- 2019-7-2
- イベント参加報告
各社の画像をアップしてコメントします。後日纏めて全体感などを再整理しようと思いますが、まずは ABC順にベタに並べていきます。
【HANGLORY – INKCUPS】
最初の発表があった米国の SignEXPOには私はいかなかったのですが、ミュンヘンの FESPAでは「HPにしては意外に控え目なアピールだな」と感じ、「まあ、予算を SignEXPO、FESPAと ITMAに配分するんだから、前の二つはセーブして、お膝元の ITMAにかなり大々的・重点的に配分をすんだろうな」と思ってました。大方の人も「HP・バルセロナと来れば、さぞかし・・・」と思っていたに違いありません(笑)
その「期待に比べれば」というだけの話ですが、意外にスペースもバカ広くなく、造りもシンプルで「ランダのショー的要素の無い」、ある意味、非常にストレートでシンプルな展示でした。
各機種のスペック詳細については既にいろいろな記事が出ているので割愛します。例えば FESPAでの Nassanの記事にリンクを張っておきます。
幾つかの主要な訴求点は筋が通っている様に聞こえます。安価なサーマルヘッドでユーザー交換が可能、ライン上に各色が2列(2ノズル)あり、センサーでノズル状態をモニターしながら欠補完、濃度計で色をモニターしクラウドにプロファイルを保存して複数・リモートのプリンタ間の色差(δE)を 1.5以内に抑える、25gの薄紙にプリントできるためランニングコストダウン。など。また、後発だけあって、細かい点での様々な工夫も見られます。
このあたりは、実際に設置台数が増えて、ユーザーによる評価が固まるのを待ちましょう。イジワルに言えば、欠補完技術はサーマルの専売特許ではなく、ピエゾヘッドにこれを適用することによって、ピエゾヘッドの「実質寿命」は飛躍的に延びたと同じ効果が得られ、薄紙と言えば ALEPHが 18g紙へのプリントをデモしています。
私の視点では、プリンタはまあよく出来てはいるが、現行の他社品を圧倒的に凌駕するということもないかな・・・それより、HPが参入する以上は、まだ未発表ながら何か大きなビジョンがあるのでは?・・・いや、無いのかもしれないんだけど(笑)、そう思わせる何かが「HP」というブランドにあることも事実です。
一つ目には、最近の DTMF(Digital Textile Micro Factory)の流れに HPはどう関わるのか?どう主導権を取るのか?(取らないのか)?HEIMTEXTILでも、TEXPROCESSでも、サイン業界がメインターゲット層の FESPAでさえも “Print Make Wear”のような訴求をしてきている中で、HPはそれに対してどういうスタンスをとっていくのでしょうか?まあ、今回は「川上の展示会 ITMA」なので場違いと言ってしまえばその通りなのですが、そもそも繊維業界に HPが場違いなので、どうせ出展するならばそこまでやって欲しかったな・・・
二つ目には、最近の昇華転写の大きな出口用途の塊として「スポーツアパレル」が形になってきている傾向があります。FESPAも来年のマドリードでは、その専門のコーナーを設置し PUMAなどが既に名乗りを上げていると伝えられています。HPのお家芸ともいえる「ブランドオーナー攻略」はここでもまたあるのでしょうか?
三つ目には、ピエゾ陣営では昇華転写は既に十分に広まり、次のテーマとして「天然素材(コットン)」にプリント可能な顔料インクがテーマになりつつあります。HPは、顔料にはどのように取り組むのでしょうか?また、顔料ときたら DTG(Ditect to garment・・・Tシャツプリンタ)にはどう取り組む(取り組まない)のでしょうか?
また、HPの世界観からはどういうポジションなのか分かりませんが、日本市場はまだStitchを投入するかどうか決まっていないとのこと・・・投入するにせよ、しないにせよ、誰がいつどのように決めていくのでしょうか?
興味はつきないところです。ただ、大きく引いて遠目で見れば、HPの参入というのは単に話題に終わらず、現在の既存のテキスタイルプリントのサプライチェーンに何らかのインパクトを与えていくことを期待したいところです。
バルセロナにある RIPベンダー。他の RIPベンダーがサイン業界向けのソフトをテキスタイル向けに転用したものが多いのに対し、ここは元々テキスタイル業界にコミットして開発をしているため BGRがベースなどのユニークな特徴がある。
創業者の息子 Oriolは今年初から同じバルセロナの HPに転職し Stitchのプロダクトマネージャーになった。
【ISOCARBO – KIIAN】
続きます