示をもう少し具体的に、腑に落ちる表現をして頂けるといいなと思うところです。具体的な説明抜きでは、社内向けの精神論的掛け声に見えてしまいます。
まずは、今年度の売上高 4兆 3500億円、営業利益 4350億円、営業利益率 10%がどのように実現されるかを見守りましょう。あ、その前に3月末に株主総会がありますね!このあたり、今年はどうなるのでしょうか?