- 2018-10-23
- イベント参加報告
【2.既存捺染機や周辺機器からインクジェットプリンタに進出したメーカー】
今回出展していた企業でいえば、日本の東伸工業、欧州の SPG(蘭)・REGGIANI(伊)・MS(伊)・ZIMMER(墺)、中国のKAIYUEN(開源)・DOSUN(東城)・JILONG(人偏に吉+龍)などがそれに相当します。REGGIANIは EFIが買収してからは少しテイストが変わってきていますが。
これらメーカーは、染工所・捺染工場に顧客基盤を持っており、その産業の仕事内容や困りごとを熟知しているため、そこに認めてもらえるような実用性を重視します。スクリーンとのハイブリッドなどはこういうメーカーでないと発想できないでしょう。昇華転写機を手掛けるメーカーは(顧客がまず手を出していないので)少ないです。インクジェットに関する知識が先にあったわけではないので、その部分は(初期には)外注で取り込むケースも多く見られました。
また、既存のビジネスモデル同様、色材の商流に拘らない(インクはユーザーがインクメーカーから直接買って貰っても構わない)というスタンスから出発したところが多いですが、最近ではインクの囲い込みにシフトする傾向もあります。
【東伸工業】
昨年秋の上海 TEXにてお披露目された「インクジェットとフラットスクリーンのハイブリッド機:IUGO(融合)」。複数の商談が進行中で、近々初号機が設置予定とのこと。下の動画は昨年の上海 TEXにて撮影したもの。この後、ブラッシュアップしてここで設置に至るようです。また来年のバルセロナ ITMAに向けて更なる仕込みも進めていると想像されます
【SPG(オランダ)】
シングルパス機の PIKEは封印して、今回はスキャン機の JAVELINの紹介に徹していました。動画で JAVELINを紹介しているのは Jos Notermans営業部長、現役時代の大野の長年にわたる好敵手、今は親友です(笑)。
【REGGIANI/EFI(イタリア/米国)】
主要なプレーヤーの中で唯一シングルパス機をローンチしていなかった REGGIANI(EFI)ですが、ここで満を持して BOLTという名前で 11月 15日にイタリア本社にて発表するという発表がありました。私はそこに招待されたので発表会に参加するつもりです。韋駄天のウサイン・ボルト、先行している3社を抜き去るのか?(笑)
【MS/DOVER(イタリア/米国)】
EFIがシングルパスを発表する一方で、かつて最初にシングルパスを発表した MSはスキャン機の JP7と JP4の展示です。やはり大規模なシングルパス機は、このような数日の展示会で実機の設置デモは得策でないということでしょう。MSは今年の FESPAでも UV機を展示したり、武藤工業からの OEM調達した廉価機を展示したりと、やや方向性が見え辛くなっている気がします。
【ZIMMER(オーストリア)】
オーストリアのスクリーン印刷機の老舗で、かつては自力でインクジェット機を開発していましたが、技術者が DURSTなどに流れ、最近では中国の飛楊連合からの調達(ODM)という道を選択しています。これとは別系統で、超大液滴のインクでカーペットなどをプリントする Chromo Jet は自社で開発を続けているようです。
【KAIYUAN 開源(中国)】
【DOSUN 杭州東城(中国)】
かつてはインクジェット機を展示していましたが、今回はスクリーンのエングレーバーを展示(インクジェットかどうか不明)
【JILONG 人偏に吉+龍(中国)】
中国の安価なロータリースクリーン機のメーカー。インクジェット技術は上海の Teckwin社から導入しています。今回発表したのは「ロータリースクリーンとインクジェットのハイブリット機」で、東伸工業の IUGOとは逆に、先にロータリーでベタをプリントし、白く残した部分をインクジェットでプリントするというもの。
位置合わせの為、ロータリーを超低速でプリントし、かつインクジェットのスキャン部がその低速にシンクロして移動しながらプリントするという不思議なコンセプトでした。撮影は徹底的に拒否されたので動画はありませんが、この大きめの箱の中にそういう機構が収まっています。
スクリーン部分をみると、いくつかのシリンダーが装着可能で、ならばインクジェットとのハイブリッドなど考えず、ロータリーに徹した方が良いように思うのは私だけでしょうか?折角高速でプリントできるロータリーの利点を、インクジェットで殺すような気がします。このあたり、インクジェット屋の視点からは見えにくいハイブリッドのコンセプトです。